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【「夢見る力」シリーズー何歳からでも夢をスタートできる。やればできる!】 [my opinion]

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ロサンゼルスでの留学生活を終え、帰国したのは29歳のときだった。同年代の友人たちはすでに就職。それなりの給与を得て社会人として活躍していた。そんな段階で僕は日本で映画監督を目指しスタート。いろんな人から「詰まらぬ夢を追うより就職した方がいい!」といわれた。

中には「某大手テレビ局に中途採用の口利きが出来るよ?」といってくれた人もいる。でも、夢を捨てるつもりはなかった。といっても、当時、1991年にはバブルも弾け、簡単に新人が映画の監督をできるチャンスは皆無といってよかった。80年代には自主映画ブームもあって、多くの友人がプロデビューしたが、そんな風潮は欠片もない。

思いつくのはシナリオを書いて営業すること。生活を支えるために昼はレンタルビデオ。夜は居酒屋でバイトしながら、深夜帰宅して朝までシナリオを書いた。1年かけて、ようやく1本書き上げ、映画会社に営業をかけた。が、ほとんどが門前払い。「そんなもの読む暇な奴はいない」といわれた。読んでくれても「何だかよく分からないね」と不評だった。32歳になっても状況は変らず。アルバイトをしながら、次のシナリオを書いたが、長年の付き合いである友人たちにこういわれる。

「まだ映画なんかやっているのか? いつまでフラフラしてんだよ。いい加減現実見て将来のこと考えないと駄目だぞ〜」

映画監督を目指し、バイトをしながらシナリオを書くことがフラフラすることだろうか? 何の目標もなく、仕事もせずに、遊んでいるのが「フラフラ」ではないか? そう思ったが、世間に染まった彼から見ると32歳にもなって会社というところに所属していないこと自体がフラフラなのだろう。

そんなときに出会ったベテランの漫画家さん。シナリオを読んでくれたが、こう言われた。

「お前、もう30代だろ? 何をやるにも10年はかかるんだよ? 今からスタートしてもデビューできるのは40代だぞ? シナリオ学校とか行ってるのか? こんなシナリオ書いているようじゃ無理。世の中甘くないんだよ」

素人に言われても気にしないが、クリーエーターである漫画家さんの言葉は応えた。それでもシナリオを書き続けた。この辺を詳しく書くと長編小説になるので簡単に説明するが、一番嫌いな青春もののシナリオを書くと評判がよかった。やがて自分が描きたい作品と、自分が作るべき作品が違うことに気づく。その方向で書き続けた。

漫画家さんに「10年かかるんだよ」と言われた翌年にシナリオライターデビューした。そして、その2年後に監督業をスタートさせる。さらに時間は掛かったが、その9年後。念願の映画監督デビューを果たす。自主映画時代の友人は20代でデビューしたが、僕は40代になっていた。

「フラフラしてるんだ」と言ってた友人は会社が倒産。田舎に帰った。そして、あの漫画家さん。あれから連載漫画を持つことはなく、数年後に亡くなった。「詰まらぬ夢を追うより就職した方がいい!」といっていた人たちは今、僕を応援してくれている。ありがたいことではあるが、その昔、「お前は才能あるのか?」「世の中は甘くないぞ」「現実を見ろ」と言っていた人たちが、誰もあのときの弁明をせずに応援するのは、少し引っかかるところはある。ま、まともに人の忠告を聞いてはいけないということだ。

いつの頃からか、監督を目指す若い人や俳優の卵たちが集まってきた。そして質問をされる。「どうすれば映画監督になれるんですか?」「どうすれば俳優になれますか?」「もう30歳ですけど、無理ですかね?」僕はこう答える。

「遅過ぎるなんてことはない。今からでもやればできる。ただ、人と同じことをやっていたら駄目。真剣に考えて、命がけでがんばれば絶対に夢を掴める。マニュアルなんてない、学校では何も教えてくれない。けど、諦めなければ絶望しなければ、そして希望を探し続ければ必ずできる」

ただ、夢はたどり着くまでも大変だが、そこからがもっと大変。戦いは続く。2015-6



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