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クリエーターとはどんな人たちなのか?=才能あふれる立派な人ばかりでないことを知ってほしい。 [映画業界物語]

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小説、漫画、ドラマ、映画、音楽等の創造の仕事をするクリエーターというのは常識に縛られない人が多い。別の言い方をするなら変人であることが多い。ただ、あまりに非常識なことをすると仕事ができなくなるので、一般の人に対しては「常識がある振り」をする。

本来、常識に縛られるのをとても嫌い、最低限のことしか従わない。人が右と言えば、左に行きたくなる捻くれ者。でも、だからこそ多くの人が気づかないことに気づき、感銘を与える作品ができる。

業界を見回すと変人ばかり。そして、変人の方がいい仕事をしている。世間で言われているようなことを言ってる奴は、大した仕事をしていない。しかし、世間の人は「クリエーターである映画監督というのは立派な人だ」と勘違いすることが多い。そりゃ立派な人もいるが、そうでない人もいる。単なる変人も多い。

僕と接する人。最初は間違って「感動できる映画を何本も撮った立派な人」と思うことがある。僕も最初から非常識なことはしない。が、映画製作を始めるとつまらぬ常識に関わり合ってはいられない。すると一般の人は「裏切られた!」「あんな人とは思わなかった!」「許せない!」と怒り出すことがある。暴力を振るとか、金を騙し取るということではない。一般の人がよくやる「空気を読む」とか「周りの顔色を伺う」とかいうことはしない。

いい映画を作るより、街の実力者の顔を立てるとか、事前に根回しするとかを優先する人たちからすると「とんでもない!」ということなのだ。こちらは変人で常識がなので、その辺に気が回らない。作品を作ることしか考えない。だから、批判される。つまり、勝手に「立派な人」だと思い込み、同調圧力に従わないからと「裏切られた」と騒がれる。世間の人たちとはそんなことで時々、トラブルが起こる。映画制作時以外は一般の人と接することを避けるようにしている。

その辺の無意味な習慣や風習に従えるようなら、カタギの会社員になっている。理不尽や同調圧力に我慢できない。つまらないルールに縛られたくない、大人しくできないから、こんな仕事をしている側面が強い。そんな協調性のない人を世間では「変人」と呼ぶ。僕もそんな人たちがたくさんいる世界の片隅にいる。



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日本のテレビ局は完全に時代錯誤。生き残りは可能か? [映画業界物語]

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本当にテレビを見なくなった。ドラマはもう何年も前から見ていない。以前に仕事した俳優さんが出演。お世話になっているスタッフさんが参加したものは録画して拝見するが、それ以外は本当に見ない。90年代は放送しているドラマは勉強のため、ほとんどを見ていた。が、次第に時代からズレていることを感じ。見る価値がないと思えた。

何より毎週、同じ時間にテレビの前にいなければならない連ドラ。録画すればいいのだろうが、「そこまでして見たい!」と思えない内容。似たようなストーリー。人気俳優をシャッフルするだけのキャスティング。そもそも週1放送で1話完結。あるいは「続く」というスタイルは60年代から続いているもの。その枠で新しいものはできない。

そこから分かったこと。テレビ黄金期で有頂天になった。大きな力を得た。巨額の富を得た。が、時代は変わり、内部腐敗が極まり、時代に即した対応ができなくなっているのだ。恐竜と同じ。あとは消えゆくだけ。それに気づかず、未だに勘違いが続いているということなのだ。どこの業界も同じ。「驕れるものは久しからず」となる。

2000年代に入り、アメリカは「24」という映画を超えたドラマを作り出した。見出すと止まらない。日本ではそれをdvdレンタルして、休みの日の一気に見るスタイルが流行った。そう。続きを1週間待つのではなく、見たい時に続けて見る。それが「プリズンブレイク」「HEROES」と続き、今はプライムビデオに引き継がれている。「コブラ会」を一気に見る!

