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「フリーガイ」は感動ドラマ。脇役なんていない。皆、誰もが主人公なのだと応援してくれる物語。 [映画感想]

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「フリーガイ」は感動ドラマ。脇役なんていない。皆、誰もが主人公なのだと応援してくれる物語。

あのポスターどう見ても感動作には見えないのだが、声を出して「Oh Yes!」と叫びたくなる場面が何度もあった。物語は「ビデオゲームの中の世界」と「現実の世界」が同時進行。あの「竜とそばかすの姫」と同じパターンだ。が、こちらの方が十倍感動した。個人的な思いが強いが紹介しよう。

主人公はゲームの中のモブキャスト。その他大勢というキャラ。そこに現実世界の人たちのアバターが登場。その街では何をしてもいいという設定。殺人、強盗、ひったくり、暴力。それらの行為で得点が上がる。ストレス解消ゲームなのだ。そのやられ役が主人公のガイ。が、彼らモブキャストはそのことに気づいていない。そこが作られた擬似空間とは知らない。

そこにゲームを作った女性。ミリーがアバターを使い登場。ある秘密を暴くために潜入したのだ。その彼女と出会ったことで、ガイは恋に落ち、そこから自分の存在が何なのか?を考え始める。毎日、同じ生活。決められたセリフを言う(ビデオゲームだからね)そこに乱入するプレイヤーに殴られ、撃たれる。

朝起きて金魚に挨拶し、いつも同じブルーのシャツを着て、出社前にコーヒーショップで、いつもと同じテイクアウトのコーヒーを買う。そして銀行に出社。出納係(日本と違いアメリカでは銀行の窓口業務は誰でもできる平凡な仕事という認識がある)仲のいいガードマンに挨拶。お客に愛想よく対応。そこに毎日、銀行強盗。毎日、その繰り返し。他のモブキャストも同様。決められたことしかしない。できない。

そんなガイがミリーと出会ったことで、繰り返しの毎日でいいんだろうか?と悩み始める。この映画、凄いのはビデオゲームの中の話なのに、これって現実社会の僕らのことじゃないか?と思わせる。朝起きてコーヒーを飲み、満員電車に揺られて会社へ、上司に叱られ、お客にへつらい。夜は同僚と居酒屋へ。酔っ払って家に帰り、また朝になると会社へ。そんな繰り返しでいいのか?と訴えるのだ。

目覚めたガイは何か新しいことをしよう。大切なものを探そうとゲーム設定とは違うことを始める。が、ゲーム会社はそれを許さない。様々な手を使ってガイをその世界から削除しようとする。これもまさに現実。会社や学校で、これまでと違うこと。マニュアルにないことをすると排除にかかる。

「お前らは言われたことをすればいい。あれこれ考えなくていい」というのと同じ。だが、次第に他のモブキャストたちもガイに賛同。ゲームの世界自体を消し去ろうとする会社側に対応。ガイの応援を始める....そして、ミリーは?というストーリー。

一番共感したこと。僕が映画撮影をするとき「エキストラ」という言葉は使わない。エキストラ=その他大勢。人生にエキストラはいない。皆、それぞれの人生で主役なのだ。

それを「その他大勢」というのはおかしい。ただ、Aさんを主人公にしたとき、Bさんは単なる通行人かもしれない。しかし、Bさんの人生では彼が主人公なのだ。だから、エキストラではなく市民俳優。

シナリオ執筆も同じ発想だ。主人公はみゆきだが、彼女の父にも母にも人生があり、そのドラマでは主人公。彼女が高校時代に好きだった不良少年ユキヒコはいわゆる悪役だが、彼の人生では彼が主人公なのだ。

映画で描かれる前の物語があり、映画の後の人生もある。だから、登場人物の前後も考えてシナリオを書く。主人公に都合のいいキャラにしてはいけない。物語を進行させるために、セリフを無理やり言わせてはダメ。皆、それぞれの人生を生きているのだから。

という思い、まさにこの映画も同じ。モブキャストだからと決められた台詞で毎回、同じ人生を送る必要はない。1人1人が人生の主役なのだ。この人が主役でこの人が脇役なんてことはない。脇役でもまた別の物語では主人公なのだ。そんな思いで作られたのが、この「フリーガイ」なのだ。その意味でまさに僕は超共感した。

おまけに「アベンジャーズ 」や「スターウォーズ」のパロディ?が出てきて、アメリカの映画館なら拍手喝采だ。この厳しい時代に笑って、ハラハラして、感動して泣かせてくれる貴重な映画だ。ぜひ。見てほしい。


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