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7年前の今頃。「朝日のあたる家」撮影中。 山本太郎さんアップの日。 「お疲れ様でした!」と握手。 [思い出物語]

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7年前の今頃。「朝日のあたる家」撮影中。

山本太郎さんアップの日。

「お疲れ様でした!」と握手。

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帽子の後ろ姿が私(この映画の監督)


予告編=> https://youtu.be/06Y47Ff657E



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子供の頃は映画監督ではなく「報道記者になる!」と夢見ていた? [思い出物語]

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子供の頃は映画監督ではなく「報道記者になる!」と夢見ていた?

小学生の頃の文集を開くと「将来の夢」の欄に「報道記者」と書いてある。1960年代の小学生なら「パイロット」とか「電車の運転手」とか、或いは「社長」と言う子もいたが、「報道記者」というのは僕だけだった。

なぜか子供心に「事件を追う」「報道する」ということに興味があったのだろう。でも、刑事とか警官ではなく「記者」というところが子供らしくない。当時、テレビドラマで「事件記者」とか「特捜記者」というのがあったので、その影響かも。

そんな思いが生きたのが、シナリオライター時代に担当したドラマ「女子高生コンクリート詰め殺人事件」実在の事件なので犯行現場あとにも行き、誘拐された場所や移動経路も実際に歩き、関係者に取材もした。「朝日のあたる家」のときは原発問題を調べた。事件や犯罪ばかりではなく「青い青い空」のときは書道が題材だったので、4年取材。近作の「ドキュメンタリー沖縄戦」も同様。3年間、取材した。

何事も、調べ、取材しなければ語れない。そう思えて、シナリオを書く訳でもないのに、選挙となると街灯演説を聞きに行き、マスコミ報道を調べ、Facebookで記事を書いてしまう。まるでフリーランスの記者!トランプが異常に嫌われ、批判されると「何か、おかしい?」と思え、様々な報道を比較。情報を集め、事情通に取材してしまう。ネットや報道の情報を比較。総合するだけでも、いろんな真実が見え、見ないものが少しづつ見えてくる。

僕が作る映画は青春映画や家族ドラマが中心だが、テーマである「親子に伝える大切なこと」そして近年の「幸せって何だろう?」という疑問も、社会や時代を見つめることで、答えが見えてくることがある。マスコミの報道をすぐには信用せず。その背後にあるものも見据えること。そこに未来が見え、子供たちに伝えるべきこと。自分たち大人がしなければならないことが明確になってくる。

そんなこともあってFacebookではあれこれ、いろんなことを書いている。そこから次の作品のテーマも見えてくる。


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原発事故を描いた映画「朝日のあたる家」ー上映拒否が続いた頃。嘘で誤魔化し原発を避けて通る人たち。 [思い出物語]

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原発事故を描いた映画「朝日のあたる家」ー上映拒否が続いた頃。映画館の呆れた言い訳? 原発を避けて通る人たち。

2013年。原発事故の悲しみを描いた映画「朝日のあたる家」を製作、監督。山本太郎さんも出演。完成したが、上映拒否をする映画館もあり、物語の舞台となった静岡県では1館のみの上映となった。その時、静岡県のある方から、こんなメッセージを頂いた。

「朝日のあたる家、上映してほしいです。地元静岡の***劇場は私が直接、支配人に会って、上映をお願いしてきます!」

その方は原発反対している団体の主婦。「朝日」の上映を望んでくれている。訪問後に再び連絡を頂いた。映画館側の主張は以下の通り。

 ①映画配給会社の系列の関係で上映できない(詳しくは話せないと支配人はいう)

 ②「朝日のあたる家」の内容に問題があると判断したわけではない

 ③ 反原発団体が上映するなら、劇場を有料で貸す。

呆れてしまった。①の系列の関係で上映できないは明らかなウソ! 配給会社にも確かめた。「上映してほしい」と劇場側にお願いしたが、半年後に”上映できない”との返事があったとのこと。系列問題は昔のこと。今は存在しない。「系列問題」というは、こうだ。

