依頼人向けの試写。昨日、無事終了。 [2022]
依頼人向けの試写。昨日、無事終了。
まだ、完全に編集が終わっていない状態なので、少し心配ではあったが、かなりの好評。このまま進めることになる。先方もドキュメンタリーの仕事を何本もやっているので、作業途中でも分かってもらえた。
テレビのドキュメンタリーを見ていてよく思うのが、楽してできる編集法で済ませていること。毎週放送するために時間のかからない方法を選んでいる。時間がかからない分だけ、当然クオリティが下がる。だが、テレビの場合はそれより、納期に間に合い、予算内で、トラブルを起こさないことが大事とされる。
僕は若い頃にメイキングの編集を3ヶ月以上かけてやった。当然、3ヶ月間暮らせるだけでギャラではない。それでもクオリティの高いものを作りたい。見る人が「へーーー凄いなあ」と映画制作の現場を興味深く感じる作品にしたい。特にメイキングは手を抜こうと思ったらいくらでも手を抜ける。DVD特典についているものを見ると分かるが、数時間で編集できるものが多い。
多くの作家が「1ヶ月も編集していたらギャラが合わなくなる!」と計算するからだ。「どーせ、メイキングなんて真剣に見ないしよ」と思ってしまう。だから、日本映画のメイキングには酷いものが多い。そもそも、製作サイドが十分なギャラを払わないのが問題ではあるが、編集する側も目先の生活だけを考えるべきではない。若手の頃はギャラをもらってやる編集実習と僕は思ってやっ。
僕が監督になってから若い作家にメイキングを頼んだが、どれも酷すぎ。大切な場面を撮影できていないこともあり、何より編集が酷い。
2日で作業しました!みたいなものばかり。理由は先と同じ「あのギャラで1ヶ月かけて作業はできませんよ」と言うもの。見る人のことを考えていない。自分の都合だ。「借金してでもやれ!」とは言わないが、メイキングはいろんな編集ができる。勉強になる。自分の作った作品を多くの人に見てもらえる。彼らは監督志望なのに、そのチャンスを生かそうとせず、安易な編集で早く終わろうとした。
1ヶ月暮らすのに十分なギャラではないが、金をもらって実習をするのがメイキング監督と言う仕事。それをみすみす楽して終わらせてしまう。その姿勢も問題。と言って別の人に頼む予算はない。だから、僕がギャラなしで編集する。「向日葵の丘」も「明日にかける橋」も自身で編集した。
できれば若手が編集したバージョンも数録して、比較できるようにしたいくらいだ。手を抜き時間をかけずに作業した編集と、必要な時間をかけた編集がどれだけ違うものか?分かるような形にしたいところだが、若手の作品は人様に見せられるレベルではないので、それもできない。
編集はとても大切だし、こだわらねばならないもの。今回も編集料は出ていない。が、僕が取材したもの。内容も一番把握している。安いギャラで他の人がやれば余計に時間がかかる上に、楽して作業するだろう。クオリティも下がる。そんな仕事に1ヶ月以上もかけるバカもいない。
でも、今回も多くの人が見るであろう作品。個人の都合や生活で測り、作業してはいけない。何より編集はとても重要な仕事。手抜きをするくらいなら、やらないほうがいい。さあ、「詰め編集」②のスタートだ。