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「天気の子」ー大切なことを忘れた大人に問いかける物語でもある。=侘しい子供達を追い詰めたのは誰か?(ネタバレあり) [映画感想]

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「天気の子」ー大切なことを忘れた大人に問いかける物語でもある。
=侘しい子供達を追い詰めたのは誰?(ネタバレあり)

ポスターのビジュアルを見ただけでは、この映画の感動は伝わらない気がする。が、僕は2回、この作品を映画館で見た。基本は若い人向けの映画。主人公は16歳の家出少年。僕のような間も無く60歳になろうオヤジが見るための映画ではない。でも、とても感動した。何度か涙が溢れた。「この涙は何?」自分でも理由が分からないけど、訴えかけてくるものがあった。

田舎から家出して東京に来た少年が、

苦労しながら、自立して行く。そして女の子と出会う。典型的なボーイ・ミーツ・ガール物語ではある。田舎から出てきてというのも、昔はよくあったスタイル。それを今の時代にあえて描いている。新しいのは、出会った女の子が「晴れ女」で雨を止めて、短い時間だが晴れにできる能力があるということ。

ここまでで興味深いこと。

ヒロインの描かれ方が10代の男の子が思い描く女の子なのだ。「ふふ」と可愛く笑う。行動的。好意的。女のいやらしさや打算がない。80年代のアニメに出てくるキャラ。「タッチ」や「みゆき」。そんなヒロインに10代の頃は憧れる。それが現実の女性と付き合うようになり、30歳を過ぎ、結婚すると「憧れのヒロインとは違うこと」を知る。その手の漫画家が言っていたが

「恋をたくさんして、いろんな女性と付き合っていたら、ラブコメは描けない。女性に憧れがあるから描ける」

この映画でもそれを感じる。監督は40代。でも、彼はいう。

「10代の頃の憧れ、ちょっとした思い。そんなことを今でもリアルに思い出すことがある」

それを物語にしている。凄い。人ごとではない。僕も40代で女子高校生を描いた映画「ストロベリーフィールズ」を作った。オヤジたちは「今時、こんな子はいない!」というが、2つ間違っている。物語は昭和40年代。今時ではない。そして今でもそんな子はいる。ただ、オヤジたちの興味が援助交際とかそっちにしか向いてないので、マスコミが煽るその手のニュースしか聞かないだけ。実際、そういう親父で10代と接点がある人はいなかった。情報源は週刊誌だけだ。

「天気の子」の構図は少し違うが、

忘れかけていた、あの頃のときめきとか、憧れを思い出す。「この子のためになら人生かけてでも!」大人になると打算と計算で汚れて行く中、そんな思いで主人公は彼女と弟を連れて逃げる。だが、泊まるところはなく、やっと見つけたラブホテル。少しネタバレになるが、そこでカラオケを歌い、インスタント食品を食べて、幸せに浸る子供達。

涙が溢れる。今時の子供の幸せってこんなものなのか? いや、きっとこんなものなのだ。豪華なステーキやシャンパンではなく、侘しいカップラーメンやたこ焼き。そんなものを食べて、気の合う仲間とカラオケを歌う。それが幸せ。でも、そうなのだ。そんな貧しい幸せしか求められくなってしまった。大人たちが、社会が子供達を追い詰めてしまったから。逃げ場をなくしてしまったから。

この映画を見て「小さな恋のメロディ」

と「リトルロマンス」を思い出した。それらもローティーンの男女が大人たちに理解されず、引き裂かれそうになり、逃げ出す物語。いつの世も大人たちは自分たちの価値観を子供たちに押し付けようとする。それが古びて腐りきったものであったとしても。そして「天気の子」はクライマックスで、あの「傷だらけの天使」の代々木のビルへ!

この辺はもう「頑張れ、穂高!」と願わずにはいられない。結婚式を挙げようとしたメロディとダニー。サンセットキッスをするために飛び出したダニエルとローレン。それを邪魔する大人たち。同じ展開。そしてこの映画が他と違うところ。昔の主人公は自分が傷ついても多くの人を救おうとした。が、彼らは世界より、自分たちの小さな愛を選ぶ。

でも、今の時代はそれが正しい。

世間が国のため、正義のためと誘導し、影で笑っている金持ちが儲ける時代。それなら確かな自分たちの愛を守ろう。大切にしよう。ただ、そんな風に考えてしまうのはなぜだ? そんな世界を作ったのは誰か? それを考えねばならない。これは子供達の物語だが、大切なものを忘れてはいないか?を大人たちに問いかける映画でもある。本日もサントラ盤を聴く。


(下写真 映画の舞台となったビル。「傷だらけの天使」ではこの屋上でショーケンが暮らしている設定)

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facebook友達のSさんから嬉しいメッセージを頂いた。山本太郎を応援しているとのこと。こんな方もいるので、頑張って記事を書こうと思える。本人の同意を頂いたのでご紹介。 [れいわ新選組応援]

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facebook友達のSさんから嬉しいメッセージを頂いた。こんな方もいるので、頑張って記事を書こうと思える。本人の同意を頂いたのでご紹介。
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こんにちは[わーい(嬉しい顔)]?いつもFacebookで投稿を興味深く読ませていただいております。太田監督の記事を読ませてもらうようにになり、私の中で変化があった部分があります[わーい(嬉しい顔)]

○マスコミ情報を鵜呑みにしなくなったこと(これはれいわを応援し始めてからも生まれた感覚)