昔は東宝系、松竹系、東映系と分かれていて東宝の映画は松竹の映画館では上映できない。ということがあった。が、今は東宝のシネコンで松竹映画が上映され、系列問題は存在しない。そんなありもしない過去の話で「上映できない」と回答をしている。「詳しくは話せない」というのも、詳しく話すとウソがバレるからだ。

劇場がやる気があれば上映できる。

では、なぜ、そんなウソを着いたのか?劇場を訪ね上映を懇願した方が反原発支持者だからだ。回答の②で上げているが「内容に問題があると判断したわけではない」がそれを物語る。原発が題材だから断ったのではないといいたいのだが、系列の問題がない以上。上映はできる。

しかし、原発関係者からクレームが来るのが怖くて上映したくない。それでウソを言ったのだ。なのにその支配人。上映拒否をしながら、上映を懇願にいった反原発団体には「上映するなら、会場を貸す」といったそうだ。

隣の町では「朝日」を上映して記録的なヒット。

上映すれば大ヒット間違いなし。でも、原発関係者からクレームがあると怖いので、反原発団体に主催させて上映、何かのときには責任を逃れができる立場でいながら儲けようということ。それも会場費がバカ高い。公共の施設で上映すれば、その10分の1以下の費用で上映できる。それが静岡県のある映画館だ。

この件。詳しく書いたのは、映画館だけでなく、多くの会社や企業。団体が同じようなパターンで、原発を避けて通ろうとしているからだ。原発問題に関わると、何か言われるかもしれない。クレームがくるかもしれない。怖い。だから、避けて通る。

でも、それでは恥ずかしい。だから、ウソの理由で上映できないと説明。推進派が怖い。同時に反原発の人たちも怖い。そんな人たち、そんな会社がまだ数多く存在する。

だが、本当に怖いのは原発推進派ではない。

その映画館から遠くない場所にある「世界で最も危険な原発」なのだ。同じことは沖縄戦にも言える。多くのメディアが避けて通る。映画化された作品も数本。原発と同じ構図だ。それを3年に渡る取材。沖縄戦がいかに理不尽で残虐なものであったか? 

「ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶」を作った。沖縄で秋に完成披露試写会を行うとのこと。ぜひ!見てほしい。

特報=> https://youtu.be/Wv5MK0fRauI


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太田隆文第1回監督作品「ストロベリーフィールズ」出演:佐津川愛美・芳賀優里亜・東亜優・谷村美月・若手俳優たちの名演に涙が溢れる! [思い出物語]

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「ストロベリーフィールズ」(2005年)

出演:佐津川愛美・芳賀優里亜・東亜優・谷村美月・波岡一喜・三船美佳

若手俳優たちの演技に涙が溢れる!

昭和40年代を舞台にした女子高生の幽霊ファンタジー。

カンヌ映画祭2005 フィルムマーケット招待作品
ジャパン・フィルム・フェスティバル・LA 201111招待作品

監督ブログ=>http://t-ota.blog.so-net.ne.jp

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「原発映画には出演できない!」有名俳優の事務所からNOの連続 (後編)=しかし、日本の俳優には熱い人たちがいた! [思い出物語]

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「原発映画には出演できない!」有名俳優の事務所からNOの連続 (後編)
=しかし、日本の俳優には熱い人たちがいた!

2012年。前年に起こった原発事故を映画化しようと考えた。「原発映画を撮ったら2度と商業映画は撮れない」と映画界では言われたが、製作をスタート。企業からの出資は1円もなく、多くの心ある方々からの寄付で制作費を賄う。が、問題は続く、出演俳優。次々に拒否された。「原発事故の映画」というと多くの俳優事務所が断ってきた。

テレビや映画で活躍する主役級の俳優やCMに出ている俳優は当初からダメと考えていた。原発以前にギャラが高いし、CMでもらえる高額なギャラを失いたくないという思いがある。何より銀行や電力会社のCMに出ているのは原子力ムラ側だ。ただ、それらではない俳優からも拒否が続いた。

社会派映画で活躍する人。硬派俳優。一匹狼タイプの役者。そんな人たちもダメ。理由は原発デモ等に参加、発言を続ける山本太郎さん。出演依頼がなくなり、事務所に誹謗中傷。辞めざるを得なくなった。そのことからも「原発に関わると仕事がなくなる」と考えたのだ。いや、それ以前から「原発関係」の作品はヤバいという噂があり、太郎さんの事件でそれを実感したのだ。

