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もし、LAを去るとき、予言者に会っていたら [●「朝日のあたる家」序章 2012]

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 2011年 秋

 先に書いたが、こんなことを考えた。

 僕がLAを去るとき、

 ”日本に戻って映画監督になるぞ!昔からの夢を実現するぞ!”

 そう思って帰国の途に着こうとしたとき、もしも予言者が現れて

 「お前の夢は叶う。LAで自作を上映、評価される。

 でも、それは20年後だ・・」

 ”えーーーー、そんな先? 20年もかかるの?

 そう思い絶望したかもしれない。こう答える人もいるだろう。

 「だったら、もういいよ・・別の道を探すから・・」

 そんなことを知らないから、気づいたら20年経っていたというだけ。

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 しかし、20年かけて夢を叶えるとはどういうことか?

 財産が築けた訳ではない。むしろ反対。

 映画監督なんて、儲かるどころか借金の山ができる仕事。

 さらに、前を向いても

 次回作が約束されているのか? NO

 食うに困らない生活ができるようになるのか? NO

 単に作品を作り上げ、評価されただけだ。

 でも、日本の映画監督の多くは、同じような思いをしながら

 生活に困窮しながらも、映画を作り続けている。

 僕もそんな1人になったというだけのこと。

 それにしても20年・・。

 ひとつだけ分かったこと。

 LAの街が教えてくれたこと。

 20年は僕が思うより、ずっとずっと長い時間であるということ

 (つづく)


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