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戦争悲劇を伝えるためには、ドキュメンタリーでは不十分だ? [沖縄戦]

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戦争悲劇を伝えるためには、ドキュメンタリーでは不十分だ?

録画したNHKスペシャルを見た。沖縄戦の特集は少ないので、太平洋戦争時の他の戦闘も録画し見ている。先日は「インパール作戦」本当に酷いとしか言えない戦闘。しかし、ドキュメンタリーではその過酷さが伝わりにくい。1000人死んだと言われても実感できない。当時の戦闘を記録した映像はなく、再現ドラマもない。証言とナレーションだけで戦闘を伝える。

僕はあれこれ沖縄戦を勉強中なので、まだ想像するが、戦争に興味ない人が番組を見ても退屈なだけで実感できないのではないか? 実際、「乙女たちの沖縄戦」を見た人から「ドキュメンタリー部分が長すぎる!」という声を聞いた。これは長いというより、沖縄戦に興味がない人だということ。ただ、そんな観客でもドラマパートは良かったという。それだけにドキュメンタリーパートが長かったという意味なのだ。

僕がよくいうことだが「ドキュメンタリーの作り手がーこれは大切な歴史だから退屈でも我慢してみなさいーという姿勢で映画を作ってはいけない。興味のない人たちも夢中で見てしまう作品にすることが大切」その意味で「長い」という指摘も考えねばならない。と言って短くするということではない。ドラマなら見る。証言だけだと見づらい。想像できない。だから「長い」と感じる。

ドラマは興味がなくても、予備知識がなくても見られる。実感できる。ドキュメンタリー映画はその部分が難しい。本日、「アバター」という映画を見た。SFもので遠い惑星での物語だが、本質はベトナム戦争。アメリカ軍がいかに無謀で残忍であるか?をベトナム側から描いたような作品。惑星の青い住人が無慈悲に殺害されていく戦闘場面。涙なしに見れらない。まさにベトナム戦争である。

それを見ながら、沖縄戦もダブった。軍と行動を共にしたことで沖縄住民の多くが攻撃の犠牲となった。が、それをNHKのように被害者数を上げても実感できない。やはり「アバター」のように、残虐な光景を映像で見せてこそ、観客は打ちのめされ、涙を流し、「やめてくれ!」と願う。沖縄戦を伝えるなら、それが必要なのだ。

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これまでに2本の沖縄戦ドキュメンタリーを監督した。どちらも高い評価を頂いている。が、本当の苦しみや悲しみが観客に伝わっているのだろうか? 「沖縄の人。大変だったねえ〜」では十分ではない。「もう本当に酷すぎる。戦争は絶対に止めねば!」と観客が心の底から願ってこそ、意味ある作品になる。

沖縄戦の事実を曲げて、戦争犯罪人を偉人として描いている映画もある。「知事は多くの住民を救った!」ーという事実ではない映画を作ることに、どんな意味があるのか? 大切なのは「何の罪もない沖縄住民が軍と政府に翻弄され、4人に1人が犠牲になった。その戦争とはどういうものであるか?」を映画で伝えることではないか?

それを伝えるには、やはりドキュメンタリーではなく、劇映画でなくてはならないだろう。数年前にあるスポンサーから沖縄戦関係の映画製作を頼まれ何ケ月も準備したのに、撮影直前で投げ出した。多くの関係者に迷惑をかけたが、何ら補償なし!基本的に企業、映画会社も沖縄戦を映画化することに賛同しない。戦争したい勢力に忖度しているのか? 嘘を交え政府側を美化した映画にしか金を出さない。

だが、沖縄戦を伝えるには劇映画が有効。「アバター」レベルとは言わないが、映像で見せないと沖縄戦に関心のない人たちに、その凄惨と地獄を伝えることはできないだろう。何とか命尽きるまでに、そんな映画を撮りたい。撮らねばならない!



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