しかし、どこも「原発映画なので出れません」とは言わない。別の理由で断ってくる。メインキャスト候補のリスト。20人ほどいたが、次々に削除線が引かれ候補が減って行く。だが、日本の俳優。捨てたものではない。誰もが「原発映画は...」と萎縮する訳ではなかった。「シナリオが素晴らしいから出たい」というベテラン俳優。原発事故が題材というのに「よろしくお願いします」といってくれる俳優事務所もあった。それも大手だ。

ある有名俳優は「私も出たい!と連絡して来た。が、事務所が猛反対で諦めることになる。テレビに毎週出ているタレント。「ぜひ!出演したい」と言って来れた。最終的にはベテラン数人が同じ役を争うことになった。日本の俳優も捨てたものではない。「原発映画でも出たい」「原発映画だから出たい」「原発は関係なく出たい」そんな俳優や事務所が存在したのだ。

最近の映画で「反政府的なイメージつくので」とある有名女優が断ったので、海外の俳優を起用したという作品があったが、あれはおかしい。知名度がある日本の俳優で「やる」という人は必ずいる。日本の俳優で熱い思いを持つ人。少なくない。日本の俳優をなめてはいけない。中にはこんな俳優さんもいた。

「以前から原発問題には関心がありました。でも、事務所から原発に関する発言は絶対にするなと言われてました。けど、今回はセリフで堂々と原発を批判することができます。出演できて本当に嬉しい」

思いのある俳優が集まった。そんな中、一つの役がまだ決まっていない。そう、それこそが最終的に山本太郎さんにお願いすることになる伯父さんの役。そこまでに熱いドラマが展開する。が、それはまた別の機会に。

そんな七転八倒しながら作った「朝日のあたる家」以来の問題作「ドキュメンタリー沖縄戦 知られざる悲しみの記憶」が完成。今回は沖縄戦のあまりにも酷い実態。死んで行った住民の慟哭を伝える。スポンサーが今秋、沖縄で完成披露試写会を準備中とのこと。是非是非、見て頂きたい。「朝日」以来の衝撃作となっている。

特報=> https://youtu.be/Wv5MK0fRauI


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「原発映画は出演できない!」有名俳優の事務所からNOの連続!(前編)=映画「朝日のあたる家」を作った頃= [思い出物語]

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映画「朝日のあたる家」を作った頃
=「原発映画は出演できない!」有名俳優の事務所からNOの連続!(前編)

山本太郎さんに出演してもらい、原発事故の悲しみを描いた映画「朝日のあたる家」もう映画館公開から6年になる。製作時、公開時の苦労話はすでに書いたので、それらに並び大変だったキャスティングについて話す。ある意味で一番、苦労した部分かもしれない。

当時、山本太郎さんはまだ俳優だったが、反原発デモに参加したり、原発事故について発言したりしたことで、テレビ局も、映画会社も、仕事を敬遠したのだ。今、考えるとこれも圧力というより、政府、原子力ムラに対する忖度だったのではないか? ムラは電力会社だけでなく、銀行(三菱や住友)、商社、から多種多用の大企業の集合体だ。

事故を起こした福島の原発も、日立、東芝、三菱重工が作ったもの。(テレビでそのこと結局、報道してないよね)そんな大手が関わり、さらに国策だ。事故でどれだけ多くの人に被害を与えようとも、テレビ局も、映画会社も、原発を批判する俳優を起用しなかったのである。それは太郎さんから始まったことではなく、以前から。原発だけでなく「芸能人は政治について発言してはいけない」という暗黙の掟があった。

映画監督なら「原発映画を監督したら、二度と商業映画は撮れない」と言われた。にも関わらず、太郎さんは原発批判を続け、僕は原発映画を監督してしまうのだが、そんな二人が出会うのはもう少し後になる。太郎さんはそのことで仕事を干され、事務所には嫌がらせの電話が頻繁にかかり、迷惑をかけないためにも事務所を辞めることを決意。

