矢沢永吉/アーユーハッピー? [●「朝日のあたる家」序章 2012]
2011年 秋
秋になり、リハビリ生活に入っても
まだ寝込むことがあった。そんなとき、1冊の本を読む。
実は10年以上も前に読んだ本だったが、気になって手に取る。
矢沢永吉の”アーユーハッピー?”
10代の頃。彼の激論集”成り上がり”を読んで感動した。
矢沢がいかにして、スーパースターに登り詰めたか?を語った本。
ロック歌手を夢見て故郷・広島を捨て、横浜でアルバイト。
バンドを作っては壊し
やがて、キャロルでデビュー。
人気爆発。そして矢沢永吉としてソロデビュー。
映画監督を目指していた僕は、凄く励まされた。
それに対して90年代初頭に出された”アーユーハッピー?”
サクセスストーリーではなく、挫折やトラブルの連続を綴っている。
アメリカから帰国した当時、読んだ。
”よし! これから日本でがんばるぞ!”というときだったので
何だか感じるものなく。励まされることもなく。んーーーーと思った。
2本の映画を完成させたあと、
10数年振りに読んでみた。
あのときとは違い。感じることが多かった。
マスコミでも大々的に報道されたが、矢沢は信頼していた部下に裏切られ
50億円の負債を抱えてしまう。億万長者の彼でも簡単に返せる額ではない。
それ以前にもマネージャーがギャラのピンハネ。
アメリカ進出も日本のレコード会社が誤摩化し。
ロンドンのエルビス・プレスリー追悼ライブに呼ばれたときの屈辱。
あの矢沢永吉がこんな酷い目に遭い、惨めな思いをしている。
ロック歌手として成功し、名誉も、金も、全てを手に入れた彼が、
あまりにも哀れ。
しかし、矢沢がトラブルに苦悩しながらも、前に向きに進んで行こうとする。
その姿に励まされる。
”成り上がり”時代のように、強がっているのではなく、苦悩を受け入れている。
感じるものが多い。
映画を1本作るのも、
考えうる全てのトラブルが起こる、と言っても過言ではない
裏切り、妨害、中傷、途中で投げ出す奴。
金目当てで近づく輩。
大きな組織からの圧力。
高いところから批判する者。
どんな映画でも同じ。
だから、1本の映画を終えるとボロボロ。
体だけでなく、心もボロボロ。
スーパースター矢沢永吉も、同じなのだ。
マスコミでは彼の華やかな部分だけを伝えるが、
そんな苦悩を抱えて、彼も走り続けていたことを感じた。
(つづく)
2012-09-02 17:29
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