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午後10時の居酒屋。迷惑な若いサラリーマンたち。その意外な背景とは? [my opinion]

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少し前になるが、友人と2人で居酒屋で飲んでいたとき。ドヤドヤと若いサラリーマンの一団が入ってきた。それまで静かだった店内が急に騒がしくなり、そこにいた誰もが振り返った。というのも彼らはボリューム・マックスで喋るのだ。

「さーーー今日も飲むぞー〜〜!」

「***さん。何がいいすか?」

「あーー餃子がいいなあーー!」

そんな大声で話す必要のないことを声の限りを尽くして叫ぶように会話する。めちゃめちゃ元気。若いなあ。とも言えるだが、引っかかるものがあった。大学生ではない。皆、20代後半から30歳くらい。白いYシャツにスーツ用のズボン。会社員なのだ。それがまるで大学生のコンパ。ビールが来るとテンションはさらに上がる。

「カンパーーイ!」

「あーーーうめーー」

なぜ、そんな大声で言うのか? こちらは友人との会話ができない。電車が通る線路のそばで飲んでいるような感じだ。まわりの客たちは別の席に移ったり、帰り支度を始めたり。ある年配の女性が堪りかねて、その一団の席まで行き注意する。

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「あなたたち、もう少し静かにできないの! こちらは話もできないのよ」

が、若いサラリーマンの一団は悪びれず「すみませーーーん! 僕らもうるさいと思ってましたーー」と笑いながら答える。女性は無駄だと分かり席に戻り、帰り支度を始める。店員が走り寄り、平謝り。

でも、こんなふうな若いサラリーマンの一団はときどき見かける。そのたびに感じるのだが、、、、いや、マナーがないとか常識がないということではない。気になるのは、その日は土曜日ということ。それも午後10時過ぎ。服装から見て仕事帰り。土曜というのに働いていたのだ。しかし、仕事帰りというのに、なぜ、あんなに元気なのだ?

1日の仕事が終われば、あーー疲れた......という状態のはず。いくら若いといっても、たぶん、月曜から仕事をし、週末も仕事。それも午後9時くらいまでやっていたと思える。

僕も20歳前後は朝までよく飲んで、しゃべりまくっていたが、それでも学生だったので、昼は授業でさしてエネルギーを使っていない。比べて彼らは20代後半から30歳くらい。土曜。午後10時。ものすごく元気!なぜだろう。

会話を聞いても仕事の話は出ない。何かたわいのない話題にもの凄く力を入れて最大ボリュームで話している。意味もなく拍手したり。詰まらないことを大声で笑う。なぜ、居酒屋で彼らはそんなエネルギーを使うのか?

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たぶん、彼らは仕事中は本当におとなしく、まじめに、与えられた作業を黙々とこなしていると想像する。その仕事もさほど頭や知恵を使わなくてもいいもので、誰でもできるものではないか? ヘトヘトになるほどの体力勝負の作業ではない。

そして彼らは仕事に誇りや責任感がなく。決められた時間。ひたすら我慢して、その作業を続ける。だから、体力はまだまだ残っているが、ストレスは凄く溜まっている。けど、ありあまるエネルギーを仕事で発散することもなく、他に使うこともなく、大学時代の気分を引きずって飲み会で大騒ぎしてしまうのではないか?

心理的に見れば、「何で毎日、毎日こんな退屈な仕事をしなきゃいけないんだ!」という不満とストレス。でも、それを発散する趣味や活動の場がなく。結果、居酒屋でうっぷんばらしをしているのだと思える。

僕も経験があるが、20歳前後。映画監督を目指して上京したが、厳しい現実にぶつかり、映画学校に失望して、どーすればいいか?分からず、その不満を友人たちとの飲み会で爆発させていたように思える。
彼らも同じように自分がやるべきことが見つからなかった。やがて、学校を卒業。今の時代。就職も大変。希望する会社どころか希望する職種にさえ付けず、ある小さな会社に入社。

