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「クレヨンしんちゃん オラの引越し物語」(昨夜テレビ放映)は原発大国・日本の葛藤を描いた映画? [映画感想]

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映画「クレヨンしんちゃん・オラの引越し物語」は原発大国・日本の葛藤を描いた物語?

 「しんちゃん」の映画版には名作が多い。

今回も本当に素晴らしい作品だった。笑って、ハラハラして、泣いて、感動できる家族の物語。だが、それだけではない。あるメッセージに気づいた。

 今回のストーリー。しんちゃんのパパがメキシコに転勤。そこで新種の巨大サボテンの蜜を買って製品にする仕事をすることになる。一家揃ってメキシコへ

 メキシコの貧しい村に突如出現した巨大サボテン。それはトロけるような甘い味のする蜜を出すサボテン。市長はそれに利用して町おこし。貧しい町を活性化しようとする。多くの企業が製品化のためにアプローチ。町は活気を帯びてくる。

 が、実はそのサボテン。人食いのキラーサボテンだった。

ある日、突然、動き出し、市民を襲い食べてしまう。いくら銃で撃ってもすぐに蘇生する。市民は逃げるしかなかった。しんちゃん一家も皆と逃げ回るというのがストーリー。

 そこで興味深いのは、市民の多くが犠牲になり、キラーサボテンは危険と気づいているのに市長だけが、その危険性を隠し。町のために蜜を売ることのを続けようと企んでること。
 自分の命も危ない。次々に市民が食べられているのに、まだ、町のため、市民のため、というより経済のために事実を隠蔽しようとするのだ。

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 映画を観ている内に「あれ? こんな話。どこかで聞いたことが........あっ、原発立地の町だ!」と気づく。福島であれだけの原発事故があり、多くの人が故郷を追われ、仕事を失い、家をなくし、未だに14万人近くの人々が帰れないでいるのに、同じ原発を持つ町の長たちは再稼働を受け入れ、事故はなかったかのような発言を繰り返す。

 「しんちゃん」に出てくる市長と同じだ。

市民を守るための市長が、市民が犠牲になったとしても経済的に潤うことを選択。危険性を見つめようとしない。全く同じ構図だ。いや、その日本の状況を皮肉ったのが今回の「しんちゃん」ではないか?

 サボテンの蜜。それは原発を受け入れることで受け取る膨大な額の補助金と同じ。それで貧しい町を活性化、市民の生活を豊かにしようと各地の長は決意したはず。が、映画と同じように、いつしか、市民のためではなく、経済のため市民を命の危険にさらしている。

 なのに、それに気づかない。「しんちゃん」はそれを描いているのだと思える。映画に登場する市長も皆がキラーサボテンを殲滅しようとしているのに、1人だけそれを死守しようとしていたが、最後の最後に大切なことに気づく。

 そして、キラーサボテンを根絶やしにするために、しんちゃんたちと行動を共にする。その作戦は成功。市民は助けられ、町には平和が戻る。そして、本来のサボテンを使ってアミューズメント・パークをオープン。町を活性化させるのに成功するという物語。

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 これはまさに、原発立地地区の葛藤、

いや、日本全土。50基以上の原発を抱える日本人に向けたメッセージだと思えた。同じく「しんちゃん」映画版の「大人帝国の逆襲」でもそうだったが、このシリーズは子供向けというだけではなく、日本人が忘れている大切なことを伝えている。

 この映画を笑いながら観ている子供たちが、大きくなり、故郷にある原発を改めて見つめたとき、こう考えるかもしれない。

 「ああ、これはキラーサボテンと同じかも? あの市長と同じに町の活性化のためと思い始めたが、結局、市民の命を犠牲に甘い蜜の恩恵を受けているだけ? 映画と同じに、いつか暴動を始めるのかもなあ....」

 いや、子供たちだけではない。

その子を連れて映画館に来た親たちへのメッセージでもあるだろう。ただ、映画を見もせずに「考えすぎじゃないですか?」というコメントする人が1人2人はいるかもしれないが、書き込む前にぜひ、映画を観てほしい。

 ちょっと、しんちゃんが下品なので、お母さん方は子供に見せづらいかもしれないが、家族愛溢れる価値ある1本だ。ぜひ!DVDで。
 







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