「乙女たちの沖縄戦」前売り券、パンフレットはありません。その理由は? 沖縄戦作品を作る難しさ [乙女たちの沖縄戦]
「乙女たちの沖縄戦」前売り券、パンフレットはありません。その理由は? 沖縄戦作品を作る難しさ
先にもお知らせした通り。今回の作品は超低予算で制作。宣伝費もかなり厳しいもの。そういうと「だったら、しっかりと金を集めてから作れよ!」と言う輩が必ず出てくる。だが、題材が沖縄戦となると「しっかりと金集める」どころか、全く集まらない。映画会社も企業も出資しないのだ。
一つには沖縄戦を多くの日本人が知らないこと。だから、客が来ないと言うことを恐れる。もう一つには沖縄戦は日本国内で唯一の地上戦が行われた。その凄惨な戦闘を多くが知ることで、一段と「戦争反対」の世論が強くなるのを恐れる人たちがいるだろうことだ。今、日本は政府は戦争ができる国を目指している。先に強行採決した「集団的自衛権」はまさにそれ。他にも戦争をするための法案がいくつも可決されている。
そんな時に地上戦がいかに酷いものか?を描く映画が作られるのはマズイと思う人たちがいるのだ。また、そんな人たちに忖度して、その種の映画には関わらないという映画会社もある。その2つの理由で戦争題材の映画はなかなか作れない。あ、逆に「日本軍は素晴らしい。勇敢だった」と言う映画には金が集まる。先の勢力も喜んでくれるからだ。
つまり戦争映画。特に反戦映画は出資が難しい。そんな中、今回の「乙女たちの沖縄戦」を作れたことは奇跡に近い。だが、その制作品は通常の半分以下。非常に厳しい条件下で制作した。そのことは前回詳しく書いた。僕は編集作業で3ヶ月ただ働き。会社がピンハネしたのではない。予算が完全になかった。だからといって数週間で編集すると、非常に見づらい杜撰な映画になってしまう。見やすい、分かりやすい作品にするには時間をかけて編集する必要がある。
僕だけでなはない。多くのスタッフ&キャストが低価格の賃金と必要以上の労力を使い作品に挑んだ。だからこそ、素晴らしい作品ができた。ただ、宣伝費は極々わずか。宣伝費を多めに割けば本編のクオリティが落ちる。それはできない。なので、宣伝はチラシとポスターだけ。前売り券を印刷する余裕もなかった。パンフレットもなし。こちらは印刷代だけではなく、文章を書くライター、レイアウトのデザイナー。取材するスタッフも雇わねばならず、その予算が必要。だから、パンフもない。
そんな状態ではあったが、沖縄戦のドキュメンタリーが作れたことは奇跡。「もっと製作費が集まってから」なんて言っていたら一生できない。それ以前に体験者は90代。何年もかけて準備していたらお話を聞けなくなる。だから、苦しくても今、作らねばければならなかったのだ。8月2日から東京公開。全国各地でも同時期に上映される。ぜひ、見てほしい。テレビニュースでウクライナ報道を見ていても戦争の本質は分からない。ぜひ、映画館でこの映画を見てほしい。