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日本映画が貧しくなった理由。=脚本がダメになったのはギャラ? [映画業界物語]

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日本映画が貧しくなった理由。=脚本がダメになったのはギャラ?

僕が映画界で一番最初に仕事をしたのは1982年。今ら38年前である。まだ、黒澤明や木下恵介も活躍していた頃。日本映画黄金期のスタッフも健在。先輩たちから当時の話や匂いを感じることができた。

1960年代の日本映画はそれこそ、黒澤、小津、溝口と世界に轟く名匠がおり、世界レベルの作品を作っていた。それがテレビの登場共に、次第に映画人口が減って来て、今や日本映画は漫画原作の作品やアニメが主流。世界が評価する作品はほとんどない。(ジブリくらいか)

だから、黄金時代の話を聞くのは嬉しいものだった。が、当時を築いて来た古参映画人とは別に、その後に映画界に入った先輩たちの言動や行動は困惑するものがあった。当時の映画はメジャー会社で低予算で3000万。通常作品なら1億円くらいの製作費が用意された。スタッフのギャラも今ほど悪くなく、初任給が20万ほどの時代だが、それなりの演出部は1ヶ月で50万ほどもらっていた。

というのは映画人は会社員ではなく、フリーなので、今月仕事があるから来月もあるというものではない。そして誰でも出来る仕事でもなく、経験と技術が必要。その意味でそれなりの額が支給されていた。脚本家も1本書けば100万以上。でも、それは当然のことで、建築で言えば設計図。さらに脚本を書くにはあれこれ調べる必要もある。100万でも執筆に4ヶ月かければ1ヶ月25万。初任給に近い。決して高い額ではない。

なのに最近は脚本料が数十万ということが多い。そんな額で取材したら赤字。若手の脚本家は調べずに、お手軽に書けるシナリオを書いてしまう。ギャラが安いので脚本を目指す若者が減る。実力あるものが他の世界に行く。時間をかけて書くと生活できない。やはりお手軽に書く。それで面白い映画ができるわけがない。これも日本映画衰退の一因となる。(ハリウッドでは1本書くと3年生活できるギャラが出る。だから、時間をかけていいものを書ける)

話を戻す。黄金期時代の後、衰退が始まった時代以降に映画界で働き出した先輩たち。問題がある人たちが多かった。そこには映画界の悪しき習慣があり、それが日本映画をダメにしていった原因の一つなのだ。そのことは次回に。


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