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山本太郎さんが語った「皆の祈りみたいな映画」 [応援]

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 映画「朝日のあたる家」の長文の感想文を頂いた

 ご紹介する。

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 by Mr.H

映画などの作品レビューを書く際に、僕がいつも悔しい思いをするのが、幸運にも心から素敵だと思えた作品と巡り会った時に、「良かった」だとか「素晴らしかった」とか「面白かった」とか、そんな陳腐で限られた言葉でしか表現する手段を持ち得ていないことだ。
正直、僕の語彙力の無さを曝け出す形になって格好悪いだけなのだけれど、とにかくこの心の高まりを、もっと的確に!もっとリアルに!もっとドラマチックに!…他者に伝える術はないものだろうか…と。
結局あれこれ考えて時間ばかりが過ぎていく。

そんな想いを内に秘め。
この『朝日のあたる家』の感想を書くにあたって、幾つかの書き出しの言葉を考えた。
しかしどれもしっくり来ない。
考えすぎ…それもその筈。
この作品について、何か一つでも形容する言葉を綴ることに、数限りない熟考が必要だった。
少なくとも、僕にとって、いつもネット上で書き散らかしているような、普段通りの言葉遣いでこの作品を語ることは憚られた。

それだけ、この映画が内包しているテーマは、今を生きている人々にとって、とても重要なものだし、この作品に関わったすべての方々の想いが、半端なく真摯で強靭なものであることを知っていたからである。

でもしかし、そのことと、映画の出来不出来は別物で、関係者が一生懸命…それこそ命を削って作った作品であっても、いざ完成して観てみたら、あんまり…大したこと無かったよな。。。という経験は、実はそれなりにあった。
とてもとても残念ながら。
では、果たして、この『朝日のあたる家』は如何だろうか?

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実際に作品を観たのは現時点で2回。
ジャパンプレミアin湖西の会場で販売されていたレア物パンフレットも購入し、シナリオも最初から最後までしっかり読んだ。

監督の太田隆文さんは、僕が高校生だった30年前から良く知る人で、己の人生の歩みを振り返ってみた中で、実に絶妙なタイミングで幾度かのエポックを与えてくださっていることに気が付く。
また、太田監督と同様、ずっと長いこと同じ時間や記憶を共有してきた旧友もスタッフで参加しているし、自分自身も作品に僅かばかりの支援もさせていただいた。

なので、多少というか、かなり贔屓目で観てしまっているのだけれど、そのようなことを差し引いても、この『朝日のあたる家』は、相当高いポテンシャルを僕の中で確保してしまった。
要は優れた良い作品であることは当然、さらに優れた期待を抱かせる作品だったのだ。
その中でも一つ、特に思いを強く感じたのは、太田監督もさんざん語っていたが、演者さんのすこぶる心を打つ名演技の数々。

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役者の良い演技を讃える言葉には、「迫真の」とか「鬼気迫る」とか様々な形容がある。
しかし、この映画のすこぶる優れた俳優陣の演技を的確に表現するにはどれも役不足だった。
この文を書くに当たって、あれこれ言葉を探してみたがどうにもしっくり来ない。
そんな行き詰まりを抱えながら腑と出会ったのが、この映画に出演された俳優の山本太郎さんが公開当日の舞台挨拶でいみじくも語った「皆の祈りみたいな映画」という言葉。

http://youtu.be/Ff5wESxGjL8



来た!これだ!
「祈り」。

正に「祈りのような芝居」。
人の内面の更に精錬された先にあるものが「祈り」であるとするならば。
正しくそんな「祈り」の芝居が、観る人の心を打たない筈が無い。
お父さん、お母さん、あかね、舞、そして光太郎おじさん…。
その全ての台詞や表情に、その演者一人びとりの心の先にある「祈り」が、目には見えないけれども、私たちの心に確かにしっかりと届いていた。

だからこそ、その届いた「祈り」に心揺さぶられ、多くの人が感動し泣いたのだと思う。
僕も映画の途中までは、何とか耐えに耐えていたが、最後の最後に耐え切れず泣けた。
恐らくラストの、「とある別離」のシーンは、僕がこれまで観た作品の中で…、そして恐らくこれから生涯に渡って観るであろう映画の中でも…、決して忘れることのない稀に見る名場面の一つであることは間違いないと断言したい。
誇張ではなく、事実ありのままの報告として。

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そして、この『朝日のあたる家』を語るにおいて、避けて通れないのは原発のこと。
実は、この感想を書く際、なんとかこの話題には触れずに、純粋に映画的感想だけで構成しようと試行錯誤してみたがどうにも無理が出た。
だから少し。

この作品は、福島で実際にあった原発事故をモチーフにしていることもあり、善きに悪しきに何かと色眼鏡で論じてしまう向きが多いかもしれない。
そもそも、そこに抵抗を感じてしまう映画ファンの人も当然いるだろう。
実際のところ僕自身、脱原発の理想には共感することも多く、出来れば早く原発が無くなれば良いと思ってはいるけれども、熱心にデモや市民運動に参加している人々とは、違和感や温度差を感じている人でもある。

所謂、ある政治家が言った「フワっとした世論」の中の1人なのだと自分では思っている。
でも、そんな人だからこそ、この「映画の中での原発事故」は、様々なことを見つめ直す良いきっかけになったのではないのだろうか?

そこに描かれているのは、どこにでもある平凡な家庭生活や、生まれ育ったところとの関係性を理不尽にも引き裂かれてしまった人々の姿である。
しかもそれは、現在進行形で、全く何も解決されずに、未だになお、どっちに転ぶか分からない微妙なバランスの中で日々推移している。

そして、余り関係がないと思っている私たちの普段の日常に、実は気が付いていないだけで大きな影響を及ぼしているということに想いが至ることになる。

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太田監督によれば、全国一般での映画館公開等の交渉は、苦戦が続いていると伝えられている。
これはとっても忌々しき事態だ。

出来れば1人でも多くの方々に観ていただきたい素晴らしい映画なので、何とかもっと大きなムーブメントへの、ささやかな一助にならないかとの思いで、この拙文を寄せさせていただいた。
これからより多くの人々の目に触れることを心からお祈りして、いったん筆を置きます。

ではまた3回目の鑑賞の後にでも。
ありがとうございました。

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通りすがり

ここで紹介されてました


山本太郎も出演する原発事故映画が各地で上映拒否?
週プレNEWS 8月10日 10:00

http://news.livedoor.com/lite/article_detail/7942923/

ご存知でしょうか?
確認してみてください!

応援しています!

東日本大震災、被災者より。
、、、いえ、原発被害者より。

by 通りすがり (2013-08-11 23:29) 

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