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映画「Fukushima50」なぜ、原発映画なのに多額の製作費が集まり、豪華キャストを実現できたのか?=東電を賞賛する作品だから! [Fukushima50を検証]

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映画「Fukushima50」なぜ、原発映画なのに多額の製作費が集まり、豪華キャストを実現できたのか?=東電を賞賛する作品だから!

前回は内容面の解説をしたので、今回は別の角度から見つめたい。7年前、僕はまさにこの映画と同じ、原発事故題材の映画を作った。が、映画、ビデオ、テレビを始めとする企業からは出資を受けることが出来なかった。皆、原子力ムラを恐れていた。

原発は国策。戦争と同じ。同時に多くの大企業が大儲けできるツールである。事故を描く映画なんてとんでもないのだ。昔から「原発映画を作った監督は2度と商業映画を撮れない」と言われていたほど。企業で制作費を出す社は皆無だった。

が、僕は監督人生を賭けて「朝日のあたる家」製作を決意。市民からの寄付で映画を作ることにした。それでも寄付は個人からのみ。中小の会社でさえ支援なし。そして俳優。名のある俳優はことごとく出演拒否。事務所からも「原発映画だけはダメですよ。無理無理!」と言われた。原発反対を公言する俳優でさえ出てくれない。そんな中で山本太郎さんを始め、心ある人たちが超低価格のギャラで出演してくれた。

さらに完成した映画を大手シネコンチェーンが上映拒否しただけでなく、インディペンデントの映画館でさえ上映をしてくれない事態。それが新聞で報道され、記事を見た全国の思いある映画館主が手を挙げてくれて、ようやく公開。多くの人がチケットを売り、宣伝をしてくれたが、テレビでは一切、紹介をしてくれなかった。結果、映画は大ヒットしたが、原発を扱った映画がこれほどまでに押さえつけられるものだと知った。

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それから7年。今、原発事故を扱った大作映画が公開中。製作費は少なくても3〜4億円。キャストも豪華だ。CGを駆使した津波シーンは迫力満点。テレビでも宣伝スポットが流れている。7年前とは大きな違い。時代が変わり、原発事故の危険性を忘れないでおこう!という思いに賛同する大企業が出てきたのだろう...。と思えたが、映画を見ると、そうではないことが分かった。

この映画。一言でいうと「福1の職員たちの奮闘で日本は救われた」というもの。もう少しいうと「あれは天災。あの大地震と津波。事故は仕方ない」「混乱を招いたのは当時の総理。あの言動や行動が事故対応を邪魔した」「東電の上層部も官邸に振り回され大変だった」「でも、現場の50人は最後まで諦めずに戦った」「彼らのような素晴らしい社員がいる東電は2度と、同じ事故は起こさないだろう」「事故も終息したし、もう安心だ」という印象が残る映画なのだ。

つまり、あの事故は自然災害と、悪夢のような民主党政権が起こしたもの。東電は何も悪くない。いや、とても頑張った。日本を救った。ということを伝える物語なのだ。でも、事故はまだ続いている。被害も増えている。終息まであと何万年かかるのか? 今も故郷に帰れない人が数多くいる。自殺した人もいる。それどころかまだ線量の高い地区に帰れと言われる人たちもいる。数多くの悲劇が続いているのに、それらは描かれていない。

この映画のテーマは「東電の皆さん。日本を救ってくれて感謝。これからも頑張ってくださいね。原発はもう安心ですよね」ということを伝えたいのではないか?と思えるほど。だから、原子力ムラも、原発推進の現政権も、圧力をかけない。むしろ応援してくれる。企業も安心して出資できる。

多額の制作費が集まる。豪華キャストを起用。CGもふんだんに使おう。宣伝費も十分にある。ということになったのだろう。それが「Fukushima50」という映画の背景だと感じる。時代は7年前と変わっていない。大企業も政府も原発推進を今も続けている。その象徴がこの映画なのだろう。

(内容についての疑問はこちらで)=>https://cinemacinema.blog.ss-blog.jp/2020-03-06

 分かりやすく書きました=>https://cinemacinema.blog.ss-blog.jp/2020-03-08

 吉田所長が否定したデマも描く?=>https://cinemacinema.blog.ss-blog.jp/2020-03-09-2

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当摩泰久

F.B.友人の編集者経由で 太田監督のこのページにたどり着きました。タイトルはよく拝見していたのに、未鑑賞。DVDで借りられる!貴重な記事拝読とともに大変嬉しゅうございます!
「Fukushima50」に関しては、予告編で勇ましいSF映画調の音楽に接し、嫌な予感がしていましたが、やはり!・・・F.B.でシェアしました。


by 当摩泰久 (2020-03-07 15:23) 

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