日本映画が貧しくなった理由=アジアの国々をバカにしていたから? [映画業界物語]
日本映画が貧しくなった理由=アジアの国々をバカにしていたから?
日本映画がダメになった話。まだまだ、いろんな検証ができるのだが、長くなるので一度まとめる。映画会社のトップが無能だったというのが一つある。他の業界と比べれば分かるが、努力が足りない。古い習慣をいつまでも引きずる。僕が何よりも感じるのは海外展開しないことだ。カンヌだ。ベネチアだ。アカデミー賞だと欧米で賞を取ると大喜びするが、アジアに目が向いていない。
1990年代から日本のテレビドラマは台湾、香港、中国を中心としたアジアで大人気だ。のりピーは今でも中国で有名。欧米で日本映画を大ヒットさせるのは難しいが、アジアなら可能。すでにドラマで実証済みだ。なのにアジア展開を多くの映画会社はしていない。バカにしているところがあり、マスコミも欧米で賞を取ると騒ぐが、アジアで受けても無視することが多い。
つまり、日本の人口は約1億2千万。1人が1年に見る映画は1.4本。そこから換算すれば映画にかけられる製作費が割り出せる。マーケットが狭い。電化製品も、自動車も海外輸出して大儲けした。ならば映画も中国、韓国、台湾、さらにはシンガポール、タイに出して行けばいい。ジャッキー・チェンはすでに実践。だから彼の映画に高額の予算をかけられる。アジアの国、全てがマーケットとなるからだ。
アメリカ映画が何百億もかけるのは、世界がマーケットだから。日本人が主演の映画で世界中でヒットさせるのは難しいが、アジアなら可能。事実、ジャッキー・チェンの映画はアジア中でヒットしている。のりピー主演で(難しいものもあるが)映画を撮れば中国マーケットが狙える。すでに韓国映画は日本で何年も前から公開されており、ヒットしている。ポン・ジュノ監督の「パラサイト」も現在、日本でヒット中だ。
もちろん、韓国での日本映画上映は、20年ほど前まではできなかった。が、その後、緩和されている。韓国こそが日本のドラマを一番理解してくれる国民。日本語曲禁止の1980年代から中島みゆき、オフコースは大人気。「泣ける、感動する」は韓国でも求められる。映画も行けるはず。欧米だって、やり方を考えれば行けるはず。ルーカス、スピルバーグは黒澤のファンだし、タランティーノは千葉真一、深作欣二のファン。ピクサーの人たちは宮崎アニメをリスペクトしている。
マーケットが広がれば収入が増える。製作費が上がる。ギャラが上がる。有能な人材が集まる。映画のクオリティが上がる。なのに、日本の映画会社はそれをしない。アジアをバカにしているからだ。関心を持たないから。ハリウッド進出というと皆、注目するが、アジア進出は話題にならない。
だが、日本映画は韓国映画にも抜かれた。クオリティはアチらが上。何だか自動車業界に似ている。「自動車王国アメリカ!」と思っていたのに、日本の車に追い抜かれた。詰まらぬプライドが会社をダメにすること。ここからも分かる。
2020-01-24 11:09
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