そこはブラックとは言わなくても、厳しい状況で、土曜も仕事せねばならない。好きでもない仕事。望んでもない仕事。でも、生活のために働かねばならない。

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与えられた作業を1日黙々とやる。でも、意義が感じられない。できる限りエネルギーを使わず、仕事をする。給料も決してよくはない。そんな会社のために全力投球はできない。

40%くらいの力しか出さないでいる。でも、若いエネルギーが有り余る。使う場がない。クラブで踊るようなタイプでもない。だから、学生時代と同じように、同じ不満を抱いた同僚と、酒を飲む。

さして意味のない話題でも力を入れて話す。大声で笑う。すぐ拍手をする。つまり、彼らは若いエネルギーを使う場所が他にないので、そんなことをするしかないではないか? そして学生気分で、他の客が迷惑していても平気でいることができる。

一見、迷惑なだけの客だが、非常に哀れで悲しい若者たちなのだと思えてきた。しかし、誰が悪いのか? これも想像だが、今の彼らを見ていると、学生時代に将来、何をしたいか? 真剣に考えて来なかったのではないか?と思える。

もちろん、夢はあっただろう。一流企業で働きたいとか、IT企業に就職したいとか、芸能関係の仕事がしたいとか、

だが、僕の学生時代から今も変わらないが、多くの学生は与えられた勉強をし、あとはバイトと飲み会だけで大学の4年間。専門学校の2年間を過ごしてしまう。もちろん、社会に出てから役に立つスキルを身につける人たちもいる。が、何もせずに、学生時代を過ごし、卒業して行く若者はものすごく多い。

僕の若い頃ならいざ知らず、今は即戦力が求められる時代。学生時代に何も身につけて来なかった彼らを採用する会社は、それなりの仕事しかさせないだろう。

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その中で彼らはひたすら耐えて毎日作業。ストレスがたまり、週末の飲み会で爆発させる。それが、その日、居合わせた若いサラリーマンの一団ではないか?

何度も書いたが、日本の教育というのは、優秀なサラリーマンを選ぶためのシステムだ。16年も教育を受けても、それが社会に出て役に立つということがほとんどない。英語を10年も勉強するのに、ほとんどが会話もできない。

古典や漢文を勉強しても、一般の会社ではまず役に立たない。 昔は会社に入り、何年もかかり、ゼロから社員を育てるというのが日本企業だった。

が、今はもうそんな余裕もない。そんな現実を前に、システムの中で「優秀なサラリーマン」になる実力ありと、認められなかった若者はどうなっていくのか? 

学生時代は趣味も我慢して、勉強勉強で毎日を過ごし、そのくせ大学や専門学校に入ると、バイトと飲み会で過ごす。もちろん、バンド活動や演劇をする人たちもいるし、留学して英会話を学ぶ人もいるだろう。

しかし、そうでない多くの若者。そんなシステムの中で、大人や親や教師から「勉強しろ」と言われ、でも、さほど成績もよくなく。それでも「大学くらい出ていないと恥ずかしい」と言われ進学。

何の技術もなく、就職となれば、誰でもできる仕事しかできない。不満を感じるが何もできない。それを爆発させるのが土曜の飲み会。それが彼らではないか?と思えた。

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しっかり勉強しなかった彼らが悪いと言えるだろうか? 優秀なサラリーマンを選抜するためのシステム、大人たちはそこに追い込むようなことばかりしてきてはいないか? 少なくても、僕のまわりには「社会に出てから困らないような、何かを学んでおきなさい」という大人はいなかった。

大声で餃子を頼む若いサラリーマン。帰りに振り返ってみると、皆、この間まで学生だったという顔をしている。レジで店員さんに平謝りされた。

「いつもはこんなことないんですよ。本当にすみません」

でも、本当に気の毒なのは誰だろう? 彼らの溢れるエネルギーを仕事に注げず、深夜の居酒屋で発散するしかないという現実。そんなことを考えた。


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