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オウム事件当時の世情を思い出す。煽られ、先導された日本人。ドキュメンタリー「A」シリーズが暴く。 [映画感想]

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オウム事件当時の世情を思い出す。煽られ、先導された日本人。
ドキュメンタリー「A」シリーズが暴く。

1995年。地下鉄サリン事件が起こったとき。連日のオウム報道。ワイドショーはオウム一色。この手の話題が好きな僕はテレビにかじりついていた。ある日、大衆食堂で飯を食いながら麻原逮捕のニュースを見ていた。仕事帰りのオヤジがビールを飲みながら、テレビを見つめて文句を言っている。

「本当に許せねえなあ。麻原って野郎は!俺にも一発殴らせろ!」

同じような発言は友人たちもしていた。が、それはおかしい。もし、彼らがサリン事件の被害者。あるいはその友人であるならまだ分かる。が、いくら相手が犯罪者とはいえ、彼らにそんな権利はない。何の被害を受けてもいないのに、例え被害を受けていたとしても、犯罪者に対して危害を加えていいと言うことにはならない。僕がそういうと、友人たちはこう言い出す。

「お前は麻原を庇うのか? オウムの味方をするのか?」

怒りのせいで理性を失っていた。「今すぐに麻原を吊るせ!」という感じ。確かに麻原も教団も想像を超えた酷いことをしている。が、彼らが憤るその情報を伝えているのはマスコミ。テレビや新聞。報じられること全てが真実なのだろうか? それらを鵜呑みにして「麻原を殴らせろ」「麻原を今すぐ絞首刑にしろ」というのはどうなのか?それでは中世の魔女狩りだ。

ほとんどの国民はオウム憎しで燃え上がっていた。各地で「オウム信者は出て行け」と住民運動が起こった。思い出すことがある。戦時中も同じ。鬼畜米英。「アメリカは許せない」一億総火の玉。大本営に煽られて日本人は戦争に突き進んだ。アメリカも同じ。

「リメンバー・パール・ハーバー!」「ジャップは許せない!」「不意打ち。汚い奴らだ!」

どちらも国とマスコミに先導され、誘導され、煽られて戦争に突き進んで行く。それは70年近い過去のことだと思っていたが、現在の日本でもそれを再現することは簡単ではないか?と、オウム事件に対する国民の反応を見ていて感じた。だが、それを指摘してもこう言われる。

「オウムを弁護するのか? だったら信者になれ。可哀想な犠牲者のことを考えたことはないのか?」

その論法はネトウヨにも似ている。人は愚かですぐに先導される。そのことを理解した人間がどこかで日本人を操っているはず。それから24年。やっと森達也監督の「A」を見た。マスコミがオウムを憎悪させる情報を選んで報じていたことを知る。それが1995年の真実だ。オウムが無実とは言わないが、マスコミは有罪だ。



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