他の芸能人は「原発に関わると山本太郎のようになる」と考え、その手の発言をより控えるようになった。そんな時期に僕は「朝日のあたる家」を企画。大企業が一切出資しないにも関わらず、心ある多くの人たちから寄付を頂き映画製作をスタートさせた。(今、思うと「れいわ新選組」スタイルだな)次はキャスティングである。

だが、先にも説明した通り。原発に関して発言するのもはばかられるのに原発事故の映画に出演!というのは俳優にとって物凄くリスク。僕は「二度と商業映画は監督できなくてもいい!」という覚悟で、東京湾に沈められてもいい!と思いかかっているが、俳優はそうは行かない。原発映画に出たために干されたり、仕事がなくなるのは嫌だ。

多くの俳優事務所から出演拒否された。もちろん「原発事故の映画だからダメ」とは絶対に言わない。別の理由で断ってくる。少し前に話題になった映画。「反政府的なイメージがつくので出演できない」と断ったある有名女優の事務所の話が週刊誌に出ていたが、それはあり得ない。とにかく、最初にリストアップした知名度のある俳優にはほとんど断られた。

しかし、芸能界は広い。全員が断るかと思いきや、そうでもない俳優たちもいた。ザ・役者根性を痛感する展開となる!(続く)


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「朝日のあたる家」映画館が次々に上映拒否した頃(下)=ホール上映では自己満足。どうすれば多くの人が見てくれるのか? [思い出物語]

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「朝日のあたる家」映画館が次々に上映拒否した頃(下)=ホール上映では自己満足。どうすれば多くの人が見てくれるのか?

2013年。原発事故の悲劇を描いた映画「朝日のあたる家」を企業からの出資なしに寄付だけで完成させたが、大手映画館チェーンだけでなく、独立系からの上映拒否。もはや、お蔵入りか?と思えた時期がある。そんな時、いろんな人から進言があった。

「映画館公開は無理です。皆、圧力がかかっています。ホール上映をしましょう。自主上映をするべきです」

その考え方は間違ってはいない。例えば人権や差別をテーマに映画。大切なことを伝えているが娯楽性がない。映画館で上映しても一般の動員が難しい。その種の映画はホールや市民会館を借りて上映する。実際、「朝日」は多くの団体から自主上映希望が来ていた。

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通常は映画館公開が終わってから、その手の上映依頼が来るのだが、原発事故の映画という商業映画では絶対に作れない作品ということで話題になり連絡がいくつも入っていた。「それならその団体に上映してもらった方が...」と友人にも言われたが、それではダメ。

今でもそうだが、原発ドキュメンタリーがホール上映され、見に行くと客のほぼ全てが反原発の人たち。すでに勉強し、それなりに原発事故や放射能に詳しい。映画を見て「やっぱり原発はいけない」と決意を新たにして帰る。意味がないとは言わないが、それでは広がらない。自己満足で終わる可能性がある。

また、その形ではマスコミが取り上げない。団体が前売券を売り、反原発の人たちが集まる。それで完結。でも、映画館公開の場合は、多くのマスコミが取り上げる。新聞、雑誌の映画紹介ページ。ラジオ、インターネット番組で紹介。映画ファンが見るサイトでも扱われる。それだけで物凄い宣伝になり、「原発事故を描いた映画」があることが伝わる。

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また、映画館に行った。お目当の映画はすでに上映が始まっていた。別の映画にしよう。「お、この映画。山本太郎が出ている! 話題の人だ。見てみよう」と原発に興味のない人も見る可能性がある。友人を誘う時でも「原発映画を見る会というのが、視聴覚ホールであるんだけど、行かないか?」と言われて原発に興味ない人が「是非是非」とは答えない。何だか怖い。対して映画館で上映しているのなら気楽に行ける。

だから、映画館公開は譲れなかった。数ヶ月が過ぎても上映館は決まらなかった。そんな時、横浜の映画館がやりたい!と手を上げてくれた。愛知県のシネコンチェーンが「やる!」と連絡をくれる。そこで「東京新聞」と「週刊プレイボーイ」が記事にしてくれた。そのことで「だったらウチで上映しましょう」という連絡が各地から来た。

