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他業種との映画作りは揉めやすい。価値観も習慣も違う=でも、本当の理由は別にあるのかも? [映画業界物語]

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他業種との映画作りは揉めやすい。価値観も習慣も違う
=でも、本当の理由は別にあるのかも?

映画作りは、いろんな業界の人たちの力を借りる仕事。企業ばかりではなく、役所、宗教団体、教育機関、自治体、市民団体と広範囲に渡る。皆、同じ日本に住む国民なのだが、この狭い国でも、業界や地域によって価値観がかなり違う。それでも思いは同じで、例えば「この街の魅力を伝えたい」「平和の大切さを伝えたい」という共通のテーマがあれば、仲良くやれる。

だが、業界によって違う方法論、価値観に縛られた人たちは、映画作りということが分かっているのに、自分たちのそれを押し付けて来る。ロケ地で協力してもらった土建屋さん。建築業界の習慣「完成後1ヶ月経ったらお礼に来る」というのがあるそうだ。「なのに挨拶に来ない。許せない! 裏切られた! 応援してやったのに失礼だ」とあとあとまで批判、嫌がらせをされた。

が、そもそも、そんな習慣は知らない。その当時、実は映画は完成しておらず編集中だった。撮影終了後には挨拶に行っている。なのに、完成していないのに、完成したら1ヶ月に来るのが当然!許せない!と怒る。そんな習慣があることも教えてくレナい。「言われなくてもやるのが礼儀だ」というが、他業種の習慣までは分からない。さらに、建築業界以外にも似たような習慣はあるだろう。その人たちのルールにも従い挨拶に行かなければならないのか? 何度挨拶すればいいのか?そんなことでトラブルの連続!ということがよくある。

これは業界でなくても世代間でも同じ。映画の世界でもベテランの映画人と、若手は違う。僕も監督デビュー時はベテランから、あれこれ古い方法論を押し付けられたが、全部拒否して自分のやり方で進めたら、何度も怒られ、説教をされた。僕は低予算でもハリウッド式の撮影をするが、ベテランは古くからの日本式の撮影方法でやれという。要は自分たちが慣れ親しんだ方法でないとやりにくいということ。そんなことを押し付けられても敵わない。

それから14年。僕が一番の年長者になり、今では太田組方式で誰も不満は言わない。僕だけでなく多くの監督が同じ方法論で撮影をする。業界内ではそんな風に変化があるが、別の業界とはそうは行かない。しかし、構図が同じなのは、映画界のベテランも自分たちの方法論が素晴らしいからそれを伝承させたい。守りたいではなく、慣れ親しいだ方法だから、新しいものに拒否感があるというだけ。努力したくないということ。

他業種でも価値観を押し付けるのは年配者。違う業界なのに自分たちの習慣を押し付けるというのは、そもそもおかしな話。アメリカ人に箸の持ち方が悪い!おじきしろ!失礼だ!暑中見舞いくらい出せ!とは言わないだろう。習慣が違うのだから。なのに押し付けをするのは業界ではなく、新しいものを受け入れることができない。別種のものを理解できないという老化なのだと思える。

人は長年続けて来た習慣、大切にして来た価値観は簡単に変えることができない。親たちが今も子供をいい大学に入れようとしているのも同じ。子供時代の価値観に親になっても縛られているのだ。業界ではなく、新しいものが受け入れられない脳の老化。そちらの方が問題なのかもしれない。


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