なぜ、Nは生まれたのか?「戦争論」を読むと、あの支持者たちの背景が分かる! [A政権について]
友人が「僕もネトウヨになるところだった」と言ってた本。小林よしのりの「戦争論」を改めて読んでいる。何度も書くが子供の頃から僕は「戦争もの」に興味を持てず、戦争ごっこもせず、戦艦大和のプラモを作らず、映画ファンなのに戦争映画はあまり見ていない。戦争に関心を持ったのは本当に「ドキュメンタリー沖縄戦」をスタートさせてからだ。
そのせいか?「戦争論」は発売当時に話題になったので読んだが、全く感じるものがなかった。しかし、友人によるとこれで覚醒した若者たちがのちのネトウヨに育ったらしい。読み始めてまだ真ん中位だが、それが実感できる。発売が1998年。今から23年前。当時18歳だとすると今は41歳。当時25歳なら48歳。まさにネトウヨ(この言い方嫌いなんだけど)世代である。(彼らは意外に高齢。35歳で読んでいれば58歳)
内容を少しだけ紹介すると、特攻隊については「国の未来のため、つまり我々のために命を捨てたのだ」と断言。アジアの解放のために日本軍は戦ったと紹介。戦時中の大本営発表と変わらない価値観だ。まじかよーと思えるものが多い。一言で言うと大東亜戦争は聖戦だった!と言う内容。戦後教育(後で説明)する僕らの世代から見ると、受け入れ難いもの。にも関わらず、この本は大ベストセラーになり、多くの若者が影響を受けた。友人(極めて鋭いタイプ!)でさえネトウヨになったかも?と語る。そこを考えたい。
戦後日本はGHQの方針で、思想操作や教育によって「日本人はアジアの人たちに酷いことをした」「軍の暴走で戦争になった」「そのために多くの人が犠牲になった」と擦り込んだ。当初、アメリカは日本をアジアの小国と考え、大きな問題と考えていなかったのだが、戦争が始まり、その抵抗の強さに驚愕。危険な国民であることを知った。だから2度と戦争をさせないように、そのような考え方を教え込んだのだ。
それらは事実あり、誇張もあり、創作もあったと思える。僕らが子供の頃は「戦争はいけない」「軍隊は必要ない」と言う教育をを受けたのを思い出す。一方では優秀な会社ロボットを育てるための教育。「考える力」を育てず、与えられたことだけを確実する。命令に逆らわない存在を大量生産する政府方針の型に嵌められていく。
結果、危険思想を持つ人。日本人としての高いプライドを持つタイプは減ったが、アイデンティティーを持てない。「俺はつまらない国の国民だ」とコンプレックスが強く。自信を持てない若者も大量生産してしまった。その後にバブル時代があり「日本人は優秀、企業は世界トップ。ジャパンアズナンバー1」と浮かれたが、バブル崩壊、リーマンショックと日本は再び叩き落とされ、20年に及ぶ不況は若者たちに再び自信の持てない情けない国と感じさせた。
そんな時に登場したのが「戦争論」だ。多くがはまった理由はよく分かる。戦後教育で「日本人は酷い民族だ」と教えて込まれていたのに、小林よしのりは「戦争を戦ったジイさんたちは素晴らしい!」と称えたのだ。「あの戦争は正しかった」「日本人は優秀だ」そう言われて自信を取り戻せたのだ。とても分かりやすい話。「うちの高校は毎年、甲子園に出場する」と言うだけで野球部ではなくても愛校心が生まれる。「うちの会社は業界ナンバー1だ」と自慢したい。
自分が活躍しなくても関わっているだけで「俺もその一員だ!」と優越感を持てる。有名人の友達がいると自慢する人も同じ。国も同じだ。「戦争論」解釈を信じれば日本は昔から素晴らしい国。国民だった。戦争でも悪くない。GHQの洗脳だ。「俺は素晴らしい日本の国民なんだ!」と思うことでアイデンティティが取り戻せる。自信が、優越感が持てる。何の努力をしなくても、そう感じることができた。だから若者を中心に多くがこの本に飛び付いたのだろう。
その発想の延長に安倍政権が登場する。「強硬なやり方だが、自信がある人だ。行動力がある。再び戦争できる国にしてくれた!日本の力を示せる!」と「戦争論」世代は拍手を贈ったはず。あの本に書かれてある素晴らしい日本を「取り戻そう」としているように見えたからだろう。だから、政権を批判する者は許せない。自身のアイデンティティを否定されるのと同じだから。反安倍に対する攻撃を始める。元祖ネトウヨとなった。もちろん、金で雇われている人たちもいるが、そんな背景で生まれてきたグループなのだ。
この先の考察もいろいろ面白いのが、続きはいずれ。とにかく、この本でなぜ、安倍政権を支持した若者が多かったのか?が理解できた。この件。また考えて行きたい。
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