ネットでは「山本太郎が出た映画をお蔵にできない」「原発映画を応援したい」と盛り上がった。多くの人が地元の映画館に電話。「朝日のあたる家は上映しないんですか? やらなければ二度とおたくの映画館にはいきませんよ」と過激な連絡をする人たちもいた。「上映するならチケット300枚売りますよ」という婦人団体。こうして上映館は増え、全国23館で公開された。

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そしてほとんどの映画館でヒット。沼津の映画館ではその年のナンバー1ヒット。愛知では開館以来初めて満員御礼が出た。子供から大人まで大きな反響があった。こうして多くの人の応援で「朝日のあたる家」は映画館公開を果たし、その後は世界6カ国で上映された。

そして今年、それ以来の社会派作品を完成させた。「ドキュメンタリー沖縄戦」だ。原発も沖縄戦も同じ構図だ。「朝日」と同じく、日本人が知るべき悲しい、過酷な現実を描いている。今秋、沖縄で完成披露試写会を準備中。ぜひ、見て欲しい。

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「朝日のあたる家」映画館が次々に上映拒否した頃(中)=原発映画を金儲けの道具としか考えない支配人? [思い出物語]

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「朝日のあたる家」映画館が次々に上映拒否した頃=原発映画を金儲けの道具としか考えない支配人?(中)

上編=> https://cinemacinema.blog.so-net.ne.jp/2019-09-05

2013年5月。映画が完成。配給会社から映画館に上映依頼。でも、「原発事故」が題材なので次々に拒否された。原発ドキュメンタリーを上映する映画館もダメ。通常の独立系もダメ。思い切って大手映画館チェーンに連絡したが、当然ダメ。もちろん大手は「原発の映画なんて上映できないよ」と正直には言わない。「スケジュールが詰まっていて無理です」という言う。

愛知県にある小さな映画館。かなりマイナーなものでも上映してくれるところがある。そこなら可能性がありと言うことで依頼。こう言われた。

「原発のドキュメンタリー。最近は本当に入んねえだよなあ。ドキュメトがダメなのにドラマなんて客が来る訳ねえよ。でも、まあ、来年の3月11日に1日だけ上映すれば、ちったあ客が来るかもしれねえなあ〜」

その時は夏だった。8ヶ月以上も後の翌年の3月に1日だけの上映なら考えてもいいと言う。その話を聞いて怒りがこみ上げた。マイナーな映画でも、原発ドキュメンタリーでも上映する映画館だと聞いていた。原発事故について知りたい人が多い時期だったので、そのためどんどん上映しているのだと感じていた。

が、そうではなく儲かるから上映していただけ。それはいい。映画館だって儲からないとやっていけない。問題は3月11日にやれば「ちったあ客が来るだろう」と言う発言。原発事故を何だと思っているのか? 嘘でも「被災者の方々のこと。その日に考える機会になるから」と言えないのか?「ちったあ客が来るだろう」だと!儲けしか考えていないのか!原発は単なる金儲けの手段か!と言いたかった。

怒りが爆発した後。落ち込んだ。国策である原発。その事故による悲しみを伝えることを快く思わない人や組織がある。その人たちに忖度してその手の映画は上映しない。何かあると怖いからと多くの映画館は逃げ腰。でも、それが現実なのだ。

当時から僕はブログとツイッターをやっていた。万が一。圧力がかかった場合は全て書いて発信するつもりにしていた。僕がもし誘拐されれば連載が止まる。そうすれば異変も伝えられる。何が起こるか分からない。そんな状況を毎日ツイートすると、共感の声が上がり始める。原発に反対する人たち。そして出演してくれた俳優の山本太郎を支持する人たちだ。

「それは酷い!」「映画館、最悪!」「根性ねえあなあ〜」「圧力がかかったんだ。経産省かな?」「その映画絶対に見たい!」「太郎の映画をお蔵にはできない!」「応援できることありますか?」

応援はどんどん広がる。そんな時、2本の連絡があった。ツイッターを見たとのこと。こう言われた。

「映画館で上映できないそうですね? 詳しくお話を聞かせてもらえませんか?」

1つが「東京新聞」もう一つは「週刊プレイボーイ」だった。その6年後。参議院選でほとんどのテレビ局が無視したのに「れいわ新選組」特集をしたのも、まさにその2誌。そこから逆襲が始まる!(続く)




