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「朝日のあたる家」=映画評論家 永田よしのりさんの感想(2)4回落涙した。 [「朝日」DVD発売ー再掲載]

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 僕はこの0号試写を観て、4回落涙した。

 それがどのシーンかは明言しないが、

 どの4シーンにも〃抗いようのない中から生まれる叫び〃が明示されている。

 人はいつも何かに対して懸命に生きている。

 それは、例えぼんやりとテレビを見ている時にも

 心臓が必死に脈打っているが如くに。

 その中で自分ではどうしようもない抑圧に対峙した時に出てくる言葉や感情。

 そこに僕は涙する。

 胸をかき乱される。

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 ただ単に「原発によって崩壊していく様子が可哀想」

 などという単純短絡なものではない。

 約2時間という上映時間の中に無駄な描写は一切ない。

 それはもしかしたら〃情緒〃を前面に出してみせる〃ある種

 それはもしかしたら〃情緒〃を前面に出してみせる〃ある種の日本映画〃とは

 異なるものかもしれない。

 しかしながら、見せるものを見せ、聞かせる台詞を聞かせることで、

 その後ろにあるものが明確に際だってくる仕掛けになっている構図。

 それはもしかしたら、太田監督がハリウッドで学んだ手法のひとつかもしれない。

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 僕は冒頭に登場する、

 ロケ地にもなった湖西市の四季を描写した場面で、

 春夏秋冬にどれだけの時間を配分しているかをカウントしてみた。

 すると平沢いずみ演じる平田あかねのモノローグを配しながら、

 ほぼ4分間だった。

 つまり季節ごとに約1分づつの自然描写があり、

 タイトルバックにつながっていく計算。

 そのバランスはけして長くなく、短くもない。

 こうした冒頭の配分だけでも、

 本編がどのように編集構成されているのかの予想は出来たのだ。

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 そして、それは見事に無駄の一切ない構成だった。

 それは心地よく、観る者にストレスを与えず、物語に集中させるに足るもの。

 そうした基盤があるゆえに、劇中の役者たちの演技も際だっていくことになる。

 要はバランスなのだ。

 聞けば製作費は、メジャー会社で使われる製作費の30分の1ほど。

 それでこれだけの映画が作れる、

 ということをただ冗長な場面で時間を使っている

(それは予算を無駄に使っているということなのだ)

 映画製作者たちは猛省した方がいいのではないだろうか。

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 (つづく)





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