(その元祖を20年経ってからリメイクした日本のテレビ局。それだけで分かる。その評価からも)

つまり、テレビ局側の都合で週1回の放送。続きは1週間待たされて、同じ曜日の同じ時間。録画する努力を視聴者に求めるスタイル。それがもう通用しない時代になっているのだ。なぜ、商業主義のテレビが自らは60年代のスタイルを続けて、視聴者に様々な努力を強いるのか? だから、多くが離れて行き、視聴率2桁がなかなか取れなくなった。若い人たちがテレビを見なくなってしまったのだ。

僕もそんな1人。本来、テレビドラマを見るのは勉強なのだが、学ぶものがほとんどなくなった。ただ、時々、超面白いものが出てくることがある。後で知り、dvdやプライムで見ることになったのが「半沢直樹」「鬼滅の剣」しかし、それでフォローできる。毎週、録画せねばならないほどのドラマは頻繁にはない。

この数年。日本のプライム業界も配信だけでなく製作を始めた。「全裸監督」がその1本。テレビよりも製作費が豊富。見たい時に見れる。cmなし。面白い。パート2も製作決定。アメリカではすでに量産されている。スコッセッシ監督の大作も製作はNetflixだ。この展開はもうテレビはドラマを作らなくていい!ということになるだろう。

ドラマはプライムで見る。テレビは報道だけ?いや、その報道もすでに信頼を失っている。日米ともにフェイクニュースのオンパレード。嘘と誘導のための広報機関。だったらバラエティ? それもYouTubeに奪われているようだ。そんな時代なので、テレビを見る必要がない。でも、ほんの時々。5年に1回くらい気になるドラマがある。先日も1本あった。そのことは別の機会に紹介する。



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考えること。調べること。把握すること。伝えること。ーそれがクリエーターの仕事。 [映画業界物語]

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考えること。調べること。把握すること。伝えること。ーそれがクリエーターの仕事。(短縮版)

映画監督業で大切なこと。いや、監督だけでなく、作家でも、漫画家でも、クリエーター、それらの仕事は皆、同じものが大切ー「考える時間」だ。もちろん、締め切りがあり、それまでに上げなければならず、十分に考えられずに終わることが多い。

「このスピード時代に何、甘えたこと言ってんの?」「俺は短時間でもやれるぞ」とか言う人もいるが、必要な時間をかけた作品には絶対に敵わない。インスタントでは伝わらないのだ。おまけに時代は大きな曲がり角。今までのように時間に追われていては正しい方向には進めない。

そんな疑問を感じている時にコロナ禍。多くの仲間や俳優たちが仕事を失い大変な思いをした。それは悲しいことだが、時間ができた。その間に沖縄戦だけでなく、戦争の勉強を続けた。戦争は数ヶ月だけ勉強、数冊の本を読んだだけでは把握できない。そして過去の悲劇だけではなく、これからも起こる可能性がある。現代も把握せねばならない。

それを学び!考える!大切な機会に転用した。過去を学ぶこと。現在を知るための時間が持てたことは重要。沖縄戦で終わらずに「戦争とは何か?」を見つめ、考えて、「大切なことは何なのか?」を伝えねばならない。それが僕の仕事なのだと思えている。


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俳優が常に続ける「人間観察」とは何か?=映画監督もやる大切な勉強?! [映画業界物語]

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俳優が常に続ける「人間観察」とは何か?=映画監督もやる大切な勉強?!

