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映画監督業は言えないことがいっぱい=緊急事態宣言中も時間なし? [映画業界物語]

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映画監督業は言えないことがいっぱい=緊急事態宣言中も時間なし?

映画人だけでなくテレビマン、マスコミ関係もそうだと思うが、今作業している仕事のことを正直に言えないことがある。テレビなら秋から始まる新作ドラマを担当しても、直前まで秘密。スタッフが勝手にバラしてはいけない。そんなことをFacebookで記事にしたらクビになってもおかしくない。マスコミも同様。ある事件を追っていて新聞やニュースでない場所で伝えたら、更迭されて当然。

映画業界も同じ。製作発表があるまでは新作のタイトル、内容、ストーリーは一切内緒。Facebook、ブログ、Twitter等に書くことはご法度。そのことで問題が発生して製作が中止になることだってある。だから、書けない。で、観た映画のことばかり書いていると「監督、ヒマななんだあ〜」と「飲みに行きませんか?」と「***のライブ来てください」とかいう連絡が来ることがある。

でも、「新作準備中だから!」とは言えない。業界の人ならその辺を察してくれるが、一般の人だと「えー、何撮るんですか〜?」「誰が出るんですか?」と聞かれる。言わないと「どーせ、俺なんて信用できないんでしょう」と拗ねたり「だったら、次から応援しませんから」とか恨まれたりする。なので映画監督たちはあまりFacebookもブログもやらないのかもしれない。そして先のような連絡があると、とても困る。

ただ、僕は作品が出来てから宣伝をスタートしたのでは遅いと考えるので、日頃から映画以外の記事をアップしている。そのために別の問題も起こる。新作準備をしていないのに「本当は新作でしょう? 次は何ですか? 僕にだけ内緒で教えてくださいよ」とか聞いてくれる人がいる。そんな輩に限って他の人にも「特別に君だけに教えるけど、監督は新作を準備中なんだよ」といろんな言い触れ回る。

すると、俳優陣が「えーマジ? 出してもらおう!」と「出演したい」メールがいっぱい来る。でも、新作なんてない。断ると「あー俺なんかじゃダメなんだ。もう頼みません...」と恨みを買う。何もないのに多くの人があれこれ噂し、恨まれたり嫌われたり。時々ある。もし、本当に新作を準備していても同じ。「どこで撮るんですか?」「エキストラで出してください」「大阪の映画館でもやりますか?」とそんな質問がいくつも来る。

その手の質問には答えないと、日頃から言っているので無視する。が、親しい人、お世話になった人からも連絡が来る。流石に返事をするが、そのために時間を取られる。「よーし、またお手伝いするぞ〜」と愛ある人もいるが、返事で準備の時間が削がれる。また、あちこちで書かれたり発信されたりすると、肝心な製作発表の時にマスコミが扱ってくれなくなる。誰も知らないからこそニュースになるのだ。

そんなこともあるので、解禁日までは一切新作については書かないし、伝えない。また、新作でなくても言えないプロジェクトもある。先の「Z計画」も同様。いろいろ難しいことがあり、完成まで内緒で進めた。友人の作品のお手伝いも同様。なので、Facebookにあれこれ書かないからと「監督、ヒマそうだから〜」ではないことお伝えしたい。ちなみに僕は「暇ですることない〜」という時もまずない。緊急事態宣言中もあっと言う間に1日が終わった。不謹慎なことを言えば、もう少し続けて欲しかったくらい。映画監督業とは因果な仕事である。


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