SSブログ

映画「Fukushima50」=結局「東電は日本を救った英雄」と言う映画なの? [Fukushima50を検証]

87458968_3548149801925965_2444608596479049728_o.jpg

「Fukushima50」=結局「東電は日本を救った英雄」と言う映画なの?

内容面と製作面から2つの記事を書いたが、著名な方々がTwitterで紹介してくれたので、2万件を超えるアクセス。凄い事になっている。原発問題に関心がある人がまだまだ多いということ。これは嬉しい。事故から9年。多くの人はもう過去のことと思っているが、現在進行形の事故であること。忘れていない人たちも多いということだ。

あの映画。一言でいうと「東電の職員さん。ありがとう。お陰で日本は救われました! あなた方は英雄です!」という作品。事故を起こした責任者として、批判を浴び続けた悪役であるはずの東電が、一転。正義のヒーローになってしまう物語。そして「菅直人総理と民主党政権こそが事故を混乱させ、終息を遅らせた張本人!」つまり、悪役として描かれている。普通に映画を見ていると、そう思えてくるプロパガンダ作品なだ。

68660099_2917008198373465_6165462696285175808_n.jpg

そのテクニックを一部紹介する。嘘をつくとき100%の嘘では騙せない。90%の事実と10%の嘘を混ぜてこそ、人はそれを信じる。この映画でも実に細かく事実をあげて事故を描いている。東電、吉田所長は、実名で登場する。誰がどう見てもノンフィクション。。日時、時間も正確だ。が、ベントが遅れる原因を「総理が福1を訪れたから」と描いている。が、これは当時流されたデマであり、事実ではない。のちの裁判でも確認されている。なのに、そのデマを否定せず事実のように描いている。

さらに炉心を冷やすために海水を使うのを止めようとしたのは「官邸の指示」と映画では描いているが、実際は「東電本社の指示」。塩水を入れると2度と使えなくなるからという理由。「官邸の指示」も当時流れたデマ。これも事実として描く。両方に共通するのは「民主党政権の失態」が強調できる。混乱の責任は官邸だと印象づけることができる。そうやって観客を誘導。東電をヒーローに、民主党を悪役に仕立て行く。そんな作品を多くの観客に見せて喜ぶのは誰か?

おまけに俳優たちの熱演。感動的な場面もある。見ていると「東電は頑張ったんだなあ〜。命がけで日本を守ったんだ! 彼らがいればもう原発は事故らないだろう。もう大丈夫だ!」とさえ思えて来る。だが、映画は事故の深刻な被害。その後の住民の苦悩。自殺者まで出したことは全く描かれない。ベントや爆発で拡散した放射能はどうしたか?も説明しない。まるで事故は収束したかのような桜満開のエンディング。情報を制限、操作して見る者の意識をコントロールする作品。

同じパターンの映画がある。特攻隊もの。命を捨てて敵に体当たりするという人道的に問題ある戦法であるのに、それを批判せず、死んで行った隊員たちを賛美。「彼らが日本を守った!」と描く。若い隊員たちを死に追いやった軍部の責任は追及しない。その特攻隊役が吉田所長と50人の職員。軍部が東電。同じパターンなのだ。それがこの映画の特徴。ご覧になる方は注意して見てほしい。

内容面=>https://cinemacinema.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

製作面=https://cinemacinema.blog.ss-blog.jp/2020-03-07


asahi20_edited-1-f0023.jpg
nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

映画「Fukushima50」ーよく出来ているが、誘導されてしまう危険性? [Fukushima50を検証]

87157216_3542904532450492_4845346876578332672_o.jpg

Fukushima50ーはどう見ればいいか?=よく出来ているが、誘導されてしまう危険性

以前に原発事故の映画を作った者として、とても興味があった。映画はオープニングから地震が起こり。パニック映画等でありがちな長い人物紹介はない。有名俳優を多数起用しているので、誰が誰でという混乱もなく見れる。それぞれの役者が個性的なので、その俳優を知らなくても役どころも分かる。

金も時間もかけている。津波はCG。福島第一原発もリアルに再現。原発内もよく出てきている。事故のことも、とてもよく調べて再現。僕も徹底取材したので、それが分かる。それでいて専門知識がなくても分かる表現。退屈させないスピーディな展開。感動の場面もある。俳優も熱演。「なんで、この人がこの役?」というよくあるミスキャストもない。全てがよく出来ているのだが、色々と疑問が残る。ひっかかるものがある。

吉田所長も東電も実名で出てくる。ただ、あるべき事実で描かれていないものがある。ここは難しい。その事実を描くのも描かないのも作家の選択。だが、その事実を描かないことで意味が違ってしまうことがある。その代表が菅直人総理。ヒットラーを悪役として描くために、エキセントリックな部分ばかりを見せるように、この映画の菅直人も怒ってばかりいる(確か、彼だけ実名ではなく総理という表現だったはず)

13059_727634873977486_1376154400755328155_n.jpg

また、彼が福1に乗り込んだことでベントが遅れたというのは、当時の野党が流したデマのはずだが、そのまま描いている。政府が「海水を使うな」と指示したという話も、本当は東電の判断。炉心が塩水で使えなくなるのを恐れて止めたというのが真相と聞く。なのに政府からの指示と描いている。つまり、これらは当時言われたこと。のちにデマだとわかったことをベースにして、共に菅総理。あるいは民主党の失態だと指摘している。が、どちらも事実ではない。なぜ、デマをそのまま描くのか?

