SSブログ
映画監督のお仕事 ブログトップ
前の10件 | 次の10件

脚本を書くということ(11)青春ものだと? [映画監督のお仕事]

  999519_470080906399552_678435413_n.jpg 

あるとき、プロデュサーをやる友人に言われた。

 「太田はSFとかファンタジーのシナリオばかり書くけど

 今の日本映画界で一番、認められないジャンルだぞ!

 (当時は確かにその通り。それらを理解できる映画会社の重役は皆無)

 プロのライターだって、好きなものばかり書いている訳じゃないし

 他のものを書いてみろよ」

 ちとおかしな話だと思った。

 プロはギャラをもらってシナリオを書く。

 ギャラももらっていないのに、なぜ、好きでもないジャンルを書く必要があるのか?

 僕は当時プロではない。

 と反感を持ったが、友人がいおうとしたのは

 「SFやファンタジーの需要はゼロといっていい。

 だから、低予算でできる深夜ドラマの青春ものとか、

 そんなシナリオを書いた方が実現する可能性が高いんじゃないか?」

 ということだった。それなら、その通りだ。
 
 当時(今も)青春映画が大嫌いだった!

 (なのに、今は青春映画ばかり監督している?)

 でも、確かにSF映画に比べると、遥かに需要はあるし、制作費もかからない。

 青春映画のシナリオ書いてみようと思った。

 ただ、興味のない青春もの。何を書けばいいのか?

 僕らの世代で「青春もの」というと、「飛び出せ! 青春」

 だが、あんなストーリーは書けない。

 その時代に、あんな物語では絶対に受けないというのもある

 今、ふうの青春もの。けど、背景が書けない。

 学生時代に運動部ではないし、好きなスポーツもない(格闘技は好き)

 野球やテニスが好きなら、定番だが、興味がない。

 青春ものにスポーツはつきもの。駄目だ。

 「金八先生」シリーズは好きで全シリーズ見ていたが

 教師経験もなく、あんな凄いシナリオはとても書けない。

 恋愛ドラマはさらに興味なし。

 そう考えていて、不安になった。

 そう。アメリカ留学前からの大きな不安を思い出した。

 (つづく)

 m_E68989E58699E79C9FE_edited-3.jpg
nice!(0)  コメント(0) 

脚本を書くということ(10)映画ファンはシナリオを理解して読む? [映画監督のお仕事]

  1001824_471601696247473_289664889_n.jpg

 また、一般の友人に読んでもらっても

 無意味なことが多かった。

 シナリオを読み慣れていないことがあり、どんな映像になるか?想像できない。

 小説だと思って読んでしまう。感想はだいたい同じ「何か足りない」

 でも、何が足りないか? 言える人はいない。

 そして、「シナリオ。読み慣れてないから分かりづらいよね?」と訊くと

 ほとんどの人がこういう

 「いいや、ちゃんと読んだ。内容も分かった。でも、何か足りない」

 だが、ほとんどの友人が内容を理解してなかったことはあとで分かる。

 足りなかったのは友人の「想像力」だった。

 ま、一般の人だからね、読ませる僕の方は悪い。

 一番、参考になったのは、映画ファンの友人。

 彼等は学生時代にシナリオを書いていたり、

 映画を見たあとに、その作品の脚本を読んでいたり

 下手なプロデュサーより見る目があった。

 あと、現役の監督。脚本家。やはり、プロなので見る目は鋭い。

 そんなふうにシナリオを書いては見せてまわる時代が続いた。

 が、いくら映画ファンの友人が評価してくれても

 映画化の権限がある人たちが認めてくれないと、監督デビューはできない。

 それこそ、「漫画原作の映画化権をとってきて売り込んだ方が早い」と言われた。

 それでも、オリジナル脚本にこだわり。

 シナリオを書き続けた。

 それだけに、若い友人の気持ちも良く分かった。

 (つづく)

 m_E68989E58699E79C9FE_edited-3.jpg
nice!(0)  コメント(0) 

