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組織のトップがバカだと、会社や国まで滅ぼしてしまう?(再掲載) [2017]

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もう5年以上前になるが、ある製作会社からシナリオを依頼された。会いに行くと小さな会社だが、社長は若くて、まっとーな人。業界によくいる怪しげなタイプではなく、出来る!というタイプだ。社員もそこそこいるし、これまでも映画も何本か製作していた。

スポーツものを書いてほしい。「セント・エルモス・ファイヤー」のような感動の青春映画を作りたいという。そして僕の担当プロデュサーが紹介され、彼と共に作業を進めることなる。出版でいうと、編集者と作家の関係である。

ところが、その社長、次第に????ということが分かって来た。「海外との合作の話があったが、あと一息でダメになった」とか「大物俳優からぜひ、出してほしいと言われて考えている」とか話が大きい。本当かな? と思える話が多いが、社長は断言する。自信を持って言い切るので本当だろうと思っていた。

やがてシナリオの第1稿が上がり、社長に見せると、こう言われた。「真逆なんだよー。今回のイメージは『アニマルハウス』なんだよ」と以前とは180度違うことを言い出した。その映画は感動の青春ドラマではなく、笑いの連続というおちゃらけ映画。

なぜ、方向性が変わったのか? 質問するが、的外れな答えばかり。訊いたことには答えず、「製作開始まで時間がない」と言うばかり。その上、同席した担当Pがこう言い出す。「僕は何度も注意したんですが、太田さんが勝手にシナリオの方向性を変えてしまったんです!」

はあ? 「セントエルモス・ファイヤー」方向で、何度も話合ったでしょう? 「アニマルハウス」なんて話。一度もしていないじゃない?と言いたかったが、Pまで社長と同じことを言い出した。そもそも、僕は青春映画が専門。コメディは書いたことはない。もし「アニマル」なら僕には依頼をするはずがないのだ。

が、Pは会議が終わると何ごともなかったように「まあ、文句をいっても始まらない。時間ないから、がんばりましょう」と笑顔でいう。しだいに分かった来たのは、その社長。ありもしないことを思い込んだり、絶対にできないことを出来ると信じている。みんなで時間をかけて決めた案件を、勝手に社長がヒック返し、新しい判断をして進めてしまう。社員が質問しても全然関係のない話を延々と繰り返し「社長。ちゃんと答えてくださいよ」というと「ちゃんと質問に答えているじゃないか!君こそ同じことを何度もいうんじゃない!」と怒り出す。

 そして自分に逆らう者には圧力をかけ、パワハラ。だから、社長が明らかに間違っていることでも社員であるPは、批判できず迎合してしまうのだ。「そんなテーマの映画を今作ってどうするの?」というものを「これこそヒット作になる」と思い込んで必死で進めようとする。

誰も止める人がいない。止めると会社から追い出される。友人たちに聞くと「あの会社で仕事をしたらダメ。社長が変人なので関わったら負け」と言われた。その情報。先に聞いておけば良かった。結局、その映画は潰れ、僕は半年近く、シナリオを何度も直したのに、中止の連絡さえなく、半年近くも働いたのにギャラは1円も払われていない。

何ヶ月も連絡を続け、ようやく社長を捕まえたら「お金はないの!」といわれた。殴ってやろうかと思った。そんな社長なので、他でも不払いの連続。成立した映画はほんの数作だけ。その後1年くらいで、その会社は倒産した。

当然だ。社長の話はかなりな部分が妄想や思い込み。話もコロコロ変わるのに、自身でそれに気付いていない。そして、他者に対して無神経。数ヶ月も働いたのにギャラも払わない。常習犯だと聞いた。さらに、あとあと調べると、その社長は精神病らしい。その種の病気を勉強していたので分かるが、精神病は素人には見抜けない。叫んだり暴れたりするのが精神病ではない。素人が見ると嫌な奴に見えることが多い。専門家に聞くと、社長は典型的な双極性障害だと言われた。

さらに聞くと、僕の担当をした裏切りPも契約制で月給をもらっている訳ではなく、撮影がスタートしたらギャラが出るということだ。なのにPは、社長が180度違うことをいっても指摘せず、それに従う。社長からの信頼を失わないように、僕自身の落ち度でシナリオが違う方向に行ったかのように批判、自己保身に走った。しかし、組織にいると、そんなふうになってしまうのかもしれない。

ある百貨店。社長の放漫経営で経営破綻した。誰も社長を止められず、会社が崩壊した。やはり、上がバカでも、なかなか、まわりの者は止めることができず。全てを失うまで何もできないものなのか。

会社だけでなく、国、政府であっても同じ。明らかに筋の通らぬ発言を繰り返し、間違った方向に暴走するトップであっても、まわりは必死で正当化。外から見ていると滑稽なのだが、トツプに嫌われまいとする。

第二次世界大戦のドイツがまさにそれ、狂った指導者のもとで多くの不幸を招いた。同じことが身近な国でも起きようとしている。狂ったトップはまわりをまきこみ、組織ごと。国ごと、崩壊させてしまう。




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