俳優の勉強に「人間観察」というのがある。というのは、自分が人間であるにもかかわらず、人はどんな時にどんな反応を示すか?を把握していないことが多いからだ。いざ、演技をしようとすると分からなくなる。人は怒った時どういう顔をするのか?悲しい時は?あるいは人を待っている時、恋をしているとき? みな、無意識に怒ったり、笑ったりするので、演技をするときは意識してしまい、ぎこちないものになりがち。

だから、日頃から人間観察をする。街角で、喫茶店で、飲み屋で、バイト先で、いろんな人を見て表情や動きを把握する。それを覚えておいて演技に生かす。面白い話がある。勝新太郎さんは飲み屋の女性を何人も連れて、深夜に自宅に帰った時、奥さんの中村玉緒さんにもの凄く怒られたという。でも、勝さんはその時、こう言ったそうだ。

「玉緒。それが真剣に怒った時の顔だ。覚えておけ」

いかに勝さんが演技のことをいつも考えているか?を伝えるエピソードだ。俳優だけではない。作家も、脚本家も、映画監督も同じだ。いろんな人を見て、観察して、作品に使う。僕も経験がある。本当に悲しくて涙が止まらない経験をした時。「人は悲しい時、どんな顔をしているのか?」と思えて、洗面所に行って鏡を見た。意外に悲しそうではなかった。そういうものかもしれない。

同時に、変な人と出会うと興味を持ってしまう。特に嫌われている人は関心がある。会うと、凄く嫌な思いをするのだけど「次に会う時はすぐに怒らず、我慢して、あれこれ質問して、彼が何を考えているのか? 推理しよう」と思う。帰宅してから、その人の言葉を書き出して、あれこれ推理する。その人の履歴書を作ったり。そうすると、その人が何で嫌な奴なのか? 僕らが何で嫌な奴と感じるのか? 背景にあるのは何か?が分かってくる。

普通、嫌な奴ーと思ったら、その人のことを考えない。深く知ろうとしない。避けようとする。「嫌な奴」で終わらせる。だから、正体が分からずに終わる。背景にあるものが見えずに終わる。一般社会では、そんなこと知る必要はないが、映画屋には大切なことだ。そこからドラマが生まれたりする。その意味で今、この時期になってもトランプを批判を続ける人たち。憎み続ける人たちにも興味がある。戦時中の心理にも近い。そんな人たちからも勉強させてもらっている。


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映画監督は変人で、捻くれ者で、ワガママでなくてはいけない?! [映画業界物語]

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映画監督は変人で、捻くれ者で、ワガママでなくてはいけない?!

世間では映画監督は優秀な人。才能がある人と思いがちだが、それは成功して名前が売れたから、そう言われるのであって、要は変人であることが多い。捻くれ者も多い。先輩や同世代を見回しても、サラリーマン勤が出来る人はまずいない。逆にサラリーマンができる真面目な人はいい映画が撮れない。

僕もかなり変人であり、捻くれ者だ。プラスして、理不尽が許せない。だから会社勤めは絶対に出来ない。3日で上司と衝突して辞めてしまう。納得できないことはできない。それを「甘えている!」「子供だ!」「世間を分かっていない!」と散々、言われたが、納得できないことはできない。会社員はそれに耐えるのも仕事の内。だから無理。

映画界はカタギの世界よりは自由が認められる。ネクタイにスーツで製作会社に行かなくてもいい。ロングヘヤーで破れたGパンでも、さほど批判されない。そんな環境でも僕は何度も先輩たちと衝突。特にPや社長と揉めた。降ろされたり、2度と仕事依頼がなかったりした。逆に言うと、それに我慢して仕事が出来たら会社勤めが出来るだろう。

ギャラが安いとか、労働時間が長いではない。一番は価値観の押し付け。古い価値観でシナリオを直せと言う。古いセンスで編集を変えろと言う。昔ながらの方法論で撮影しろと言われる。まっぴら御免だ。古臭い趣味を押し付けてくる。他にも、癒着した俳優事務所の役者を捻じ込んで来る。やる気のないサラリーマンスタッフを押し付ける。

絶対にNOだ。大事なことはPの価値観に従うことではない。古い伝統を守ることでもない。観客が感動する素敵な映画を作ることだ。それが出来れば古い方法論でもありーだが、古い価値観は現代には通用しないことが多い。だから、これまでと違う価値観や方法論で挑まなければならない。大事なのは素晴らしい作品を作ることだ。それが理解できない大人たちが慣れ親しんだ価値観や方法論を押し付ける

