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映画作りは「圧力」や「横やり」との戦いの連続? [映画業界物語]

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いろんなところから横やりや圧力がかかる。どんな小さな映画でも映画というのは、様々な利権が生まれるからだ。もちろん、映画出演したからと何億というギャラがもらえる訳ではないが、俳優にとって、事務所にとって、ロケ地にとって大きなメリットがあるからだ。

俳優といっても名前が売れている人は極々一部。無名の俳優が圧倒的多数。ギャラはなくても映画に出たいという人が多い。それをチャンスとして羽ばたきたいと考える。長年がんばっている所属俳優に仕事を取らねばと事務所も願う。だから、少しイ強引な手を使うことがある。

ロケ地の話は前に書いたが、多くの地方は今、財政難を抱えている。一番早いのは観光。でも、伝統的なお寺も歴史的な場所もない町では観光客は来てくれない。といってCMを打つと巨額の宣伝費が必要。それが映画がロケされればタダで宣伝できる。だから、ロケ誘致が盛ん。強引な手を使う地区もある。

それぞれの理由は分かる。が、それを製作サイドがひとつひとつ受け止めていたら、素晴らしい作品はできない。それこそ観光PR映画となり、役に合わない俳優が出演しているダメ映画となる。結果は客が来ずに惨敗。ロケ地のPRにも、俳優の栄誉にもならずに終わる。

素晴らしい作品を作ってこそ、ロケ地は輝き、観客が「この町に行きたい!」と思い、役に合った俳優を起用するからこそ、物語が盛り上がる。なのに本末転倒ともいうべきことに、必死で努力する人たちがいるのも現実だ。

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そこにプロデュサーという存在が関わり、その人が裏で接待されたり、今後のメリットになる提案をされると、こう言い出す。「このロケ地の***公園でロケする」「***事務所の俳優をメインに入れてほしい」そう監督に指示。或いは頼み込む。監督もまたプロデュサーから仕事をもらいたいので、受け入れてしまう。こうして映画は傾いて行くのである。

しかし、僕は今回の「向日葵の丘」まで4作。その種の指示や頼み事は全て断って来た。監督の仕事は関係者のご機嫌を取ることではない。素晴らしい作品を作ることなのだ。役に合わない俳優を無理やり入れても、物語にふさわしくないロケ地で撮影しても絶対にいい映画にはならない。

だから、プロデュサーには嫌われる。「融通の利かない奴」といわれ、いろいろとバッシングを受けた。悪口をあちこちで言われ、逆にまわりから同情されたほど。

Pからばかりではない、応援してくれている力のある方。ロケ地の名士。スポンサー等からもお願いや提案が必ずある。お願いを超えて命令や圧力が来ることもある。けど、それを全て受け入れていたら、素晴らしい作品は出来ない。政策委員会形式で素敵な映画ができないのと同じ。いろんな人がいろんなことをいうのを皆の顔を立てて受け入れると、最大公約数の作品しかできない。

だから、監督は嫌われても拒否しなければならない。が、彼らは強行なだけでなく、甘い手や断りにくい手を使い目的を遂げようとする。それを跳ね返すのは大変。そんなことに多くのエネルギーを使う。ここ数作はもうそんな戦いはなくなり、自由にやれるようになった。とてもありがたい。けど、後輩たちは今もその戦いを続ける。そしてこれは映画製作だけのことではないだろう。

他の業界でも似たようなことは多いはずだ。市民のために行われるべきことが、いつの間にか特定の会社の利益のために進んでいることがよくある。或いは寿司や天ぷらをごちそうになったことで、懇意になり、コメンテーターを降板させたり。そんなことも考えてしまう。

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