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「朝日のあたる家」映画館が次々に上映拒否した頃(上)=圧力もないのに自粛する支配人達。 [思い出物語]

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「朝日のあたる家」映画館が次々に上映拒否した頃=圧力もないのに自粛する支配人達。福島の現実を見つめない人々。(上)

原発事故が題材なので制作費集めが大変だった。が、映画館上映に関しては楽勝だと考えていた。当時は原発事故から2年。独立系の映画館で上映されるドキュメンタリー映画に多くが関心を持っていた。事故や放射能についての知識を映画から得ようとしていた。「朝日のあたる家」は大手映画館での上映は無理だとしても、その手の独立系の映画館なら喜んで上映してくれるだろう。

ところが、その手の映画館がまず上映拒否。いろんな理由があった。まず事故直後は先に説明したドキュメンタリー映画を多くの人が観に来ていたが、次第に客足が減っているので「原発関連はもうダメ」と判断する映画館。次に「ドキュメンタリーはまだ多少は客が来るがドラマだからダメ」という映画館。

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そう「朝日のあたる家」は劇映画だ。かつて日本映画で原発事故を描いたものはなかった(「原子力戦争」は背景の一部にそれがあったが、基本は殺人事件の話)そして「朝日」の直前に日本初の原発事故の映画が公開されたが(先起こされた)大ヒットとはならず、前例にならなかった。こんな理由もあった。

「2度目の事故が1回目と同じ展開な訳がありません。想像力というものがないのですか? そんな映画をウチで上映することはできません!」

「朝日」は福島の事故と同じ展開にしてある。時間経過も同じ。テレビ報道も官房長官の言葉も枝野が言った通り。それでいて別の街で事故が起こった設定にすることで、自分の故郷で原発事故に巻き込まれたらこうなる!と観客に感じさせる。

福島を舞台に描くと「福島、大変だね」「気の毒だね」と現実同様に他人事になってしまう。どこにでもある田舎町を舞台にして観客自身が原発事故を体験できるようにしたのだ。その意図が理解されず「福島と同じ展開なのは作家に想像力がない」というのだ。

しかし、2回目の事故を想像して、より酷い被害の物語を作っても意味はない。テレビでよくあるシュミレーション・ドラマに過ぎない。あれらを観ても「へーーそうなんだ」と思うだけ。そんな作品で恐怖や悲しみは伝わらない。突き刺さるのは現実。だから福島の事故を別の街で再現した。そのことで福島の人たちの悲しみや苦しみ。恐怖や絶望感を観客に伝えることができる。


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なのに「想像力のない映画」としか解釈せず上映を拒否。想像力がないのはどちらだ?と思うのだが、このように原発関係のドキュメンタリー映画を上映する映画館からまずNOを突きつけられた。そこで、その種の映画を上映したことのない独立系映画館にアプローチ。今度は定番の答え。

「原発事故の映画は上映できません...」

中には「原発事故で政府がこんな酷い対応をするわけがない! リアリティのないドラマだ」という支配人もいた。全ては福島で起こった通りなのだが、原発事故に関心なく報道も見ない人は政府の冷酷な対応はあり得ないと感じたようだ。そのあり得ない対応が福島では現実に起こっているのに直視しようとはしない。一番多いのはこんな答えだ。

「原発事故の映画を上映して、どこかの誰かが何かを言って来ると怖いので上映は控えたい」

では、どこの誰が何を言ってくるのか? 東京電力が「電気止めるぞ」と電話してくるのか?経産省が「上映するな」というか? そんなことをしたら新聞種だ。当時はまだ原発報道が盛んで東電は厳しい批判にさらされていた。つまり「いるはずもない誰かが。何かを言ってくるのが不安なので上映しない」ということだ。

そんな風に圧力ではなく、ありもしない想像をして不安になり、勝手に自粛する。そんな映画館がほとんどであった。こうして「朝日のあたる家」はお蔵入りか?と言われたが、どの映画館にお願いしても快い返事は返ってこなかった.....。(続く)


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