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脚本を書くということ(16)「ケツを見せろ!」 [映画監督のお仕事]

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 結局、「救世主ケイン」は2年間かけて完成。

 執筆期間だけで計算しても、ほぼ1年はかかった。

 アルバイトしながらなので、本当に大変だったが、

 書かずに死ねるか!的なノリがあった。

 だが、驚くほど評価が高く。京極夏彦並みの長さがある小説なのに

 友人たちは何人も最後まで読んでくれた。

 友情だけで読める量ではない。

 最後まで読んだということは、かなり面白かったのだろう。

 思い出したのが、シナリオ学校でよく講師がいう台詞

 「お前のケツを見せないと、いいシナリオにはならないんだよ」

 「上品ぶってて、いいシナリオは書けない」

 そんな言葉。

 そういうことなのである。

 今まで描いていたSFドラマは、そんな意味じゃ、

 趣味の域でしかなかったのだ。

 話しは長くなったが、先に若い友人の助監督。

 彼は、その頃の僕と同じ立場にいる。

 ハリウッド映画に憧れる。

 でも、憧れと、自分が書ける作品は違うこと。

 そして何より、自分が出ていないと人を感動させられないこと。

 さらに、よくよく話を聞いてみると

 友人が作りたいのは「スターウォーズ」的作品ではなく、

 何だか暗い、70年代の日本映画のような作品のようだった。

 要は彼も僕と同じ、

 10代から映画界に入り仕事をした。
 
 だから、映画には詳しいが映画以外の経験がない。

 自分が作るべきものと出会うことがなく

 劇場で見た「スターウォーズ」が自分の作るべき作品と思ってしまったのだ。

 (つづく)

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