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「朝日のあたる家」映画館上映拒否が続いた頃 [2014]

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 先日の沼津延長上映記念、舞台挨拶でも言われたたので、改めて書いてみる。「朝日のあたる家」映画館上映拒否問題。ネットではかなり問題になり、「東京新聞」「週刊プレイボーイ」でも記事になったのだが、「初めて聞いた」という人がいた。

 あれだけ話題になったのに知らないというのは、あまりネットで情報収集をしない方か? 当初、原発事故に関心がなかった方か?と考える。いずれにしろ、「朝日」の知名度が高まったことで当時を知らない人も劇場に来てくれているということだろう。

 「朝日のあたる家」6月にロケ地である静岡県湖西市で完成披露上映会があり、2日間で3000人が押し掛け、Yahoo!ニュースのトップでも報じられた。いくら地元とはいえ、記録的な動員。ロサンゼルスの映画祭にも参加。絶賛された。が、映画館に上映依頼をすると、ことごとく拒否。全国で上映してくれる館がゼロということが数ヶ月続いた。

 もともと、大手映画館チーェーンは原発関連の映画上映をしないというのは映画界では当然の話。理解していたが、原発のドキュメンタリーを上映する単館、ミニシアターでも上映拒否の連続。これには驚かされた。なぜ、ドキュメンタリーはOKで、劇映画は駄目なのか?

 一方では多くの人がこういう。「原子力ムラからの圧力だ!」しかし、現場にいて、交渉をしていて、それは違うことを感じた。映画館主には本当のことを言わずに上映を断るところもあったが、密かに真実を告げてくれるところもあり。いろんな現実が見えて来た。

 上映拒否のほとんどは圧力ではなく、自主規制ということ。「原発事故の映画を上映したら、誰かに何かを言われるかもしれない。だから、やめておこう」それが一番多い理由。

 しかし、「どこの誰に何かを言われる」とはどういう意味か? それを聞いてもはっきり言わない。言えないのではなく、全く想定していないのだ。どこの会社? どこの団体? どういう種類の人?が、何をいってくるか? 

 想像もしていないのに、万が一、誰かに言われたら困るのでやめておく。というものだった。特定の団体が想定されるのならとにかく、何かあったら困るというだけのことなのだ。だから上映拒否。

 次に多かったのが原発ドキュメンタリーは上映している映画館が上映拒否をした理由。「最近は原発ものに客が来ない。だから上映しない」つまり、儲からないからやらないということ。ということは、それ以前に上映していた原発のドキュメンタリーも儲かるから上映していただけなのだろう。この映画館は気骨がある!と思っていた館も実はそうではなかったことが分かり失望が続いた。

 応援してくれる方々から「***劇場は思いのある劇場です。絶対に上映してくれますから、連絡してみてください」そんなメッセージがたくさん寄せられた。でも、そんな映画館に限って上映拒否であることが多かった。実際、「朝日」を上映しそうなのに、結局上映しなかった映画館は皆、そういう理由で断って来た。

 その後、多くの人が声を上げてくれた。「この映画をお蔵入りにしてはいけない」「みんなでみよう」と映画館に電話が殺到した。それに応えた心ある映画館が、愛知県のコロナグループ。次いで大阪のシアターセブン。そして横浜のジャック&ベティ。新潟のシネウインド。

 次々に「だったら、うちでやりましょう!」と手を上げてくれた。そこから輪が広がり、全国で24館という数になる。これは企業映画の中規模公開のレベル。インディペンデントの映画でこの関数は稀。

 「朝日」は各地でヒット。東京では4ヶ月のロングラン。大阪は2ヶ月。各地で延長上映となり。地方の映画館では記録的な動員となったところも多い。その噂を聞いて「うちでも上映したい」と手を上げてくれた映画館もある。これを批判する人もいるかもしれないが、大事なことだ。

 映画館は商売。儲かりそうにない映画をかけることはない。社会正義だけで上映をしている訳ではない。だったら、200人が劇場に来る!と分かれば上映を決意する。地方の映画館ではなかなか200人動員はむずかしい。そこに目を付けたのが四国の応援団。200枚の前売り券を売るということで、映画館に「朝日」の上映を依頼した。結果は200人どころか何倍も客が入り大成功となった。

 FBに「**で上映してほしいなあ」と書くだけでは、映画館は動かない。直接何度も電話する。交渉する。多くの人に声をかける。そうすることで上映は可能になる。「朝日」がここまで広がったのは、そんな行動をとってくれた方々が全国各地にいたからだ。何もしなければ何も始まらないが、行動すれば何かが始まる。


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