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「オウム帝国の正体」ようやく読み終わるが... [事件]

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「オウム帝国の正体」ようやく読み終わるが...

当時から興味のあったオウム真理教を追求したルポルタージュ。この本の作家は宮﨑勤事件、三億円事件等のこれまでに解明されていない部分を綴った作品を発表している。その意味で期待していたが、それほどの謎を解き明かしてはいない。

確かに物凄い取材をしているが、著者1人で訪ね歩いたとも思えず、この作家の背景や体制が今回も疑問。ウィキペディアを見れば毎日新聞の元記者と書かれているが、それだけではないと思える。様々なコネクションがあり、いろんなルートを持っているのだろう。

だが、それらを駆使してもオウムの謎を解き明かせてはいない。当時報道されなかった部分を取材はしている。ソ連ルート、北朝鮮ルート、暴力団ルート。坂本弁護士誘拐事件の実行部隊はオウムではなく、暴力団という指摘。細かな疑問が数々あるが、そう考えると納得できる部分が多い。

ただ、本書ではその裏に政治家の関与があったこと等も疑っているが、疑問で終わっている。また、オウムが宗教法人許可が取れたのは当時、運輸大臣だった石原慎太郎の力があったと言われる話には全く触れていない。別の理由を挙げている。

取材による情報はかなりな量だが、そこから導き出されるものは少なく、頑張って読んだ割には満足感は低い。ただ、オウムの背景にあった力はかなりヤバイものであるという指摘があり、もしそれが正解なら、解明することはいろんな意味で難しく、ここまでしか描けないのかもしれない。ちなみに、同じ作家が書いたオウム本の近著があるので、そちらも読んでみたい。


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