映画では官邸が邪魔ばかり、東電本社は翻弄。現場は大混乱という描き方。だが、当時、東電は官邸に情報を上げず、そのことで総理は苛立ち、現場に乗り込んだ。その辺の背景も描かれていない。ただ、吉田所長を始めてとする職員の活躍は映画の通りで、吉田所長は信頼のできるボスであったことは、僕も元職員に取材して聞いている。

けど、この映画だけ見ると「彼らの活躍で原発事故は終息した!」という印象を持つ。実際は今も事故は続き、放射能を出し続け、近所の人たちは家に帰れないでいる。放射能被害も出てる。その部分は全く描かず、日本を救ったヒーローであるかのようなエンディング。

ただ、それは作家の自由。「俺は職員の活躍だけを描きたかった」ということかもしれない。それが映画だ。でも「原発の危険性」「不十分な安全性」「電気は足りている」「安倍が津波対策を止めたことで起きた事件」ということには全く触れない。災害で起きた不幸な事故という描き方。人災ではなく天災。それを素晴らしい50人が命をかけて日本を救ったという話に集約している。

これは「特攻隊は国を守るために死んだ」と美化するのと同じ手法。人の命を犠牲にした攻撃ー残虐性を見つめず、死んで行く若者を英雄として賞賛するのと同じ。「原発はやはり危険」「やめるべきだ」とのメッセージもない。注意して見ないとヤバイ。

製作面から見るとこんなヤバさも!=>https://cinemacinema.blog.ss-blog.jp/2020-03-07

分かりやすく書きました=>https://cinemacinema.blog.ss-blog.jp/2020-03-08

吉田所長が否定したデマも描く?=>https://cinemacinema.blog.ss-blog.jp/2020-03-09-2

asahi20_edited-1-1.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

7年前の今日。3月11日に「朝日のあたる家」の撮影が完了。 [思い出物語]

53808799_2526460030761619_8975431576380768256_o.jpg

7年前の今日。3月11日に「朝日のあたる家」の撮影が完了。

奇しくも、この日がクランクアップ。原発の事故を描いた映画なので完成後。多くのメジャー映画館からは上映拒否をされたが、心ある全国のインディペンデント映画館27箇所で公開。大ヒット。世界6カ国でも上映。ただ、映画で描いた放射能被害は未だに解決されていない。



60764999_2681749791899308_369149531398340608_n-8d7ef-51fa7.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

7年前の今頃。「朝日のあたる家」撮影中。 山本太郎さんアップの日。 「お疲れ様でした!」と握手。 [思い出物語]

89481109_3562564343817844_2566142753478017024_o.jpg


7年前の今頃。「朝日のあたる家」撮影中。

山本太郎さんアップの日。

「お疲れ様でした!」と握手。

90090313_3562564587151153_8930091745530609664_o.jpg

帽子の後ろ姿が私(この映画の監督)


予告編=> https://youtu.be/06Y47Ff657E



60764999_2681749791899308_369149531398340608_n-8d7ef-51fa7.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

映画「Fukushima 50 」で描かれてない事実(下)土手を削って低い位置に原発を建設。津波が来たら自然災害? [Fukushima50を検証]

87288569_3557822170958728_4814316158771527680_n.jpg

映画「Fukushima 50 」で描かれてない事実(下)

想定外の高さの津波というより、土手を削って低い位置に原発を建設。津波が来たら自然災害と被害者ぶった東電。当時、総理だった菅直人がドイツのテレビ取材で答えたもの。


2020030900012_4.jpeg


asahi20_edited-1-f0023.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

映画「Fukushima 50 」で描かれてない事実(中)総理が現場を訪れた理由。 [Fukushima50を検証]

89352496_3557815377626074_8220810053016354816_n.jpg

映画「Fukushima 50 」で描かれてない事実(中)

菅直人がドイツのテレビ取材で答えたもの。現場を訪れた理由。その背景を映画では説明せず、総理のせいでベントが遅れたという事実でないことを描いている



2020030900012_4.jpeg


asahi20_edited-1-f0023.jpg
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

映画「Fukushima 50 」で描かれてない事実(上)映画で総理が苛立っている背景が説明されていない [Fukushima50を検証]

89472244_3557813300959615_3825504504141316096_n.jpg

映画「Fukushima 50 」で描かれてない事実(上)

菅直人がドイツのテレビ取材で答えたもの。が、東電が情報を上げず、秘密主義であったことが理由。映画では総理が苛立つ場面のみを描いている。

2020030900012_4.jpeg




asahi20_edited-1-f0023.jpg
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:映画