僕が飲み会が嫌いになった理由？ーなぜ、初対面でプライベートを聞きたがる？

【僕が飲み会が嫌いになった理由？】

10年ほど前の年末。４０回位の忘年会に出た。当時は監督デビュー前で、業界のいろんな人と出会うことで仕事に繋げようと必死だった。が、もともと、その種の会は好きではなく、できれば行かないで済まそうと思うタイプなのに、まあ、がんばっていた。

しかし、ここ数年。忘年会どころか飲み会というものに出ていない。呼ばれても行かない。その内に誘いが来なくなった。ま、本来、ひねくれ者だということがあるのと、映画監督なんてやっている奴は傲慢な者が多いのもあると理由を考えるのだが、それらの会に行くと、許せない奴がいることが大きな理由だ。

一般の飲み会に行く。映画監督だと紹介される。芸能人のスキャンダルを訊かれる。「＊＊＊さんって本当のところどうなんですか？」「＊＊＊さんってほんとは嫌な奴なんでしょう？」ー俳優は仕事仲間である。その人たちのプライベートを何で初対面の人たちに話さなければならないのか？　或は映画撮影についてあれこれ訊かれる。うれしい面もあるが、それは仕事でトークショーなどで話す内容。割り勘の飲み会でなぜ、そんな話を延々とせねばならないか？

なんて思ってしまう。これが本当に僕の映画を応援してくれている方々なら別だが、年に１本も映画を見ないような人たちが興味本位で「へーー」とかいって聞いているだけ。真剣に映画に関心がある訳ではない。





或は、「監督業って食えるんですかー？」という人。逆に「監督ってお金持ちなんでしょう？」とか決めつける人。いずれにしても、何で初対面の人にプライベーな経済状態を話さなければならないのか？　
先日も「アメリカ留学したんですか？　親がお金持ちなんだねー」と言い出す人がいた。これはどう答えても話はおもしろくならない。「そうだよ金持ちだよ」（本当は違う）といっても、「いや、苦労してアルバイトして金をためたんだ...」といっても、飲み会では盛り上がらない。おまけにこれもプライベートな部分。そんなことを初対面の人に聞かれる覚えはない。

「今まで何人の女性と付き合ったの？」「ギャラっていくらもらってるの？」「税金はどのくらい払う」なんてことを訊くのと同じだ。初対面の人が訊くべき内容ではない。でも、その種の質問を平気でする人がそこそいる。これは僕が映画監督だから、訊かれるのか？　その辺の常識に欠ける人が多いということか？　

こんな人もいた。おもしろくない話を延々として、最後は「はあ？」という結末。思わず突っ込んだ。「オチはーー！」僕が関西人だからかもしれない。が、聞いていて明らかにネタ。相手は素人ではなく芸人さん。それが伏線まで振っているのに、オチがない。全然関係のない結末。関西人が一番許せないパターン。何で、飲み会に出て、面白くもないネタを聞かねばならないか？　これが寄席なら即、帰るが飲み会でそうすると、皆が心配する。だから、聞かねばならない。

一般の人たちでも、極々身内しか分からない話を延々とする。初対面の人もいることを知りながら業務連絡をする。といって急に席を立ったり、帰ると空気が悪くなる。そんなふうに、飲み代払って、プライベートなことを聞かれたり、笑えないネタを聞かされたり、特定の人しか分からない話に付き合う。何でそんな会に出なければならないか？　




それでも多くの人は「付き合いだから」と誘われるとその種の飲み会に出るのだろう。でも、その時間がもったいないと思ってしまう。その時間、別のことをしたい。その飲み代で映画が３本見られる。でも、そんなことを言うと傲慢。偉そう。上から目線とか言われるのだろう。

ただ、長年の友人との飲み会は好きだ。また初対面でも、別業界の人。その世界で長く仕事をしている人。そんな方から聞く話は面白い。そう考えていると、Facebookと似ていることに気付く。先のようにプライベートをあれこれメッセンジャーで訊いて来る人が以前はよくいた。どーでもいいことをコメントしてくる人もいる。そんな人に返事する時間がもったいないと思った。

そんなことで数ヶ月間。Facebookをお休みした。けど、記事を読ませてもらうと、とても勉強になる方もいる。嬉しいコメントも頂く。僕も５０代になり、人との付き合いを考えねばならないということだろう。初対面の人からあれこれ、ぶしつけな質問されることにメリットはないが、いろんなことを教えてくれる人もいる。僕の話に共感してくれる人もいる。どう関係性を構築していくか？　そして「友達」の数ではなく、質が大事ということなのだと考えている...。ま、映画作る人間は傲慢ということかも...。