だから揉める。だからトラブル。若い頃は年寄りに従い、実績を作り、少しずつ自分らしい作品を作ればいいのだが、1作目から我慢できず反発。先輩たちに嫌われ、Pからは否定され、2度と声がかからないことが続いた。が、「違う」と思うことを我慢して従うことができない。小学生の頃から成績表には「協調性がない」と書かれた。「我慢が足りない」「わがままである」と言われた。

でも、監督業にはそれが必要だった。巨匠、先輩監督たちを見ると、僕どころではないワガママ。言い出したら聞かない。僕なんてまだまだ。やはり映画界はカタギの世界とは違う。監督した作品はどれも評判がいい。次第にスタッフにも認められ、否定する人たちがいなくなり、「素敵な作品を作りたい!」と言うスタッフが集まる。より良い作品ができる。以前は「お前は監督じゃない!」とPに言われたが、すでに6本の映画を監督した。この世界。ワガママで、ひねくれ者で、変人であることが大事なのだと痛感している?!


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寂しいおじさん。キャバクラが好き=でも、それも幸せだぜ? [映画業界物語]


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1人で仕事をする人。会社で人と話す機会のない人。会社帰りに居酒屋に寄り、板さんや店員さんと話をするのが楽しみという。キャバクラに行って、若い女の子と話すのが大好きな友人もいる。が、僕はあまり興味を感じない。

友人はいう。「そりゃ、お前は仕事で綺麗な女優さんたちと話するからいいけど、俺たちが若い可愛い子と話したけりゃキャバクラ行くしかねえんだよ!」とか言われたが、まあ、それはあるかもしれない。女優さんは素敵な人が多いが、仕事だ。彼女たちがいかに芝居がしやすい環境作りをするか?が僕らの仕事。神経を使う。なのに、飲みに行ってまで、女の子たちに気をついたくないと思ってしまう。

「お前、贅沢だよ」と言われるが、いやいや「この子、可愛いなあ。お話ししたいなあ〜」と憧れを感じる方が幸せだ。なぜって? そんなことここで書けない。素敵な人もいるけど、そうでない人もいて、困ったことも多いのだ。そんな業界なのだよ。


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俳優はどんな芝居に燃えるのか?=彼らはチャレンジャーだ。 [映画業界物語]

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俳優はどんな芝居に燃えるのか?=彼らはチャレンジャーだ。

シナリオを書く前にすること。前回紹介した。では、シナリオを書くときに大事なこと。書いてみる。もちろん、ハラハラドキドキする展開にして。最後は感動して涙!と言うストーリーを考えること、と言うのはある。映画はまず娯楽。あまりに説教臭くなると観客は見てくれない。と言って、面白いだけでは映画館を出たら筋を忘れる作品では困る。テーマがしっかり伝わるからこそ、一生忘れない作品になる。

この辺はよく言われるし、シナリオ学校とかに行けば教えてくれること。それ以外の太田組スペシャルを内緒で紹介する。僕のシナリオは毎回、オリジナル。原作のないものだ。僕自身が物語を考えて自身で執筆、自分で監督する。その際に考えるのは俳優のこと。どうしても監督といいう立場にいると、俳優はチェスの駒になったり、操り人形的な存在になりがち。ストーリー展開に都合のいい台詞を言わせたり、主人公を引き立てるためだけに登場するキャラを作ったり。

だが、ストーリーのため、他人のために存在する役を演じる俳優は気分が悪い。「いや、どんな役でも、もらった役は全力で演じます」と言う真面目な人もいるが、どうせなら「やる気」が出る役がいい。と言って、誰もが主人公を演じられる訳ではない。そこでシナリオを書く時に、できる限り、俳優の力が入る設定を作る。と言うのは、俳優はチャレンジャー。カッコいい役をやりたいとか、可愛い役を演じたいとか思うのは素人で、プロは難しい芝居に挑戦したがる。