脚本を書くということ(9)1年がかりのシナリオがボツ! [映画監督のお仕事]

 DSCN3569.jpg

 僕自身の話をしよう。

 USC(南カルフォルニア大学)映画科で学んで帰国したあと

 日本で映画監督になるべく、バイトをしながらシナリオを書いていた。

 シナリオは高校時代から書いていた。

 キネマ旬報に載ったものを見て、マネして書いた。

 横浜時代(高校卒業後)も自主映画をしていたので、シナリオを書いた。

 そんな延長で帰国後もシナリオを書く。

 映画界では「助監督」=>「監督」というコースが崩壊しており

 可能性があるのは自主映画を撮って認められること

 あるいはシナリオを書き、認められて監督デビューしかなかった。

 今回の主人公。若い友人もそれを実践したのだが、

 今から20年前。僕も同じことをしていた。

 1年がかりで書いたシナリオ。

 業界の友人が気に入り、ビデオ映画化を考えてくれたが

 会社側が拒否。潰されてしまう。

 その後もシナリオを書いては、業界の友人や映画ファンの友人に見せて

 批評してもらった。あとで分かってくることだが、

 プロデュサーという人たちが「いい!」ということはまずなかった。

 彼等に「いいもの」を見抜く目はない。

 (のちに僕が書いたシナリオを見た、とあるテレビ局映画部のプロデュサー。
 
 「これは映画として成立していない」と言われたが、

 映画化すると映画館では何度も拍手が起き、場内号泣となった)

 結局、彼らの価値観は原作が100万部売れているとか、

 人気アイドルの***さんが出演するから

 そんなことでしかシナリオを判断できないのだ。

 (つづく)

 m_SAI_4711E381AEE382B3E38394E383BC.jpg
nice!(0)  コメント(0) 

脚本を書くということ(8)オレはシナリオが分かってる? [映画監督のお仕事]

 DSCN4250.jpg

 若い友人は、僕より若いといっても、それなりの歳。

 助監督を10年以上続け、もうベテランだ。

 が、脚本家ではない。

 脚本を10年書き続けてきた訳ではない。

 その彼がいきなり脚本を書こうというのだから、それは凄い挑戦。

 簡単に書けなくて当然。というのがまずある。

 逆にいうと脚本家が「助監督になる!」というのに近い難しい戦いだ。

 そういうと、業界の友人たちは

 「それは無理だよ。ライターがいきなり現場で仕事はできない」

 その通りだ。

 が、なのに、助監督が脚本を書くというと誰も驚かない

 むしろ、「がんばってるなあ」と応援。評価する。

 無謀なんて言わない。

 が、実は脚本家が助監督に転身するのと同じくらいに大変なことなのだ。

 現場スタッフ。よく勘違いすること。

 シナリオを読んで「これは酷いなあ。本当にプロかよ?」とか平気でいう。

 中には「オレが書いた方がマシだな」と言う人もいる。

 助監督や監督だと、自分で書き直し。

 「オレが直さなければ、最悪の映画になっただろう」

 と誇らしげに言う。だが、大切なものを見落としている。

 どんな酷いシナリオでも、ゼロから生み出した作品。

 (もちろん、原作ものもあるが。だとしても同じ)

 できたものを見て直すと、ゼロから生みだすのとでは

 全くレベルが違う。それを多くの監督や助監督はシナリオを直しただけで

 「オレが良くしてやった」

 と自分の方がシナリオが書けるかのような錯覚をしてしまうのだ。

 同じように、企画意図だけ与えられて、

 その脚本家と監督がシナリオを書いていたとしたらどうなったか?

