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「最近の映画監督は社会政治に興味ないのか?」と指摘されたこと。そうかもしれない? [映画業界物語]

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「最近の映画監督は社会政治に興味ないのか?」と指摘されたこと。そうかもしれない?

ある映画ライターさんに言われた。「最近の映画監督はどーなっているのか? 昔は大島渚監督が深夜の討論番組に出て鋭い意見をいい、時にはバカヤローと叫んだ。黒澤明監督は原子爆弾や原発に関心を持ち、多くの監督たちが反戦映画を作った。伊丹十三監督も社会に切り込んだ作品を作り、それを語った。

なのに、最近の監督たち。Twitterを見ていても映画のことしか語らない。芸能人じゃないんだから、政治発言だ!なんて批判されることはない。むしろ、政治発言をするのが文化人たる映画監督の使命の一つなのに発言しない。新作の***はどうだとか、名作***は何度見てもいいとか、そんなことばかり。それでは映画作家ではなく、映画ファン。

567とか、枠てんとか、ウイグル問題、寅とか、梅とか、安倍菅政治とか、今、世界はいろんな問題を抱えているのだから、それらについて切り込み、語るべきではないか? 韓国映画にパワーでも、技術でも、製作費でも近年は負けているけど、何より監督のレベルが下がっている。映画ファンがそのまま監督になるような状態だから、いいものが作れないのではないか?」

そんな指摘を受けた。確かにそれを感じることが多い。僕より上の世代。先輩たちは社会や政治について語っていたが、下の世代は映画の話しかしない。特に政治の話はしない。まるで大学のコンパみたいな会話であることが多い。ただ、考えてみると、上の世代は大学時代から酒を飲みながら政治について語ると聞いたが、僕らの学生時代は飲み会で政治の話なんて、皆無だった。むしろ「政治なんてダサいものに興味ないよ!」という感じ。普通の大学生たちはファッションや車の話。旅行、どんな料理が今旬か?てな、広告代理店の会議のようなことしか話さなかった。

僕ら映画ファンはもっぱら映画。スピルバーグの新作はどうだ?ILMの特撮はいつも凄いとか、日本映画は相変わらず詰まらないとか、そんな話を朝までしていた。そんな世代が映画界で仕事をするようになっても、いきなり安倍菅政治について語ったりは出来ないのだろう。だから、相変わらず映画の話。もともと、政治に興味がない人たちが業界で働いているのだ。ただ、近年、311からは政治や社会に関心なしにいられなくなった。原発事故によって様々な闇が明らかになった。安倍晋三の登場、暗黒の時代が始まる。戦争法の強行採決。原発再稼働。そしてアメリカ大統領選、567、枠てん、混迷の時代が続く。

一般の人の関心も、少し前までは旅行、グルメ、SEXだったが(テレビや雑誌はそれらさえ扱えば視聴率が取れ、売れた)今1番の関心は567だ。感染であり、枠てんのこと。そしてオリンピックの中止?強行開催? 10年前とはかなり様変わりしている。一般の関心が社会や政治に向かっているのに、相変わらず映画人たちは新作映画のことしか語らない。とライターさんは指摘するのだ。

理由は先に説明した通りだが、映画という狭い世界の中で生きて来た人たちが、いきなり政治を語れない。ただ、ライターさんのいう通り、一般の人たちでさえ、関心を持つ問題にほとんど触れないのはどういうことだ?というのも頷ける。先輩監督たちが世に問うて来たのに、今の世代は何も言えないでいるということなのだ。それで多くの観客を感動させる。あるいは感銘を与える作品が作れるのか?と問われた。

我が身を振り返る。僕も少し前までは指摘される通りだった。映画にしか興味がなかった。本棚に並ぶのはスピルバーグや黒澤明の本。後は映画のDVDだ。スポーツにも、車にも興味はなかった。それが311で原発事故。高校時代に見た映画「チャイナシンドローム」がダブり関心を持つ。昔から映画にしか興味はないが、事件は好きで、JFK暗殺、宮崎勉事件、オウム真理教事件、三浦和義事件、薬害エイズ事件と、その種の報道はテレビにかじりついて見ていた。その延長で「女子高生コンクリート事件」のVシネマの脚本も担当。徹底的に取材。そのノリで原発事故を調べた。

結果、マスコミが報じるどころではない大変なことになっていて、東京全滅の可能性すらあることを知る。何かしなければ!と強く感じた。震災や事故があるとボランティアで出かける気徳な人たちがいるが、僕はその種の思いはなく、無関心、無感動世代らしく、自分から何かをすることはなかった。なのに何かをせねば!と感じた。多分、山本太郎さんも同じような思いを感じて、政治家への道を進み始めたと思える。僕は原発事故の映画を作った。それまで爽やかな青春ものばかりだったのが、いきなり社会派! 

そこから関心を持ち、原子力ムラの存在、アメリカの支配、日米地位協定とか、日米原子力協定の存在を知り、政治家たちが国民に知って欲しくないことがあれこれあるのに気付く。そんな勉強を始めた。そうしたところに来た依頼が「ドキュメンタリー沖縄戦」だ。取材を進めると、沖縄戦と原発事故は同じ構図であることが分かる。沖縄戦を知るには太平洋戦争を把握せねばならないことが分かる。さらには日中戦争、日露戦争。第二次世界大戦時のヨーロッパ戦線。ナチスドイツ。日本以外の戦争も知り、比較することの大切さを感じた。

そんなことで気付くと、Facebookでも、ブログでも政治や社会のことばかり書いていた。そんなだからこそ、ライターさんは僕にそんな話をしたのだろう。だが、偉そうなことは言えない。全ては311の原発事故からだ。あれでたまたま興味を持ったので勉強したが、そもそもは映画ファンのまま映画監督になっている。映画しか興味がなかった。

かつて漫画家の本宮ひろ志が言った。「今時の若手漫画家は社会の実体験がない。子供の頃から漫画ばかり読んでいて、自分でも漫画を書き出す。自分が好きな漫画の模倣。たまたま、面白いものが描けてデビューしても、社会経験がないから1発で終わる」その言葉は衝撃だった。まさに、若き日の僕そのものだった。それもあってアメリカ留学を考えた。映画を見ているだけではダメだ。それでは映画は作れない。そして311。作家業としてはラッキーだった。でなければ、僕も未だに映画のことしか言わない映画ファンの延長線に立っていたはずだ。もちろん、時代が今のようにならなければ、それでも問題はなかった。が、世間の人たちが社会に目を向けているのに、クリエーターが映画にしか興味がないようでは始まらない。

いつもFacebookで記事を拝見する先輩監督。あれこれ社会に対する思いを綴っている。恐怖をモチーフにした作品を作る方で、海外でも評価が高い。やはり、関心が映画だけでないからこそ、数多くの作品を作り続けられるのだと思える。果たして僕はどうなるか?分からないが、ライターさんの指摘は正解。映画にしか興味ない映画人は、やがて時代に淘汰されていくように思えてしまう。僕もしっかり勉強を続けよう。今は戦争について、もっともっと知りたい。


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