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物語はどうやって作られるのか?=「朝日のあたる家」の場合。 [映画業界物語]


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物語はどうやって作られるのか?=「朝日のあたる家」の場合。

「太田監督の映画はいつも感動的だけど、シナリオもご自身で書いているんですよね? どうやって物語って考えるんですか?」

とたまに聞かれる。物語を考えると言うのは、あまりすることではないので不思議に思えるようだ。僕の場合。最初はネタから。前作の「明日にかける橋」ならタイムスリップ。「朝日のあたる家」なら原発事故。「青い青い空」なら書道。「ストロベリーフィールズ」なら幽霊という風にネタというか、題材を決める。分かりやすい例は「朝日」だ。



まず、原発事故の悲劇を伝える映画を作ろうと考えた。しかし、原発自体を描くと億単位の製作費が必要。あと、それではパニック映画になるし、本当の意味での原発事故の恐怖は描けない。被害者である住民を描いてこそ恐怖や悲しみが伝わる。戦争映画でもそうだが、軍部視点で描くと、戦争の進行は分かりやすいが、悲劇の部分が伝わりにくい。

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そこで「朝日」は住民を視点で描いた。ある家族を中心にして、周りの人たち。原発内部、官邸の内側も一切見せず、一般人の視点で見えるものだけを描いた。この手法は過去にある。スピルバーグの「宇宙戦争」あれはトムクルーズの家族だけを描き、政府、軍部、宇宙人側は一切描かない。主人公が見るものだけを観客が見る。それゆえに不安感が増大する。その手法だ。

もう一つが山田太一の「岸辺のアルバム」。新築の家を舞台に悩める家族模様が描かれ、最後は大水でその家が流されてしまうまでを描く。そのことで家族とは何か?を見せつける。この2つの作品の方法論を参考に、原発事故に巻き込まれた家族の物語を描いてみた。登場するエピソードは全て本当に福島で起こったこと。だから、机の上で考えた話ではなく、胸に突き刺さる。

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次に家族構成。平凡な家庭がいいので、お父さん。お母さん。娘2人。1人は大学生。1人は高校生とする。娘上は美大で絵の勉強。娘下は犬が好きな子。お父さんはいちご農家。お母さんは主婦。ここまで出来れば、そこに原発事故があればどうなるか?を考えれば物語ができる。が、この手の物語で大切なのは専門家。怪獣が登場するなら怪獣博士がいる。この場合は原発と放射能に詳しい存在。

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それがいしだ壱成さん演じる反原発活動家。そのことであれこれ説明と解説をしてもらえる。「ゴジラ」なら志村喬の役割。あと、主人公の1人、お父さん(並樹史朗)と対立するキャラも必要。そのことでよりドラマが深まる。それが山本太郎さんが演じてくれた伯父さんだ。

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ここまでくればもう、想像するのではなく、実際の原発事故に合わせて家族の反応や行動を推理していけば物語ができていく。別の映画のパターンもまた紹介する。


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毎日、映画館へ。アメリカ留学時代を思い出す。 [2020]

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毎日、映画館へ。大学時代を思い出す。

このところ毎日、映画館に行く。映画を見るのは映画人にとって仕事と同じ。勉強でありトレーニングだ。新しい映画の手法や表現を学ぶ。あるいはマズイ表現や演出を反面教師にする。だから、つまらない映画も見る。趣味でない作品も見る。アクション映画が好きでも、ラブストーリーから手法を学ぶこともある。

演出だけではない。日本映画なら新しい俳優の顔を覚える。また、ベテラン俳優なら今、どんな年齢か把握できる。「***さんお父さんやくにいいなあ」と思っていても、最新作を観るとすでにおじいちゃんということもある。年齢だけでなく、プライベートも影響。苦労していい顔になる人。結婚して幸せな日々で詰まらない人になることもある。そんなことも確認。

技術もある。最近はドローンを使った凄い空撮や長回しを観る。昔は撮れなかったショットだ。CGの進化。音響の凄さ。いろいろ勉強になる。だから、詰まらない映画を見ても損はない。忙しいと映画を見る暇もなくなるので、時間あるときに見ることは大事。最近は一番近い映画館。シネコンなので10本くらい上映。順に見ていると、その内に新作が公開。遠くまで行かなくても近場であれこれ観れる。

ただ、毎日、同じ映画館に行くので通学しているみたい。ああ、アメリカ留学時代。毎日、USCに通ったが、そんな感じ。それも映画館はショッピングモール内にあるので、あの頃みたい。USCは小さな町のような学校で、中に食堂、図書館、売店、映画館、雑貨屋と何でもある。まさに近所のシネコンと同じ。大学生活を再び送っている感じである。

「羨ましいなあ。映画ばかり見て入られて」と言われそうだが、いくら映画関係者でも、映画を見てもギャラはもらえない。入場料も払う。そこも学生時代と同じだ。その上で仕事をせねば生活できなくなる。


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