 たぶん、監督の方がより酷い脚本になっていたはず。

 でも、そんな勝負をすることはないから、直しをしただけで

 「オレはシナリオが分かっているからなあ」

 「自分は書ける」と勘違いしてしまうのだ。

 厳しいことを言えば、その友人もその一面がある。

 それでも書こうとしたことは評価するが

 その勘違いが壁となり、彼は満足するシナリオが書けなかったのである。

 (つづく)

 m_E68989E58699E79C9FE_edited-3.jpg


nice!(0)  コメント(0) 

脚本を書くということ(7)シナリオは化石堀と同じ? [映画監督のお仕事]

 DSCN4248.jpg

 まず、物語を作るということ。

 映画のシナリオでも、小説でも、漫画でも同じ。

 頭で考えて書くものではないということ。

 よくシナリオ学校にいくと、

 テーマを決め、登場人物を決め、設定を決め、事件を考えて、展開を考えて

 箱書きという奴をして、

 それからシノプシスにして、ようやくシナリオにする。

 登場人物は個性がなければならない。とか、いろいろと講師はいうもの。

 その方法論で友人も物語を作ろうとしたのだ。

 それは間違いではない。が、

 そんなふうに机の上で考えて、物語はできない

 物語はそんなふうにパーツを作り、はめ込んで行くものではない。

 あえていえば、化石を掘るようなもの

 ここに何か埋まっている。

 恐竜か? マンモスか?

 それをまわりから掘って行くと、おーーーーチラノザウルスかも?

 いや、ベラキラトプルだ。ってなものだと考える。

 話。抽象的で分かり辛いので、具体的に説明する。

 (つづく)

 m_E68989E58699E79C9FE_edited-3.jpg













nice!(0)  コメント(0) 

脚本を書くということ(6)ルーカスになれない理由? [映画監督のお仕事]

 
 DSCN3965.jpg

 「なぜ、ルーカスが作るような物語が書けないのか?」

 「なぜ、スピルバーグのようなアイディアが浮かばないのか?」

 助監督を続ける友人はシナリオが書けず、悩み込んでいた。

 で、そのルーカスが勉強した大学。USC映画科で学んだ僕に相談して来た。

 これまでの話を聞き、さらに彼が作りたいという映画のストーリーを聞いた。

 それで分かったこと。

 まず彼は「スターウォーズ」みたいな映画を作りたいという思いはあるが

 具体的に、こういう主人公がいて、こういう世界で、こういう事件が起きて

 というアイディアがない。

 ない。というと、語弊があるが、彼が書いたシノプシスを読むと

 「スターウォーズ」の亜流。

 或いはマネという物語でしかない。

 若い友人が偉いのは、それに気づいていることだ。

 だから、「これは違う」「こうじゃない」と悩んでいるのだ。

 では、どうやったら、斬新な、物まねでないストーリーができるのか?

 いや、彼の場合。その前の段階がある。

 そこを見つめなければ、映画はおろか、物語を作る、シナリオを書くなんてことは

 できないのである。

 それは....


(つづく)

 m_E68989E58699E79C9FE_edited-3.jpg



nice!(0)  コメント(0) 

脚本を書くということ(5)プロがギブアップ。 [映画監督のお仕事]

 63986_438962849511358_2059589394_n.jpg

 が、やはり、何か違う。

 問題点を脚本家の友人に指摘。直しを頼む。

 1週間後。上がり。読む。

 やはり、違う。さらなる問題点を指摘。直し。

 ま、シナリオ作りとはそういうものなのだが、

 実は彼には大きな問題点があった。が、脚本家の友人もそれには気づかず。

 2人は作業を続けた。

 半年経ったが、友人が満足するものはできず。

 脚本家はとうとうギブアップ。

 友人はまた1人で書くことにした。

 映画作りとは、こんなことを何度も繰り返してシナリオを作るのだが

 それとは違う。大きな間違いがあり

 彼のシナリオは前に進まなかったのである。

 (つづく)

 m_E68989E58699E79C9FE_edited-3.jpg


nice!(0)  コメント(0) 

脚本を書くということ(4)脚本家の友人の助けを借りる [映画監督のお仕事]

