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「世の中甘くない」と訳知り顔でいう大人たちの背景? [my opinion]

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 昔からよく「変わり者」だと言われた。が、決して、酒乱だったり、喧嘩して暴れたり、不思議なものを収集していたり「神様はいます」と説教したりはしていない。なのに「太田は変わっている」とよく言われた。

 だから映画監督というような仕事をするようになったのかもしれないが、そのせいで最近は「変わり者」と呼ばれることが少なくなった。映画監督=芸術家と思われるからだ。芸術家はもともと変わっている。岡本太郎さんもかなりユニークだった。ミュージシャンはよく(?)ドラッグで捕まる。高名な小説家は自殺する。普通ではない。と思われるので、映画監督業も変わっていて当然!と理解されるのだろう。

 Facebook問題を考えていて気づいたのだが、子供の頃からあれこれ言われるのが嫌いだった。なぜ、嫌いか? ワガママだから? それもあると思うが、別の理由もあった。例えば大人たちが「今時、大学くらい出るのは当然だ」という。「学生の本分は勉強だ。いい成績を取るのは当然のことだ」といったとする。実際、そんなことをいう大人。親戚、教師はいっぱいいた。

 僕自身の成績が悪いから反発したというのもあるだろう。でも、実は中学時代までは成績はよかった。学年でも30位以内に入ったこともある。高校も進学校だ。なのに、あるときから「こんな勉強をして何になる?」と思えて来た。英語教師なのに英会話ができない。微分積分や集合が将来役に立つのか? 漢文を習って何のプラスがある? そんなことを考え始めたのだ。


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 要は大人たちは絶対的な価値観を感じて「いい大学に行け!」とか「いい成績を取れ!」という。映画の仕事をしたいというと「世の中甘くない!」「もっと現実を見ろ!」「現実逃避だ」と説教する。しかし、そんなことをいう大人たちは誰1人として、映画界で仕事をしたことはなかった。友人が映画の仕事をしているという人もいない。

 つまり、自分の知らないことを偉そうに、上から断じているだけ。知識も経験もなく、一般論を振りかざしているだけなのだ。「俺は難しいと思うよ?」とか「良く知らないが、簡単じゃないぞ?」というのなら分かるが、ほとんどの大人は「世の中甘くないんだ!」「出来る訳がない!」と断言していた。その背景にあるのは、当時の僕より、彼ら彼女らは少しばかり長生きしている大人というだけのことなのだ。

 今考えると、それらの大人たちはせいぜい40代。教師たちは20代というのもいた。今の僕は50代。もし、大人というだけのことで、偉そうに人生を語るのなら、タイムマシーンで当時に戻り、彼らを説教してやろうか?と思ってしまう。それができないのが残念だが。つまり、大人たちは何ら根拠がある訳でもないのに、子供たちに貧しい人生経験で「世の中甘くない」「夢なんて適わない」と忠告していたのである。

 当時から、何か違う....と思いながら反論できなくて、悔しい思いをしていた。今だから、その発言の根拠がないことに気づくのだが、10代ではそこまで分からない。ただ、当時も「本当にそうだろうか?」「この大人が言っていることは正しいのだろうか?」「もっと、別の考え方もあるんじゃないか?」「なのに、なぜ、この人は自分の意見が絶対であるような言い方をするのか?」そんな疑問は感じていた。

 やがて、あれこれ人生について語る大人たち。親戚。教師というのは大きな問題があると思えて来た。この人たちの言いなりになりになっていたら大変なことになる....。似たようなことは誰しも10代の頃に感じたことがあるだろう。感じ方は違っても「うるせーなー!」という思い。その背景にあるのは、単に嫌なことを強要されるからだけではなく、時代の流れに敏感な10代が言葉にはできなくなくても、「何かが違う」と感じるからではないか?


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 それを言葉にしたのが尾崎豊というアーティストだったのだろう。だから、若い世代にもの凄く支持された。それほど若い頃は自分の気持ちをうまく伝えられないし、自分で自分の思いを把握できないことが多い。僕も当時は「何かが違う」と感じていはいたが、大人たちの言葉に明確に反論できないでいた。が、彼らのいうことは毎度同じ。それなら話を聞いても無駄だな?と思えて来た。

 親も、親戚も、教師も、そして訳知り顔の同級生も、あれこれ人の行動について、発言について、そして夢や人生について、あれこれいう人たちのほとんどは、経験もなく、知識もなく、聞きかじったことを鵜呑みにして「絶対的な事実」として断言することを感じた。そんな人たちと話をしても無駄。そう思えて来た。

 高校を卒業後、横浜時代に住み、映画監督を目指す同世代と出会った。皆夢を語ったが、次第にその難しさを痛感。いつしか夢を語ることはなくなり、そのための努力もしなくなり、1人2人と去って行った。この頃になり、僕は気づくのだが、そんな彼らのほとんどは何ら足掻こうともせず、夢を語るだけで、戦おうとはせず、世の中に失望して行っただけだった。そして、こう言い残す。

 「世の中、甘くない...」

 夢見る仲間たちが、あの日の大人にダブった。そして、あの大人たちがなぜ、あんなことを言ったか?その理由が分かった。そう、多くの大人は夢を見るだけで、行動しようとはせず、やがて夢破れて「現実は甘くない」というのではないか? その思いを子供たちに押し付ける。それが、あの日の大人たちではないか? そんなふうに思えて来る....。

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