不可能実行指令〜12月から9ヶ月間。怒涛の記録?! [乙女たちの沖縄戦]
不可能実行指令〜12月から9ヶ月間。怒涛の記録?!
9月になった。怒涛のような9ヶ月。全ては昨年の12月からスタートした。「来週から沖縄取材に行ってもらえますか?」という連絡。「はあ!?来週〜」1週間で取材。帰京して5日でシナリオ執筆。さらに取材したドキュメンタリーパートを1ヶ月で編集。最後の編集だけは1ヶ月では無理。ノーギャラで3ヶ月かけて作業した。
制作会社がピンハネしているのではない。文化庁から降りた支援金があまりにも少ないのだ。まともな作品が作れる額ではない。が、文句を言うのではない。例え僅かでも本格的な沖縄戦映画を支援してくれることはありがたい。企業や映画会社はこの手の作品には決して出資しないからだ。
2、3、4月と編集。完成したのは初夏。ここから配給。スタート遅すぎ、東京の夏興行。映画館は完全に埋まっていた。配給が頑張り、1館だけ見つけてくれた。だが、6日間興行。通常は最低でも2週間だ。それがたったの6日。これは内容がイマイチだが、ご好意で上映してもらうと言う場合の数字。そのためか?マスコミ取材数は前作より少なかった。そんな誤解も受け、東京で観たい!と言う人も多かったが、6日間では行けない!との不満も聞いた。全ては時間がなかっただけ。
もう一つの問題は戦争ものは終戦記念日前に上映すると入る!と言われる。8月15日。それ以降なら映画館上映も可能だが、戦争ものは急に客が入らなくなる。もし、記念日前に上映できなければ来年まで待たねばならない。しかし、文化庁のルールでは今年中に上映せねば支援金は取り消しということ。承認まで散々時間をかけておきながら、昨年末のゴーサインが出ると*日までに撮影しろ!とか、*ヶ月以内に上映しろとか、とにかく理不尽の連続。
それでも映画はヒットした。コロナ禍、猛暑日が続く夏に東京では連日大入り。でも、どんなにヒットしても6日以上の上映はできない。期間が決まっているからだ。が、横浜でもヒット。3週間のロングランとなった。前作ほどの拡大公開にはならなかったが、大阪、京都、長野、大分、沖縄でも公開。中には前作「ドキュメンタリー沖縄戦」も上映してくれる劇場もあった。
さて僕の方だが、初夏に映画が完成。それで終了ではない。ポスター、チラシ、予告編のデザイン、制作がある。これらの作業も毎回、ノーギャラ。どのようなデザインで行くか? ビジュアルはどうするか? 最終的にはデザイナーを呼んで仕上げるが、そこまでは僕が考える。何より宣伝費がない。本来なら配給会社があれこれ見本を作って監督がOKを出すだけでいいのだが、見本を作る人を雇えない。
さらにマスコミ取材。ドラマパートの監督は今回初めて沖縄戦題材で作品を作り、あまり詳しくない。Pも同様。結局、取材を受けてあれこれ話せるのは沖縄戦の勉強を続けている僕しかいない。1日に1社の取材を受けるだけでも他の仕事ができない。取材場所まで電車で1時間。1時間前には到着。取材が1時間。満員電車で帰宅。3時間。真夏の東京。それだけでヘトヘトだ。それが1日3社、4社ということもある。
当然、取材もノーギャラ。こうして公開まで何度も取材を受けた。「このネット番組。誰が観てるの?」というものにもzoom出演。ま、視聴者の1人でも映画館へ行ってくれればと願い、笑顔で出演する。毎回、こんなふうにして宣伝活動はするが収入がなくなる。それはそれで厳しいが今回は今までと違う問題があった。初夏から別の仕事がスタートしたのだ。収入がないのも困るが、時間がなくなる苦しさを痛感する。
宣伝があるが、次の仕事の準備もある。そしてプロジェクトスタート。2本立てだ!さらに公開が始まると、舞台挨拶。僕は司会進行を担当。そのイベントを撮影したものを自身で編集。ネットにアップ。これも宣伝。さらに、昨年から始めたYouTubeも使い宣伝。1本編集するのに3時間かかる。が、れいわ新選組特集以来、人気が出て再生数も高い。利用しない手はない。そんなこんなで取材、宣伝、次の仕事。と3本立てで突き進む。
8月末でほとんどの劇場で上映終了。どこも非常に評判は良かった。昨年12月に突然スタートした「不可能実行指令」の幕が降りた。完成しただけでもめっけもの。それがかなり高い評価を頂いた。同時期に前作「ドキュメンタリー沖縄戦」のプライム配信とDVD発売もスタート。怒涛の8ヶ月だった。そこでメロリンQ。いや、バタンQ。過労で倒れた。
次のプロジェクトはまだスタートしたばかり。こちらは来年夏に向かって進行中。だが、これでようやく専念できる。こちらはまだ詳しく書くことはできないが、リハビリしながら、次なるステップを準備中。また、小出しに報告して行く。あと、「乙女たちの沖縄戦」沖縄でムーブオーバー。沖縄市で9月12日から公開となる。こちらも宣伝して行かねばならない。
もう怒涛の不可能実行指令ではあったが、映画が公開されたことで多くが「ひめゆり」だけではなく「白梅学徒」の存在を知ったはず。そのことが大事。沖縄戦でひめゆりだけが悲劇に見舞われたのではなく、多くの乙女たちが犠牲となったこと。伝えたかった。そして歴史を見つめることで現代の問題も見えてくるはずだ。
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