独立系のドキュメンタリーが面白い理由=大手テレビがダメな訳? [映画業界物語]
独立系のドキュメンタリーが面白い理由=大手テレビがダメな訳?
8月の終わり頃から急に涼しくなり、エアコンを1日つけてなくてもいい日が続いている。エアコンはつけたり消したりする方が電力が必要で電気代が高くなるというので、今年はなるべく消さないようにしてみた。果たしてお値段は?秋のお楽しみ?あるいは恐怖となっている。
過労でダウンして1週間が過ぎ、今回は9ヶ月の戦いだったので1ヶ月も寝込むことはなさそう。とは言え、今も近所のスーパーやコンビニに行く程度の体力しかない。以前なら新宿や渋谷に行けるようになるのが回復の目安だったが、最近では大都会に行く必要がない。映画館も、家電量販店も、居酒屋も小さな衛星都市に揃っているからだ。
おまけに居酒屋も滅多に行かない。567を恐れているのではなく、感染以前から外で飲むことが減った。ただ、部屋では毎晩。1人で飲んでいる。過労のせいで缶ビール1本で頭がグルグルするが、1日が終わりビールを飲むと夏を感じることができる。
リハビリ中ではあるが、仕事も少しづつしている。今の予定で行くと来年の2ー3月頃に編集真っ最中ということになる。申告のための準備を今からしておく。また、あれこれ考えるのも大事なこと。作業するばかりが仕事ではない。取材、撮影、シナリオ、編集、という作業をしていると他のことを考える余裕がない。それらのない期間に考える。
まだ、あまり詳しくは書けないが、構成を考えるというのも大事。え? 構成って企画段階で考えるんでしょう?と言われそうだが、そうばかりと言えない。テレビドキュメンタリーは最初に決めた通りに進める。でも、そのことでリサーチと現実が違うことも出てくる。なのにリサーチ通りの結論でまとめ要することがある。地元の人に『:::と証言してほしい」などと用意したコメントを求める。
上層部が承認した案件なので変更できないということなのだ。が、そんな馬鹿な話はない。要は後で上から注意を受けたくない。上は上で、急に変更されて問題になったら責任を取らされる。という、どちらも責任逃れが背景にある。なので取材中に新しいネタと出会う。重要な証言を得ても、企画通りでなければパス。スルーということにもなる。
これらは大きな組織でありがち。慎重に間違うわないで、作品を作ろうとしながらも、その姿勢が「責任を取りたくない」という逃げにつながり、与えられたことを確実にするというだけの番組作りになってしまう。当然、クレームが来るのを恐れる。NHKなど最たるもので、どこからもクレームが来ない番組作りをしている。
NHKでは沖縄戦を扱っても「アメリカ兵に住民が殺された」「日本兵に住民が殺された」という表現を避ける。「戦争によって犠牲者が出た」的な言い方をする。つまりアメリカからも日本からもクレームがつかないようにしている。戦争が悪い!と言っても戦争からクレームは来ない。両国の残酷な行為はできる限り描かない。それが巨大組織NHK的な番組作りである。
しかし、弱小のプロダクションなら上のようなしがらみに縛られる必要はない。スタッフは少なく上司もいない。取材中にいいネタが見つかれば取り入れられる。上から文句は来ない。リサーチと結論が違えば変更すればいい。近年、独立系のドキュメンタリー映画が面白いにはそれが可能だからではないか? テレビと違いあれこれクレームを気にせずに制作できるからだろう。
製作費やギャラは安くても本当に大切なことを伝える作品を作ることができる。組織のルールや上司の顔色を気にする必要がない。だから、面白いものができる。そんなことも考えながら、この段階でまた構成を考え直している。ま、そもそも、最初に決めた通りに行く方がおかしい。そして結果、いつもそれでうまく行く。へへへ。