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「風の電話」もまた311と原発事故の物語=涙が止まらない。人はなぜ悲しまなければならないのか? [映画感想]

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「風の電話」また311と原発事故の物語=涙が止まらない。人はなぜ悲しまなければならないのか?

311の津波で家族を亡くした少女ハル。叔母に引き取られ広島で暮らしている。もう17歳になる。ある日、叔母が倒れ入院。1人になった彼女は生まれ故郷である大槌まで、ヒッチハイクで行こうとする。その姿をドキュメンタリー映画のようにカメラは延々と映し出す。

少女と出会う人たち。ボケた母親と2人暮らしのオヤジ。嫁と娘は出て行ってしまった。旦那はいないが出産しようとする40代の女性。同じく家族を津波で亡くした男性。彼は福島第一原発で働いていた。避難解除になり福島に戻ってきた老人。「死ぬときは故郷で死にたい」と呟くが、近所の若い人たちは誰も帰還していない。

そんな人たちとの出会いがあり、少女は故郷大槌に辿り着き。津波に流され、基礎部分しか残っていない自宅を訪ねる。どのシーンも涙が溢れた。高名なコピーライターが原発事故の映画を見て「2時間泣きっぱなし」とツイートしていたが、僕はこの映画で泣きっぱなしだった。

あの著名人はなぜ、津波対策を握りつぶし、全電源喪失を引き起こした「責任者」が「英雄」として描かれる嘘の物語で感動できたのか? 本当に悲しいのは、そのために犠牲を強いられた住民たちのはず。それが全く描かれない映画でどう涙したのだろう? 

職員たちが奮闘したのは事実だが、日本を救ったりしていない。そして放射能だけでなく、大津波は多くを巻き込み、多くの家族を絶望の底に突き落とした。それを彼は想像しなかったのか?そして、この映画に登場する人たちもまた津波や放射能だけでなく、様々な不幸を抱えながら生きている。少女は家族を亡くした元福1の職員に言う。

「死んだら家族に会えるんじゃないかな...あなたは死のうと思ったことないの?」

人はなぜ、悲しまなければならないのか? どうして辛い人生を生きて行かねばならないのか? 様々な思いの交差。やがて少女は死んだ人と話せる「風の電話」の存在を知り、その公衆電話を訪れる。出演者も本当に素晴らしい。他の映画と違い、芝居を超えた好演。「F50」を見るなら、この映画を見て欲しい。




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ハマコウ

関電の「事件」報道を知ると、とてもやりきれなくなります。
元副社長は取締役退任後でも月額490万円の報酬、その中に追加税補填分30万円が含まれるということに驚きました。原発の近くに住む人が、いったん事故が起き、立ち退きとなった一ヶ月どれくらいのお金を保証されるのでしょう。
by ハマコウ (2020-03-15 15:44) 

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