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「朝日のあたる家」は上映禁止映画? それは違います! [インサイドストーリー]

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あんじゅ@anjyeri
「朝日のあたる家」映画館で禁止になった作品、レンタルビデオで見ました
山本太郎さんも出演しています。原発の悲惨を訴えた映画でした。 皆様もご覧くださいませ



 上記のようなツイート見つけた。嬉しいものではあるが、ちょっと事実と違う。よく噂されることなので、この機会に詳しく説明させてほしい。「朝日のあたる家」は原発事故を題材として映画。そのために、大手テレビ局、映画会社、ビデオメーカーから出資を得ることができず。その他、映画によく投資する企業等にもアプローチしたが、いずれも拒否。もちろん、「原発事故」を扱った映画はダメ!とは直接言わない。別の理由を付けるのだが、密かに「ウチは原発ものはダメなんだよ」と教えてくれる社員もいた。

 それは承知の上だった。映画界では「原発事故を映画にしたら、二度と商業映画は撮れない!」と言われている。公に会社の重役がそういう訳ではないが、暗黙の了解。だから、311まで原発事故の映画はなかった。311以降も「朝日のあたる家」を製作するまでに作られた原発事故題材映画はたった1本だけ。園子温監督の「希望の国」である。この作品も製作費集めにもの凄い苦労をして、海外から出資を募った。日頃なら「ぜひ、出演したいです!」という俳優からの声が次々に上がる園監督作品なのに、このときは「今回は勘弁してください」と多くの俳優が言ったと聞く。第二の山本太郎になることを恐れたからである。

 そんなふうに原発事故映画を製作するのはもの凄く困難が付きまとう。実際、「朝日のあたる家」も苦労の連続。そして、僕自身も「二度と商業映画は撮れないかもしれない!」という覚悟で挑んだ。製作の苦労は何度も書いたので、今回は完成後の話に絞る。



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 2013年春に映画は完成したが、今度は映画館の上映拒否が続いた。まず、アプローチしたのはメジャー映画館。当然、門前払い。原発事故を題材にした映画を上映しようという大手はゼロ。もちろん、彼らも「原発映画だからダメ」とは言わない。別の理由で断るのだが、やはり企業内部の友人から「うちじゃ無理だよ。原発映画は」と言われた、

 これは想定内だ。そこでインディペンデントの映画館。単館。ミニシアターにアプローチした。それらではこれまで原発事故のドキュメンタリーを多数上映しており、多くの観客が詰めかけている。原発事故題材でも受け入れてくれると思えた。

 が、それらの映画館の多くからも上映拒否されることになる。まず、原発映画なんて上映してトラブルに巻き込まれるのは嫌だという館。次に、原発ドキュメンタリーも客が入らなくなり、収入に結びつかないので、もう原発ものはやりたくないという館。2つに分かれた。

 が、前者の映画館も正直に理由をいうところは少ない。あれこれ別の理由だったり、意味不明の説明で上映を断って来た。「ほんとの理由は原発題材だからです。でも、表立っては言えません」と教えてくれた関係者もいる。そんなことで、何十館にも断れた。この辺で「上映禁止」という噂が立った。「**省から圧力がかかって上映ができないんだ」というツイートが飛び交った。
 
 だが、そもそも「上映禁止」という事態はありえない。例えばアメリカ映画でヒットした映画がある。配給会社で試写をした。「残酷するぎる」だから、日本では上映取りやめ。ということはある。でも、誰かが禁止した訳ではない。どの配給会社も手を挙げなかったのだ。同じように日本映画でも、文科省が「この映画は上映するな!」という禁止令を出すことはできない。表現の自由の侵害となる。

 あと特定の団体が映画館に抗議して上映中止になった作品もある。だが、それも上映禁止ではなく「上映中止」である。よく上映禁止という人がいるが、それはありえない。ただ、映画館自体が上映拒否することはある。そのターゲットとなったのが「朝日のあたる家」なのだ。

 ミニシアター、単館からも上映拒否の連続。いろいろ聞き込むと、それは禁止でも圧力でもなく、自粛なのである。以前に書いた記事「静岡市の映画館が上映拒否」に詳しく書いているが「誰かに何かを言われたらどうしよう!」と疑心暗鬼になり、とりあえず上映は見送ろうというものだ。だが、その空気が広がり、全国で上映拒否が続いた。


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 そんなとき、「朝日のあたる家」に関心を持ち、上映を願う人たちからこんな連絡を頂いた。「自主上映しましょう。ホールを借りて上映会をするんです。我々も応援します」これは映画館上映ができないときに使う手。問題作や特殊な映画のときに、そんな形で上映する。が、それはできなかった。ホールを借りての自主上映では多くの人に観てもらうことができないのだ。

