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「朝日のあたる家」事件を振り返ってみる=ありもしないものを恐れ怯える人たち? [映画業界物語]

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「朝日のあたる家」事件を振り返ってみる=ありもしないものを恐れ怯える人たち?

「朝日のあたる家」を作った時も、あれこれ問題が起こった。まずスポンサーがつかない。映画会社も、テレビ局も、ビデオメーカーも、通常映画に出資する企業が一切金を出さない。そのために製作費を一般のからの寄付で賄ったのだかが、その中に企業は一社もなかった。全て個人からの支援である。その背景にあるものは何か? 製作前から映画界の先輩たちに言われていた。

「原発映画は業界でタブー。監督したら二度と商業映画は監督できない。だからやめた方がいい」

つまり、原発を進めたい人たち。団体、企業、行政は「原発が危険だ」というイメージを持たれたくない。だから、その手の映画やドラマを嫌い。邪魔して潰したりする。また、その映画に手を貸した会社や企業をよく思わない、推進派は大手企業ばかり、銀行、商社、新聞社、テレビ局、建設会社と物凄い金を持っている。そんなところに睨まれたくないから、原発映画は作らない。関わらないということなのだ。

黒澤明監督の「夢」でも原発事故のエピソードがあった。そのために日本の企業はどこも製作費を出さず、アメリカのワーナー・ブラザースが出資することになった。ある大手映画会社は「あのエピソードを外してくれれば出資する」と提案したが黒澤は拒否。結果、アメリカ資本でしか作れなった。

天下の黒澤でさえ、企業は金を出さない。そのくらいに映画界では原発はタブーだったのだ。福島の事故が起こってからは、数本の原発映画が作られたが、数は決して多くない。そんな1本が僕が監督した「朝日のあたる家」だ。製作費だけではない。完成後も困難が続いた。映画館が上映拒否。大手メジャーのシネコンはそうなるだろうと予期していたが、ミニシアター系、単館にも拒否された。密かに理由を聞くと

「原発事故の映画なんか上映して、どこかの誰かに何かを言われたら怖い。不安だから、とりあえず上映はやめておく」

何じゃそれは!もし、経団連に叩かれる。東京電力から電気を止められる。経産省から注意されるというのなら分かるが、それもあり得ない。にも関わらず「どこかの、誰にか」「何か言われたら怖い」と怯えて上映拒否。つまり原発推進派に睨まれたくないということ。その後、心ある映画館27館が手をあげてくれて上映。全国で大ヒットしたが、どこも嫌がらせを受けたところはない。

問題作を作る、上映すると必ず、ありもしないことに怯えて、出資しない、上映しないという会社や映画館が出る。さて、僕の最新作「ドキュメンタリー沖縄戦」でも似たような事件が起きている。スポンサーが全国公開の許可を出そうとしない。さあ、今回は何が理由なのか? 

「教材のために作ったもので映画館上映は想定していない」

と言っているが、より多くの人が見るのだから問題ないはずだ。「朝日の」と同じく、どこかの誰かに何かを言われたら?ということか? あのときは原発推進派。では、今回も誰かを恐れているのか? だとしたら誰を恐れているのか? 交渉を続ける。



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