では、難しい芝居とはどんなものか? まず、長台詞。「渡る世間は鬼ばかり」を見ていると、やたら長いセリフがある。あれ、トチると最初から、共演者も最初から付き合う。スタッフも同じ。二度三度、トチったら、撮影自体が延びる。撮り残しを出すかもしれない。多くの人に迷惑をかける可能性がある。すごいプレッシャーなのだ。自分のせいでベテランの先輩俳優まで付き合わせることになる。その上、長台詞は難しい。どこで上げて、どこで下げて、どう着地するか? 俳優の実力が問われる。また、個性を出せる部分でもある。だから、プレッシャーだがとてもやりがいがある。

あるいは、芝居の中で芝居をする?!そもそも、俳優は自分でない他人を演じる。が、例えば刑事もので潜入捜査をする。刑事の役だが、暴力団に潜入。ヤクザの振りをする。これは芝居の中で芝居をすることになる。非常に高度な演技が必要。その切り替えが難しい。観客に「本当は刑事なのに、ヤクザのフリをしているんだ」と思わせることが必要。これもやりがいのある役。

あと、いい人より、悪役の方がいいと言う俳優さんがいる。板尾創路さんが以前「沈まぬ太陽」で悪役を演じた時、とても楽しかったと話してくれた。他にも陣内孝則、高嶋弟、とか有名どころが出ているが、皆、ノリノリで演じていた。俳優さんは基本的にいい人が多い。そしてスタッフにも気を遣う。そのせいか、毒付いたり、怒鳴ったり、と言う日常ではできないことをするのが楽しいのではないか? そして、ワルというのは優等生より、いろんなバリエーションができるので演じがいがあるのだろう。

他にも、涙を流す。物を壊す。暴れる。等、難しいがやりがいのある芝居というのがある。そんな場面を作っておくと、俳優さんのテンションが上がり、「どんな風にやろうかなあ〜?」とシナリオを読んだ瞬間から、役作りが始まる。また、過去にやったことのない役というのも喜んでくれる。俳優たちはチャンレンジャー。新しいこと、難しいことに挑戦したい人が多い。なので、挑戦しがいのある設定や役を用意する。

そのことで感動の名シーンが生まれたり、予想外の笑いが起こったりもする。俳優たちはいつも以上の力を出してくれるので、映画のレベルも上がる。俳優の力は大きい。その力を引き出すのが、監督の仕事ではあるが、その前のシナリオ段階で、彼ら彼女らをやる気にさせることも大切。俳優頑張る!=映画が面白くなる。ということなのだ。そんな思いで、毎回、シナリオを書いている。


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過労死と後輩ー映画屋の宿命。「毎回、遺作」という思い。 [映画業界物語]

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過労死と後輩ー映画屋の宿命。「毎回、遺作」という思い。

過労死という言葉を聞いたことがあるだろう。元気いっぱいの会社員。朝、妻に見送られて家を出る。午後になって会社から電話。「ご主人が亡くなられました」途方に暮れる妻。朝、あんな元気に家を出たのに...。しかし、考えてみると夫は土日も休まず、何ヶ月も、いや、1年以上も仕事を続けている。病院に行き遺体と対面。医者に言われる。「過労死です」そんなニュースを聞いたり、見たりしたことがある人もいるだろう。

その過労死に至るのが過労。休まずに働き続け、壊れてしまう。そんな話を友人にすると「働き過ぎで死んだりするもんかな?」というが、彼は会社員。仕事中はエネルギーをセーブして、仕事後の居酒屋で全力発揮するタイプ。だが、映画業界、広告業界を見ると、いつ過労で倒れてもおかしくない人たちがいる。1年どころか2年以上休みなしで働くp。1日数時間の睡眠で働く助監督。いつも局に寝泊りしているAD。制作部スタッフは映画でもテレビでも本当に大変。

