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選挙戦から気付いた大切なことー本当に応援しているのか? 単なるファンになってはいないか? [れいわ新選組応援]

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 先の衆議院選、都知事選で感じたことがある。どちらも人気候補がいて、その人たちを応援する人たちが僕のまわりにもいた。何人かの友人からその候補に投票してほしいとのメールも来た。が、その辺から引っかかるものがあった。

 別の友人はその候補へのエールを毎日Facebookに書き込んでいた。友人たちは日頃から政治に興味がないので驚かされたが、そんな人たちをも巻き込むほど候補が魅力的なのだと思えた。実は僕もその候補たちには好感触を抱いており、僕の知る事情通の有名人も彼らを応援していた。

 しかし、僕は疑り深い。本当にその候補たちは言われているような人だろうか? そこでその候補の街頭演説を聞きに出かけた。実際に自分でその候補を見て、話を聞くことで、判断しようと思った。もちろん、街頭演説でいいことを言っていたとしても、それが本音で言っているとは限らない。が、その話し方ーーから、いろんなことが分かる。映画監督業。仕事がらその辺は得意だ。

 駅前で行なわれた街頭演説に出かけた。参議院選ーその候補の演説。かなりな人が集まり盛り上がっていた。まるでロックコンサート。もの凄い人気が伝わって来る。その演説も真剣であり、人気があるのもよく分かった。僕自身も応援したいと思った。が、違和感を感じた。

 理由は候補者本人ではない。支援スタッフの行動。彼らを見ていると候補者を支えていることに強い「喜び」を感じているようだった。本来、それはいいことだ。嫌々やるより、お仕事的にやるより、自ら進んで応援する、支援する。それはいいことなはずだが、強い不審感があった。

 コンサートでいえばそのスタッフたちはスタッフではなく、観客に近いと思えた。アーティストに共感。一緒に歌ったり、ペンライトを振ったり、というファンの心理。スタッフというのはアーティストの魅力が最大限に引き出せるような努力をする仕事なのだ。共感しても覚めて見なければならない。それでいうと、その街頭演説のスタッフは前者に近かった。

 これを通行人。或はその候補者をよく知らない人が見ればどう思うか? 答えは簡単だ。コンサートでキャーキャー言うファン。アーティストの名前を連呼する観客。それをファンでない人が見たときに感じるのと同じ。違和感である。好きでない人から見ると、ゲゲゲ!と思う。もっと言えば「バカじゃないの?」とさえ感じるだろう。それと同じ感情を通行人は感じたのではないか?

 僕自身はその候補の演説を聞いて感動したし、思っていた以上に考え勉強していることを知り、共感。応援したいと思った。最終的に彼に投票した。が、まわりの人たち。通行人を見ていると、チラシを受けとらない人。眉をひそめて通り過ぎる人。特にお年寄りは拒否感が強かった。数千人の支援者が集まり、盛り上がってはいるが、それはコンサートと同じであり、ファンが集まっただけで、街頭演説の本来の意味。「国民に訴える」は出来ていなかったのではないか?

 さらに気になったのは、その候補に投票してほしいとメールしてきた友人。Facebookに応援文を書く友人のこと。この2人。どちらかというと内向的。何かを第三者に訴えることが得意ではない。いつも自分を優先。揉めることはしたくない。避けて通りたいというタイプ。そんな彼らが応援文を書いても、メールしてきても説得力がなく、その候補の何が魅力なのか?分からなかった。

 これもコンサートで例えると「感動のライブ。最高でした。素晴らしい。愛のあるアーティストです」と言われても、そのアーティストを知らないと「コンサートに行きたい!」とは思わない。そのアーティストのCDを聞き、歌詞を噛み締めて「ああーなるほどいいなー」と、そこまでしてくれる人はいない。つまり、友人たちは自分が好きなアーティストをFacebookやメールで賛美するだけであり、なぜ、彼らなのか? を第三者が分かるように語ってはいないのだ。

 彼らの文を読むと、何だか新興宗教の勧誘のようなニアンスさえあり、余計にその候補に対する不信感を持ってしまう。実際、僕はその候補の演説を聞き感動したが、そのメールを読んだだけなら、投票しない方がいいな...と考えたはずだ。

 もうひとつ、それら友人は非常に思い込みが強い。良い言い方をすると感受性が強い。それゆえ、あるきっかけで嵌ると絶対的なものになってしまう。なので、彼らのいうことは疑ってかからねばならない。また、彼らは内向的なのでアピールが下手で、その候補者が本当に素晴らしいかどーか分からず、素直に同意できないことが多い。そんなこともあるので、彼らが応援するその候補は疑ってかかったのだ。

