映画「新聞記者」に感じた疑問⑤ー終 スポンサーを見れば一目瞭然。政府批判の映画でないことは分かる? [「新聞記者」検証]
映画「新聞記者」に感じた疑問⑤ー終 スポンサーを見れば一目瞭然。政府批判の映画でないことは分かる?
前回までで疑問は全て解けた。
この映画は「安倍政権批判」とか「政治の闇にメスを入れる」という映画ではなく、昭和40年代に人気だったテレビドラマ「事件記者」タイプの物語を現代版として焼き直したもの。エンタテイメントとして見るべき映画だ。演出もいい。俳優も素晴らしい。カメラもいい(ただ、新聞社内のシーンだけ「24」的な手振れ感を出そうとしてやり過ぎて船酔いする)面白くできた映画だ。ただ、シナリオはしっかり取材して書いてほしい。まして「原案 望月衣塑子」と謳うのなら記者、新聞社に関しては調べて書くべき。
良くないことだが日本映画では
題材を調べずにシナリオを書くことが結構ある。僕が以前に担当した「女子高生コンクリート詰め殺人事件」Vシネマだが、意欲作で実際にあった事件を実名で描くというもの。僕はその脚本を担当した。
が、プロデュサーが「時間がないから調べずに書け」と言い出した。「実名で描くのにそんなことは出来ない。あとで告訴されて困るのはあんただ!」と毎日のように衝突。が、彼だけでなく別の作品でも似たようなことがあった。他でもサッカーの物語なのにサッカーを取材せずにシナリオを書けと言われた友人がいる。取材費がないからだ。
だからライターにはサッカー漫画を読んで書く。ネットで適当に調べて書く。脚本家もPも、取材する大切を理解しない人がいる。この「新聞記者」もその1本。思わせ振りの宣伝も問題だが、僕はそちらが気になる。
それも朝日新聞と東京新聞が協力している作品。いくらでも社内取材は出来たはず。そして内調のあのネット工作部屋を見て爆笑した人も多い。調べる気ゼロ。ネトウヨを想像だけで描いたのだろう。つまり、新聞記者という仕事。新聞社という組織。記事がどのように決まるか?(映画のように上司が納得しただけで一面トップに記事はでない)そして政府側、総理、官房長官も描いていない(調べていない)。ほとんど取材せずに作られるドラマ。
昭和40年代に流行った物語の焼き直し。
観客に「安倍内閣を斬る」「タブーに挑んだ」と勘違いさせてヒットした作品なのだ。解説に4回も費やしたが、実は簡単に説明することができる。スポンサーを見れば一目瞭然。
まず、KADOKAWA。角川である。
そしてビデオ会社。朝日新聞。多分、こんなやりとりがあっただろう。朝日には「政権を鋭く批判する新聞社が活躍しますと説明。イメージアップになるので出資。角川には「原案を貴社の本にします。映画化すれば売れますよ」そう望月さんの本「新聞記者」は角川書店。だから、全く引用しなくてもクレジットから外せなかったのだ。(さらに角川はあのフェイク映画「Fukushima50」を作った会社でもある)そして、もう1社。それがイオン・グループだ。
「参議院選前に公開します。政権の腐敗を描いた映画です」
そう言われれば「いいねー」と思うだろう。イオンは元民主党の岡田さんのファミリー会社。全員がニコニコ。あと、大事なのは政権を本気で批判しないこと。安倍政権がモデルだと思われないこと。横槍が入るとマズイ。だから官房長官の会見シーンはないし、総理も登場しない。伊藤詩織さんの事件もヒロインは追求しない。まして劇中で分かりやすく解説しない。そんな風に各方面から文句が出ない対応。そして観客には「安倍政権を斬る社会派」というイメージで売る。
商売として見事。
通常、政権を批判する映画は先のような大企業が出資したりしない。スポンサーの名前を見れば「政権を斬る」とか「タブーを破る」という映画でないことはすぐに分かる。物事を見抜く目の大切さ。騙されやすさ。この映画からも多くを学んだ。
追記
「日本の女優は政権を恐れて出演を拒否。
だから韓国から呼んだ」というようなことを関係者が言っていたが、そんなはずはない。探せば「出る」という知名度ある女優が日本にはいる。俳優にも根性ある人は多い。だのに、韓国の女優。その理由。その後、分かった。
この映画が公開後。韓国での上映が発表された。それを考えてのキャスティングだったんだろう。「だから韓国でも受けるように主演は韓国俳優にした」とは言わず「日本の女優は政権を恐れて出演を拒否。だから韓国から呼んだ」と言った方が宣伝になる。「日本の俳優が出演できないセンセーショナルな映画」「暗部に切り込む作品!」というアピールもできる。でも、そんな映画ではなかった。
つまり、日本の女優の多くに拒否された訳ではなく、最初から韓国公開を考えてのキャスティングだと思える。全て計算ずく? 多くの観客が見事に乗せられてしまった。
2019-08-18 09:37
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