長年の夢が叶い映画監督デビューした後輩がいる。家も近所でよく会っていた。僕はよく「毎回、遺作!」という。今、かかっている作品は遺作のつもりでやる。そういうと「太田さん。そんなこと言わずにいっぱい映画を撮ってくださいよ」と言われた。僕の作品を高く評価してくれていて

「もっと太田監督の作品。見たいですから....」

と言ってくれた。が、その彼がデビュー作の映画館公開直後に死んだ。過労死だった。低予算の作品。監督である後輩が何人分も働いていた。宣伝も自分でやる。監督作だけでなく、生活のために小さな仕事もいくつもこなした。見ていて、そんな仕事までしなくても....と思うようなものもやっていた。薄利多売。睡眠時間を削り、1年以上も休みなしに働き続けた。監督業のギャラは本当安い。でも、念願の映画監督デビュー。その舞台挨拶の夜に彼は逝ってしまった。僕のモットーである「毎回遺作」を本当に実践してしまった。

僕も似たようなもので、毎回7人分くらいの仕事をする。数年がかかり映画を完成。公開が終わるとダウンする。半年間寝込んだこともある。計算すると数年の間休まなかった土日祝日を全部足すと6ヶ月になった。週末は休むというのは大事なのだ。が、映画作りではそんなこと言ってられない。毎回、医者に言われる。

「休みなさい。過労をなめてはダメだよ。本当に死ぬよ」

しかし、止められるものではない。後輩もそんな気持ちだったのだろう。「沖縄戦」公開終了後からダウンしている。今回は大丈夫だと思ったが、自宅入院生活となった。考えてみると「沖縄戦」は3年がかり。映画館公開中止の危機もあった。劇映画も1本撮っている。そして「沖縄戦」はヒットしたこともあり、5ヶ月のロングランとなり、宣伝に全国を走り回った。その間に休まなかった土日祝日の仕返しが来た。

「毎回、遺作」だが、今回を遺作にする訳には行かない。まだ、やらなければならないことがある。会いに行かねばならない人、報告に行きたい人、いろいろ聞きに行きたい人もいる。が、コロナ禍もある。先方も迷惑。もう少し静養することにする。まだ、DVDを見るのも苦痛。集中力が戻らない。でも、また戦いの呼び声が聞こえて来たら、次なる場所に飛んで行こう。それが監督業のさだめじゃ。


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「細かいことが気になる悪い癖」=映画の仕事には向いていた?! [映画業界物語]

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「細かいことが気になる悪い癖」=映画の仕事には向いていた?!

小学生の頃。江戸川乱歩を夢中で読んだ。中学時代は「刑事コロンボ」が大好き。将来は探偵か刑事になろうと考えたこともある。もちろん、ホームズも、ルパンも、ポワロも読んだ。日本なら御手洗、金田一。探偵でないけど、松本、森村、も。そのせいか、今でも事件があるとあれこれ推理してしまう。

今風に言えば「細かいところが気になる。悪い癖!」という感じで、杉下右京さんにはとても共感する。が、劇中でも彼が周りから嫌われるように、僕もカタギの友人と話していると、ついその癖が出てしまい、嫌がられる。「どっちでもいいだろ!そんなこと!」とか言われたこともある。が、どっちでもよくない。そこに矛盾があり整合性がなければ、何か裏にあるはずだ。

仕事でも「あのPは怪しい...」とか感じてることがあり指摘すると、「いや、いい人だよ〜」とか否定されることがある。が、やがてそのPは大問題を起こし、金持って逃げたりする。皆「驚いたなあ〜」というが、兆候はかなり前からあった。ただ、多くが細かいことに拘らない。気にしないので見逃しているだけ。

ただ、会社員なら細かいことに気付いても、理不尽にプロジェクトが進められることもあり、指摘すると「うるさい、細かい、鬱陶しい」と言われがち。気付かない方が生きて行きやすいということあるだろう。対して映画界は細かいことが気になることが大事。撮影部でも、照明部でも、美術、製作、演出部。皆、重箱の隅を突くように仕事をする。映画が作りではそれが大事。

