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映画「ジョーカー」もう一つの見るべき点。妄想と病の母? 被害者を装う加害者 [境界性パーソナリティ障害]

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映画「ジョーカー」もう一つの見るべき点。妄想と病の母?

犯罪者なのに共感せずにはいられないというジョーカーという主人公。まさに今の時代ならではの存在と思える。これまで映画としての魅力を紹介してきたが、今回はもう一つの見るべき点について書いてみる。精神病を扱っているところだ。少しネタバレになるので、未見の方はこの先は読まないでほしい。

ジョーカーの母は精神病。しかし、日常生活を見ていると特別におかしなことはしない。叫び出したり暴れたりしない。同居しているジョーカーも病気であることに気づかない。母は毎日のように手紙を書き、返事が来るのを待っているが、それは年取った女性ならありえること。だが、彼女は妄想を伴う病で、事実でないことを事実だと思い込み、息子にも話している。病気であることを知らないジョーカーが信じてしまうのも当然のことだ。

これ。僕が以前に何度か書いた「患者」の話と同じ。社員を踏みつける冷酷な社長、男を追い詰め破滅させる女性、いくつかの例を書いたが、ジョーカーの母もその種の病気なのだ。これまでの映画で精神病というと、叫んだり、暴れたりする怖い人というイメージがほとんどだった。

しかし、実際はそうでない人が多く。誰にも病気だと気づかれずに普通の生活をしている。実際にあった話をしよう。若い女性患者が「恋人のAさんに酷いことをされた...」と思い込む。本当はちょっと冷たくされただけなのに、病気なので妄想が膨らむ。泣きながらAの友人に告白。誰も妄想とは考えない。

「酷いやつだ!」「許せない!」「Aをとっちめよう!」

「彼女に謝れ!」「大切にしてやれ!」

周りがAを攻め立てる。彼は薄々、彼女がおかしいことに気づいていた。何とか別れたい。夜の長電話。何時間でも彼女は話し続ける。止めようとすると怒り出す。「捨てられる」と思い込むのだ。そしてまた妄想を交えて「彼が酷いことするの...」と虐待されたような話をする。

「会いたい。今すぐ来て....」

仕事中に連絡がある。拒否すると「今、薬を飲んだ。さようなら...」と電話を切られる。でも、周りは彼女の異常に気づかない。妄想も「宇宙人が攻めてくる」なら分かるが「彼に酷いことされた」はありえる話。周りの人たちは患者の言葉を信じてAを攻撃する。これは境界性パーソナリティ障害の症状。主に若い女性が発症。男性が被害に遭う。40人に1人いるとも言われている。

本人に悪意はなく嘘をついている意識もない。症状なのだ。ジョーカーの母も悪意はなく、妄想を信じ、それを息子に話しただけ。そのことで彼は追い詰められた。先のAも、彼女の言葉で友達を失い、仕事をクビになった。一体、誰が悪いのか? ただ、日本ではマスコミも映画も、その種の病気を詳しく伝えることをしない。目をそらせてばかり。だから、その種の悲劇が繰り返される。


境界性パーソナリティ障害について記事=>https://cinemacinema.blog.ss-blog.jp/archive/c2305834655-1


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