○ひとつのニュースを聞いた時に、色んな人の意見、考え(身近な家族、ラジオ、ネットなど)をまず聞いたり情報を集めてから、考えをまとめるようになったこと

○映画はもともと大好きだけど、監督の目線からの記事を初めて読み、そんなに心身に負担をかけるほど大変なものなのかということを知り、改めて映画の見方が変わったこと。

これにより、ニュースや色んな報道を見たり読んだりした時に、かなり落ち着いて考えることができるようになったのは、大いなる進展です[わーい(嬉しい顔)]ますます混乱する時代に、パッと飛び付いたり、パッと感情で判断することが(特に怒り)いかに危険なことかも、がだんだん理解しつつある今日この頃です。

先日の、嫌いな人を知る、まさに今みんながしないこと(したくないこと)ではないでしょうか。安部さんを知らずして安部さんのどこが悪いかは、やっぱりわからないまま『安部やめろー!』と言ってもどこか説得力に欠けるような気がします。

私が太郎さんを好きなのは『ガチでケンカする』姿勢です!ガチとは、真っ直ぐ相手を見据えてのこと。ある意味、太郎さんは色んなことを徹底的に研究されてるのではないか?と前々から思ってましたが、やはり監督のおっしゃるように、嫌いな人をしっかり見据えて、が根底にあるような気がします。

なので、私も『安倍晋三大研究』でお勉強したく思いました!まだまだ追い付きませんが、少しでも私なりに勉強してガチのケンカをしたく思います[わーい(嬉しい顔)](元ヤンとかではございません、あしからず)



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NEWS23はもう見ない。でも、日テレ!を見る。はあ、なんで? [my opinion]

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NEWS23はもう見ない。でも、日テレ!を見る。はあ、なんで?

リハビリとはいえ、外出すると体力が尽きて、帰宅しても録画した番組を見る気力がない。今は「れいわ」を応援してくれたテレビ朝日の「モー」と「報道ステ」を毎日タイマー録画「NEWS23」はもう録画もしないし、見ることもない。というか見る価値なし。

れいわを選挙前に報道しなかったことに対して、フジは小倉キャスターが「こういうことをもっと早く伝えるべきじゃなかったか」と反省、テレビ朝日は「我々は多くを伝えることができなかった」と夕方のニュース番組で伝えた。だが、TBSはいくつかの番組で「政党要件を満たしていなかったので放送できなかった」と反省のないコメント。それぞれの局の姿勢を感じる。

そもそも政党要件なんて意味がない。昔からある巨大な党が有利になるだけ、新参者の敷居を高くするだけの制度。それにマスコミがこだわってどうする。新しい動きを、新しいムーブメントを紹介することこそがマスコミの役割だ。その意味でTBSは過去にあった恥ずかしい事件を反省せず、また責任逃れをして放送を続けるということだ。見る価値はない。小川キャスターは思いのある人だが、その姿勢と人気を利用して起用されただけだろう。気の毒だ。

TBSの過去の事件等について=> https://cinemacinema.blog.so-net.ne.jp/2019-07-23-11

そこで前向きなテレ朝と、真逆にいる政府側の局である日テレの夜のニュースを録画して、見ることにしている。比較するとテレ朝が報道して、日テレがしないものが分かる。それこそが政府に都合の悪いニュースだ。しかし、テレ朝とて政府と全面戦争したい訳ではない。ヨイショ報道もあるはず。その辺を見極めながら見る。

そんな番組を4つも録画しているので、2日見ないと8番組になる。続けてみると8時間だ!他にNetflixやamazonプライムも見る。嫌われ者シリーズの本も読まねばならない。もうリハビリではなく、それだけでまた疲労困憊か?でも、着実に健康回復に進んでいる。


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先輩やベテランに褒められるクリエーターはダメ。批判され否定されてこそ、一般から支持される? [my opinion]

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先輩やベテランに褒められるクリエーターはダメ。批判され否定されてこそ、一般から支持される?

突然に思い出したのだけど、僕は若い頃、と言っても30代で脚本家デビューし、監督になり、この仕事を始めた頃。

「業界の先輩やベテランに褒められるようではいけない!」

と思っていた。というのは、もし、評価されるようなら、僕の作品は先輩たちの世代の価値観で作られていて、彼らが理解しやすい作品ということになるからだ。

同時に僕より下の世代には支持されない。「センスないなあ」と言われる作品になる。ある時、師匠であり巨匠である大監督がこんな話をしてくれた。

「私がデビュー作を撮るとき、映画会社の社長がこう言ったんだよ。ぜひ、僕には分からない映画を撮ってください。僕には理解できないということは、きっと若い人に支持されて大ヒットするはずです」

その大監督はその通りの映画を作り、大ヒットした。監督も凄いが、その社長も凄いと思った。その後。割に理解あるPと出会った。「割に」というのは他からは一切認められなかったからだ。その人と仕事をしている時、こういった。

「あなたに褒めてもらえれるのは嬉しい。でも、それより首を傾げるくらいの作品がきっと若い人にウケます。そのつもりでやります」

まあ、なんと生意気で傲慢な新人だろう。そのPは笑って「ははは、楽しみにしているよ」というと思ったが、大激怒「言っていいことと悪いことがある!」と、その後、ことごとく僕の意見を批判。完成した作品も「全てが最悪!」と言われたが、観客の反応は凄く良かった。で先輩から「あのpはさほど優秀ではないのに、プライドが高いので、煽てて使わないとダメだよ」と言われた。まあ、生意気な僕も問題なのだが。

でも、先の説は正解だとも分かった。その後も、スタッフや業界の先輩たちからは評価されなかった。有名な先輩監督から「こいつの作品だけはダメだ」とも言われた。が、観客には好評。毎回、映画館では涙が溢れた。

14年以上が経ち。現場で最年長になる。ベテランスタッフはもういない。Pも若い。多くが僕の作品を支持してくれる。やはり、それが時代というものなのだ。ただ、これからが怖い。周りが褒めてくれるということは、さらに下の世代からは支持されないという可能性がある。クリエーターは一生戦いだ。


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