 527896_423876754353301_1172516665_n.jpg

 若い友人は悩んだ。

 「オレは長年助監督をしてきて、撮影現場のことは熟知している。

 有名監督とも何度も仕事をして、演出技術も学んだ。

 自主映画出身の監督たちを見ていると、ほんと勉強不足で

 ろくに現場をまわす技量もない。

 あんな連中に比べれば、オレの方がずっと監督してできるはずだ。

 問題はチャンスだ。

 今の日本映画は漫画原作が主流。でも、それは嫌だ。

 やはり、オリジナルで勝負したい。

 なのに、シナリオが書けない......」

 ということで、まずシノプシスを書くことにした。

 いわゆる粗筋のようなもの。

 主人公の設定を決め、物語を作り、事件を考える。

 が、何か違う.........,何かしっくり来ない。

 で、友人の脚本家に相談。自分が考えたことを話。

 物語としてまとめるように頼んだ。

 ちゃんとギャラも払うと約束。

 数週間後。彼のアイディアはシノプシスになって上がって来た。

 (つづく)

 m_E68989E58699E79C9FE_edited-3.jpg
nice!(0) 

脚本を書くということ(3)ハリウッド映画を目指して! [映画監督のお仕事]

 E38381E383A3E382A4E3838BE383BCE382BAE382B7E382A2E382BFE383BC-dbac5-52250.JPG

 若い友人はしばらく助監督業を休み

 彼は前々から考えていた物語をシナリオにすることにした。

 ハリウッド映画。

 日本映画より、やっぱりハリウッド映画が好き。

 暗くて、陰気な日本映画(70−80年代の日本映画はまさにその通りだった)は嫌

 明るくて、豪快で、前向きな、ハリウッド映画のような作品を作りたい。

 目指すは「スターウォーズ」だ!

 もちろん。日本映画でそんな予算はかけられないが、

 昔、映画学校のシナリオクラスで学んだ通り。

 「予算など考えずに、イマジネーションを広げて、好きに書くことが大切」

 という先生の言葉を思い出し、パソコンに向かった。

 が、なかなか、ペンが進まない。いや、パソコンなので、キーが進まない(?)

 「スターウォーズ」だけでなく、

 「インディジョーンズ」や「バックトウ ザ フューチャー」も大好き。

 そんな物語を書きたいのに、なかなか、書けなかった。

 その理由が分かるのは、ずっとあとのことだが

 映画監督になるための、最大の問題点だったのである。

 (つづく)

 m_E68989E58699E79C9FE_edited-3.jpg

 


nice!(0)  コメント(0) 

脚本を書くということ(2)友人助監督の野望? [映画監督のお仕事]

 69651_428929613848015_405416613_n.jpg 


 昔、映画会社全盛のころは

 10年ほど助監督をすれば、やがて監督になるチャンスをもらえて

 2本立ての1本を監督させてもらえるという習慣があった。

 が、それも崩壊。

 助監督を10年続けても、20年続けても、監督になれる補償はなくなった。

 だから、今の助監督たちは大変。

 長年助監督をして、そろそろかな?と思っているとプロデュサーが

 助監督経験のない、自主映画出身の監督を連れて来てしまう。

 助監督経験があると、監督には相応しくないかのような言い方までするらしい。

 ま、確かに今、監督として活躍しているのは

 ほとんどが自主映画経験者で、長年助監督経験をして...という人は本当に少ない。

 そんな中で監督を目指し、

 助監督を続けている若い友人(といってもあまり若くないが)がいる。

 彼が助監督を始めたころは、まだ助監督出身の監督がいたのだが、

 時代は変ってしまった!

 でも、諦めないのは彼の偉いところ。

 自分でシナリオを書き、

 プロデュサーに認めさせて監督デビューをしようと考えたのだ。

 (つづく)

 m_E68989E58699E79C9FE_edited-3.jpg


nice!(0)  コメント(0) 
前の10件 | 次の10件 映画監督のお仕事 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。