 さらに、もう一人。あるところでお会いした方も、その候補の支持者だった。が、話をしている間中。一度も彼の話をしない。投票日の直前だというのに、何も語らない。その候補者の話が話題に出ても、熱く語らない。そして、その人の話はすぐにあちこちに飛び、落ち着きがない。僕が知る限り、先の友人2人と、その人と3人が身近な支援者。それで不信感を持ち、街頭演説に出かけたのだ。

 それは先に書いた通り。支援者はスタッフではなくファンが多かった。友人たちも同じだ。もちろん、皆、必死で応援しているのだけど、ファンなので「盛り上がりたい」「がんばりたい」という思いが先走る。候補者の魅力を第三者に伝えようという意識に欠ける。むしろ、彼らの行動が第三者から異様に見えてしまう。

 もう一人の候補。別の選挙だが、その候補者も人気者だった。が、こちらも支援者が暴走。他の候補者の街頭演説中に、自分たちが支持する候補の名前を連呼。大顰蹙を買った。もう選挙妨害そのもの。ただ、応援する熱い思いが溢れた結果であり、妨害という意識はなかったとは思う。

 しかし、そこに問題がある。両候補に通じるのは、本人の演説を聞けば素晴らしい人だと分かる。にも関わらず、支援者の一部。或は多くが、ファンでしかない。候補者のアピールをするというより、その候補者と一緒にがんばっていることに喜びを感じている。まさにコンサートの観客。冷静に「どうすれば候補者の魅力を伝えられるか? 拡散できるか?」考えていない。

 このことは僕自身も痛感したことがある。「朝日のあたる家」という映画を作ったとき。本当に多くの人が応援してくれた。が、中には、こんな人もいた。

 「昨日、映画館で見ました。夜の遅い回でした。素晴らしい映画なのに、館内はガラガラ。もっと多くの人に見てほしいです」

 本人は応援のつもりなのだが「この映画はヒットしていません」と告知しているのと同じ。映画宣伝で一番やってはいけないパターンだ。映画というのは最初は連日満員でも、最終日が近づくと特に平日の夜などは、どーしても客が少ない。そんなときに映画館に行き、ガラガラの客席の写真を撮り、Facebookに載せる。これはもう嫌がらせの域だ。しかし、それは本人には応援のつもりなのだ。或はネットで映画を応援してくれていた人。ある日、Twitterにこう書いていた。

 「最初から映画見るつもりはなかったでーす。でも、多くの映画館で上映拒否と聞いて応援したいと思いました!」

 もちろん、応援は嬉しいことではあるが、「いい映画だから、多くの人に見てほしい」ではなく、ネットで盛り上がるのを参加して楽しもうということだったようだ。それって、タレントのスキャンダルを批判して、炎上させる人たちと大差ないようにも思える。

 また、地方で映画撮影をしても、撮影時は応援してくれるが、公開時には来てくれない人もいる。要は映画はどーでもよくて「俳優と会いたい!」というだけのこと。なのに「映画。応援しています!」「がんばってください」と現場に来ていた。もちろん、最後の最後まで真剣に応援してくれる人もいて、一生頭が上がらない方もいる。が、そういう方は多くはない。

 選挙でも映画でも、そんなふうに「楽しみたい!盛り上がりたい!」というロックコンサートの乗りで参加、応援する人も多い。そして、その種の人は応援の輪を拡散するより、第三者から嫌悪感を持たれ、人々を遠ざけるということが多い。本人には悪意なし、むしろピュアな人が多いが、マイナス面が多い。そんなことを選挙演説を見ながら思い出した。

 選挙結果は両者共に落選した。つまり、大きな政党の支持を得た候補者は確実に多くの票を得たのに対し、それを持たない市民が応援した候補者は、その人たちだけで盛り上がったからだ。駅前に数千人が集まっても、それは小さな輪であり、百万票単位が必要な選挙では足りない。ここに市民運動の問題点も見えて来る。本当に素晴らしい候補者でも、素晴らしいスローガンでも、それを支援者たちだけで盛り上がり、ファンのような行動を取っていては、何かを成し遂げることはできないということ。

 政党は嘘八百でも、日頃から努力し、有権者にアピールしている。支援者の多くは何も考えてない人だとしても、その人たちに投票させる努力をしている。それに対して、ファンと同じ気分で、現場で盛り上がるだけの、勢い余って他の候補の演説を邪魔までしてしまう人たちでは、勝てないのも当然。これは選挙の問題だけではない。映画も同じ。低予算で宣伝費がない映画は多くの人の応援が必要。でも、先にも紹介したように応援でななく、妨害行為をしてしまう支援者も多い。盛り上がりたいだけで応援する人もいる。でも、それを見分けるのは難しい。

 うまく答えは出せないが、市民側から何かを変えていくとき、その前に1人1人の意識から変えて行かないと、ファン気分で「盛り上がりたい!」というだけでは、マイナスが大きくなるばかり。そこから考えて行かねばならないだろう。


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