もちろん、監督も脚本も同じ。その意味で僕は今の仕事に合っている。そんな「細かいことが気になる」視点で社会や事件を見ると、えー?何で〜ということが時々ある。「何でそこに気づかないの?」「何でそんな発言をするの?」「それ自白したのと同じじゃん?」とか思えるのだが、周りの友人から「そうかあ?」「何が問題なの〜」と言われることが多い。

そこで疑問をFacebookやブログで書くようにした。それが自作の映画以外の記事をアップするきっかけになった。原発事故に関しても、同じように疑問を感じ、追求し、検証した。ま、刑事でもない。記者でもないので限界はあるが、あれこれ考えると真相に近づけることがある。原発事故でも最初は「メルトダウンはしていない」「放射能は漏れていない」と言われ、それを疑い、推理するだけで「デマ野郎」「不安を煽るな」「福島差別」と批判する人たちがいた。ただ、今となってはメルトダウンも、放射能が大量に拡散したことも事実となり、誰も否定しない。

そんなふうに事件があると昔からの「気になる癖」が全開。あれこれ推理してしまう。目下の興味は大統領選だ。これは国家レベルのミステリーなので原発事故以来の大きな事件。また、あれこれ書いていきたい。



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後輩を否定する先輩監督=彼が抱える歪んだ心理? [映画業界物語]

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ある中堅の映画監督。デビューからもう30年以上経つが、監督作は数本。もう10年撮っていない。その監督が10年ほど前に見た新人監督(僕の後輩です)の映画。「ダメだこリャ!」と思ったそうだ。そして昨年、その新人監督が新作を撮ったと知る。「あいつ、まだやってるのか?」と思って映画館で見た。「やっぱりダメだな〜」と思ったそうだ。が、その新人は10年の間に6本の映画を撮っていた。

その新人。その中堅監督を尊敬していたと言う。だから、その話を聞いて落胆。「まだ、やっているのか?」と言うことは「あいつは才能ない。1本で終わると思ったら、まだ、やってる。才能ないのによく撮れるよな。多少は成長したかと思って映画館に行った」と言う意味だろう。そして「やっぱりダメ」と言われたと知り、落ち込んだ。

客観的に見ると見えるものがある。実は後輩監督。その中堅監督の作品が好きなだけあって両者の作品は同じテイスト。中堅監督は後輩を可愛がってもいいようなもの。だが「ダメだ。こりゃ!」と思った。あまりに方向性が近いので近親憎悪したのだろう。もしかしたら中堅の先輩より力があった。だから認めたくない。あるいは、少しばかりテイストが違った。先輩は「それじゃダメなんだよ!分かってないな」そう考えたかもしれない。

別の推察をすると、自分はこの10年映画を監督していない。なのにその新人は6本も撮った。「許せない。あいつに才能があるのではなく、世の中が間違っている。あるいはPに取り入るのがうまい。その辺を見極めてやろう」と見た。

ただ、認める訳には行かない。認めると、同じスタイルでは後輩が優れているから何本も監督できる!と思えてしまう。絶対に認められない。後輩はダメな奴であらねばならない。そんな深層心理も働く。そこで悔しがる。憤ると言うことがあれば、まだその先輩も可能性がある。が、それを自分の価値観だけで「やっぱりダメ」と断定してしまうのは、悔しいとか嫉妬を超えて、感性が固まり自分の価値観やテイスト以外を認める余裕を失っているからだろう。

手塚治虫は若き石森章太郎に「お前のは漫画じゃない」と言ったが、あとで嫉妬だと認めて謝罪した。その嫉妬が手塚の原動力だという人もいる。「若い奴には負けたくない」。だが、その中堅監督は嫉妬ではなく否定するだけ。なぜ、自分が監督できないか?と結びつけて考えていない。映画界だけではない。どの世界も同じ。頑張る奴を「あれじゃダメだよ」と言う人に限って自分は何もせず、自身の問題点を顧みないことが多いように思える。


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