 原発問題に興味のある人はわざわざホールまで来てくれる。でも、一般の人は来ない。おまけに自主上映をすると、マイナーなイメージが着くし、メディアが取り上げたり、紹介したりしてくれない。つまり、映画館で上映するからこそ、メディアが取り上げ、一般の人が来てくれる。原発に関心のある人だけが集まって見てもらうだけではダメなのだ。

 だから、自主上映はできない。「朝日のあたる家」は一般の商業映画として公開するからこそ、一般の観客が見る。ホールで上映したら「原発反対」がテーマの特殊な映画というイメージになってしまう。その段階で一般の人は映画を見なくなるのだ。映画館探しを続ける。が、どこも返事を渋る。その内に僕のブログにこんなコメントが書き込まれた。

「原発の映画だから映画館が上映拒否をするのではなく、映画のクオリティが低いから上映しないのですよ。僕にはそう思えます」

 映画をまだ見ていない人がなぜ、そんなコメントをしてくるのか? 理解に苦しむ。映画を観た上でいうのなら分かるが....。つまり、原発を扱った映画ということだけで反感を持つ人がおり、映画を貶めたいという思いのある人たちもいるということなのだ。

 同時に、映画の上映を期待してくれる人たちからは「上映禁止。許せない」というコメントやツイートが続く。しかし、禁止ではない。そもそも誰が禁止するのか? そして、「**省が圧力を映画館に圧力をかけている」という噂も流れたが、そんなことがマスコミに漏れたら大事件。実際は映画館による自粛というのが真相。そんなこんなで映画館公開が決まらないまま数ヶ月が過ぎる。

 そんなとき「東京新聞」と「週刊プレイボーイ」等が記事にしてくれた。さらに、山本太郎さんが出演してくれていたことから、彼の支持者がネットで声を上げる。「太郎が出ている映画をお蔵にはさせない!」「みんなの力で上映しよう!」とあるときはTwitterが逆炎上というほど、盛り上がり、数時間に渡ってエールがツイートされた。それによって日本各地の心ある映画館が「朝日のあたる家」の存在を知り、連絡が来た。

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 「だったら、ウチで上映しましょう!」「そんな映画こそ上映せねば!」

 上映依頼が続いた。そして公開。東京、名古屋ではかなりなヒットとなった。そのことでさらに映画館数が増え、全国で23館まで広がる。これは映画業界では中規模の館数。かなりなものだ。が、その後もネットでは「『朝日のあたる家』は上映禁止。映画館で上映できなかった」とのコメントをあちこちで見た。そんな噂を信じて、映画館上映が終わっても、上映されたことに気付かず、未だに映画を見ていない人も多い。


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 だが、実際はロングランとなり、5ヶ月に及ぶ上映。年を超えての長丁場となった。その後は自主上映解禁。日本中で上映会が行なわれた。これは各地の団体が主催になり、映画を貸し出しての上映。地元が主体となり映画を見る会を行なう。これも20カ所以上で上映された。

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 さらに海外での上映。噂を聞き、多くの国から上映依頼があった。アメリカ、シンガポール、ニュージーランド、ドイツ、インドネシア、カナダと6カ国で上映さた、いずれも場内で観客が号泣。大きな反響があった。

 そして、今年。待望のDVDが発売。日本全国のTSUTAYAで「朝日のあたる家」が見てもらえることとなった。が、原発事故を題材とした映画が全国で公開できたこと。6カ国で上映されたこと。DVDが発売できたこと。それを伝えるマスコミはない。そのせいか、未だに「上映禁止の映画」「自主上映しかできなかった」という記事をネットで見る。

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 実際、何十万人が映画を見てくれた訳ではない。通常の商業映画に比べると大した観客動員はしていない。でも、DVD化されたことで、多くの人に見てもらえるチャンス。でも、映画のタイトルを知り、「観たいんだよな〜」と思いながら、近所のTSUTAYAでDVDレンタルできることをほとんどの人が知らない。宣伝費はなくテレビや新聞で告知することもできない。大手のマスコミは取り上げない。そこが悔しい。
 
 もし、「朝日のあたる家」を観て、何か感じるものがあれば、ネットで伝えてほしい。それを読んだ人が「おー、そんな映画があるのか!」とまたTSUTAYAに行ってレンタルしてくれる。ただ、TSUTAYAも永遠にDVDを置いてくれる訳ではない。貸し出し回数の少ない映画は棚から外し倉庫に入れる。或はメーカーに送り返してしまう。確実に店にあるのはこの数ヶ月だけ。

 なので、ぜひ、感想等を発信してほしい。そして、原発事故、福島のこと。そして家族のことを考えるきっかけとしてほしい。多くの人が願いを込めて作った映画。よろしく御願いします。

 
 静岡市の映画館で上映拒否された話=>http://cinemacinema.blog.so-net.ne.jp/2016-03-03


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