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「シナリオを読んで下さい」と頼んでくる監督志望の若い人たち。でも、努力しようとしない? [映画業界物語]

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友人でもある若いプロデュサーからこんなことを言われた。

「監督がFacebookで、シナリオを送って来ないで下さい。と書いていたけど、あれ、分かりますよ! うちにもいろいろ連絡があって困ってるんです。先日もメールがあって、知り合いの監督からシナリオを読んでほしいって。でも、今年のスケジュールは年末までいっぱい。

きっと、シナリオを読むくらいの時間はあるだろうと思ってるんだろうけど。読むからは真剣に読まなければならないし、静かな場所で集中して読む。そうすると1−2時間はかかる。感想も書かなければならないし。その時間が取れない。

シナリオだけじゃなくて、若手監督から自作のDVDが送られて来るし、全部に対応していると1日が終わってしまう。結局、どれも読めないし、見れない。悪いなあとは思うけど、物理的に無理なんですよね〜」

多くの業界人が同じ悩みを持っているようだ。僕もデビュー前は同じようにシナリオを持ち歩き、読んでほしいと頼み回ったが、なかなか読んでもらえなかった。

だから、頼んでくる方の気持ちはとっても分かるのだが、自分が実際、仕事を始めると、毎日の新聞を読む時間がなく、読まねばならないものがどんどん溜まっていく状態。送られて来たシナリオや小説を読む時間は本当にない。読んでもらえなかった背景を痛感した。

で、先日、「シナリオは送らないでほしい」とブログに書いたら、こんなコメントが書き込まれた。「松下幸之助は広くアイディアを募集するために、松下電機は一般からアイディアを広く募集したんだよ?」と。

つまり「そんな閉鎖的なことを言っているから駄目なんだよ。松下電気のように大手にはなれないな」ということだろう。が、松下電気は会社であり、多くの従業員がいる。僕は1人。比較する対象が違う。

また、電化製品の会社はいろんな電気機器を作らねばならないが、僕は自身でシナリオを書き、自身で演出して映画を作る。アイディアを求めている訳ではない。頼んでくるのは、脚本家志望、小説家志望であり、売り込みではない。

何も言わないと、いろんなものが送られてくるし、言えば、その手の当て外れの批判や皮肉のコメントが来る。ときにはツイッターで「スルーされた! 許せない」と書かれることもある。

先の友人Pはいう「シナリオを送ってくる人たちも努力が足りない。単にメール添付で突然に送りつけられても、読むときはプリントアウトしなければならない。YouTubeに作品を上げているので見て下さいと連絡してくるのに、アドレスも書いていない。名前とタイトルで検索しろということ? 

そんなふうに読んでほしい!見てほしい!という努力をせずに安易に連絡してくる。まあ、それでも頼まれていろいろ読んだけど、その中でこれは!というのは1本もなかったしね」

確かにそうだ。メールや電話で「読んで下さい」では駄目。友人は***シナリオ大賞の選考委員もやっていて、ギャラをもらってシナリオを読む。その人にタダで読めというのと同じ。僕もデビュー前はそうやって散々断られて、ある方法を考えて、シナリオを読んでもらった。

また、いつか、その話を書くが、そんな営業を5年くらい続けた。日本では個人は忙しく、組織は閉鎖的。デビューのための売り込みはなかなか厳しい。誰もやらない自分なりの方法を見つけなければ、前に進めない。


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